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脱力の重要

バレエを諦めたのは、7歳の時だった。優美に揺れるチュチュ、繊細な指先、華奢でいてソリッドな体の軸、上に上に重心を引き上げ、もう今にも飛べそうな。小さい頃からの憧れだったけれど、8歳の時に通っていたバレエスクールはなくなった。バレエといっても私がやりたかったクラシックバレエではなく、モダンバレエだったし、先生は今思えばトウシューズを履いたりはしていなかった。

ひょんなことから、ヒップホップダンスと出会う。それも7歳の時だったと思う。もともと体が弱くて、喘息発作で体育はすぐに見学。50mを走る時の空気の吸い方がわからなくて酸欠で倒れる。踊りを始めたのは、筋肉をつけて、虚弱体質を治すためだった。

上に上にと、身体の重心を引き上げるバレエとは反対に、下に下にと、身体の重心を下げていくヒップホップ。重低音にあわせたり、アクセントで軽やかに崩したり、自由に踊るパートが長かったり、身体の動きで波を作り出し、それ音の波形のようなそんな踊りだ。きっとそれぞれがその踊りを形容することができるけれども、私がヒップホップダンスに学んでいることは、

身体は力を抜かないと力を入れられない

ということだ。良い音に良い動きをはめこみたくても、身体をまず脱力させなければ、アクセントがつきづらい。卵か先か、鶏が先か、とよく言うけれど、ヒップホップダンスに置いては、まず抜くことからはじまる。先が決まっているのだ。

日々、知らず知らずのうちに肩がこわばっている。これは脱力できていない証拠のひとつ。肩の力をふっと抜く。これはどんな動きを作るのにもまず必要なフォームだ。

脱力は重要だ。ここぞという時を逃さないのだから。そう、脱力はひとつの前向きな戦略だ。もう夜だし脱力してからおやすみください。おやすみなさい。明日もいい一日になりますように。