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すなくじら、会社辞めるってよ。

「年末で、会社を辞めます」

会社を辞めることにした。ずっとずっと、ずっと、具合が悪くなるくらい迷っていたけど、お世話になった上司とのミーティングでようやくちゃんと話をした。

この会社辞めた先の道で、本当に文章上手くなれる?

いつもは鬼な上司に初めてじゃないかってくらい優しく聞かれて、すっごく刺さった。泣くかと思った。というか泣いた。上司はいつも無茶振りばかりで、社内外問わずライターに対してやばいキツいFBとかしちゃうディレクターだったけど(本当にパワハラダメ)、死ぬほど文章が上手い。新聞社や出版社を10年以上渡り歩いてきたその実力は本物だから、めっちゃくちゃ厳しいけど会社のみんなが慕っている。もちろん、私も。酒と女が好きで、いろいろダメなところはあるけど、文章だけは死ぬほど上手い、太宰治みたいな上司。「まだ引き留めるから」と冗談めかして言ってくれたけど、その笑顔は多分、さよならを覚悟した笑顔なのもなんとなくわかった。

会社を辞めたら、しばらくはフリーランスのライター/編集者として働いてみたいと思っている。

私は現在、とある企業で就活領域のオウンドメディアのWebディレクターをしていて、いわゆるゴリゴリの「SEOライティング」の世界にいる。編集を基盤にした作業から検索順位1位を取るための施策提案やレポートの作製といったマーケよりの業務を担当することもしばしば。その一方で、複業としてエンタメジャンルのフリーランスのライターのお仕事を頂いたりしながら、日々を過ごしている。

最近ではご時世も相まって、フリーランスの、特にSEOライティングに特化したライターは増え続けるばかりだ。

時間と場所にとらわれない働き方」「未経験から月収50万」「パソコン一つで自由に稼ごう

キラキラとした言葉でコーティングされた甘い夢は、SNSの海をぷかぷかと浮いては、日々視界に入ってくる。でも、私は知っている。絶対に絶対に絶対に、フリーランスはそんなに甘い世界じゃない。なぜそう思うか。それは、自分の企業と契約していたフリーランスライターの3分の1が契約から1年経たずに会社員に戻っていったのを見ていたから。「来月より複業禁止の会社で働くことになりました」とか「会社員に戻ることにしたので本数のペースを落とさせてください」とか、本当にザラだった。全て稼げないからという理由に集約させてしまうには安直すぎるけれど、私の中でフリーランス=厳しい世界であると印象付くには十分なデータだった。

「給料はまあまあいいし、働いてる人たちは超性格良いんでしょ。じゃあなんで辞めるの?複業でやりたいことできてるのに?」

先日友人に聞かれた質問に対する返事はこうだった。まず、残業時間(残業代がつかず40時間でタイムカードを「一旦」切るタイプの左利きのエレンみたいな会社、笑)問題は理由として挙げられるのだけれど、それ以上に「なぜここにいるのか」が全く見えなくなってしまったことが大きい。

もともと文章を書くことが好きで、それを仕事にしてみたかった。でも、「書いて食べていくこと」と「好きなように書くこと」はまた別で、「好きなものについて書くこと」はもっと別だとなんとなく理解はしていたから、スキルのない新人のままフリーランスになることは避けたかった。それが私が今の企業にいる理由。ライタースクールに行くって言う手もあったけど、お金をはらってスキルをつけるくらいなら、お金を貰って勉強したかった。

だから、ありがたいことにライターとして「好きなものについて書くこと」のお仕事が増えて平日は稼働できないことを理由にお断りをさせていただく機会が増えてくるたびに、自分に嘘をついているような気がしていた。やりたいこと、チャンスがあるのに、できてないじゃん。有給は平日のお仕事に使っているけれど、それでも年間の全ては対応できない。「好きなことを仕事にするために会社に入ったのに、なぜわたしは好きな仕事を遠ざけているのだろう」ともどかしさを感じては、はてなマークが頭の中を埋めていった。

企業以外のお仕事については自分がやりたくてやっていることだから、複業だろうと本業がブラックだろうと絶対に手を抜きたくなくて、冷蔵庫を箱で買ったモンスターでびっしりと埋め尽くして稼働していた時期もある。大体22時半に仕事が終わって(これぞパワー系ベンチャー)、1時間休憩、そこから夜の2時〜4時くらいまでコラム原稿かシナリオ、インタビュー記事の執筆などなど……をして翌朝出勤、が平日のルーティン。夜方なので夜ふかしは全然辛くない。とはいえ土日をフルに使っても、時間がない分は人より努力しないと絶対に埋められないと思っているので、会社も複業もどちらも手を抜かずに走ってきたつもりだ。

私よりもよっぽど文章が上手な人がうじゃうじゃいるライター戦国時代で、私がクライアントに与えられる価値ってなんだろう、と常に考えている。たどり着いた答えを未来のクライアントに伝えるとすると、あえてすごく嫌な言い方で「使いやすさ」だと思って欲しい。本当はここで「文章力です!!!」と胸を張っていえたら1番良いのだけど笑 もちろん精一杯努めて100%で原稿に向き合うけど、さすがに歴何十年のベテランには勝てるわけがないので。そのかわり提案を求められるメディアならコンスタントに提案をするし、納品数が欲しいメディアなら手を動かして頑張りますし、大前提「どうせ誰かライターと一緒に働くなら、すなくじらと働きたい(働いてみたい)」って思ってもらえるようなライターでありたい。「お仕事お待ちしております」でわたしのような無名のライターにお仕事が来るほど甘い世界じゃないのは重々わかってる。一件一件の、お仕事の重みを感じるからこそ、誰かに任せるくらいならわたしに任せて欲しい。頭を使って目となり手となり足となり働くので、わたしにできることがあればぜひご一緒させて欲しい。それが、わたしの仕事に対するマインド。キラキラフリーランスになるつもりは、毛頭ない

まだ、正直怖さはある。食べていけんの?お金周りとか平気?今後は教育の機会がないからスキル頭打ちになるってこと?将来どうなんの?不安は尽きない。

それでも、今目の前で手のひらからすり抜けていくチャンスの数々を、みないふりをして会社員を続けていくことが今のわたしには到底できそうにないのだ。幸いわたしはまだ若い。独身だし、出産の予定もとうぶんないから最悪どん底になっても迷惑かかるのは自分だけで済むし。失敗したら会社員に戻れば良い。

「自分を信じて」なんて言うとディズニーの世界みたいになっちゃうけど、わたしは「今」見てみたい世界を信じてみたい。もっと一緒にお仕事をしてみたい方が沢山いる。だから全ての努力が無になったとしても、どこまでいけるのか、素直にやってみたい。どうせ最後には死んじゃうんだから、理屈抜きで行動力だけで動ける今を、大事にしたい。








2022.10.01
すなくじら

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