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3月に使う釣釜のお点前

茶道の炉の期間は11月から4月までなのですが、3月になると少しずつ気温が温かくなることもあり、炭火から釜を少し離すよう天井から釜を釣り下げた釣釜を使ったお点前をします。

釣釜

少しずつ風炉に向けて片付け始めるという意味もあるそう!

3月&4月に釣釜を使ってお点前されるところもあると思いますが、三斎流の京都教室では4月は透木釜(すきぎがま)という更に火から釜を離すお点前をするため、3月の釣釜はいわば年1回しかお稽古できないスペシャルバージョン!

いつものお稽古よりも少し特別感があり、お稽古に行く足取りもウキウキとしてしまいます。

炉から風炉へ季節のうつろいを感じる設えで、釣釜がゆらゆらと揺れるのも趣があって見た目にもかわゆい。

釣釜には、雲龍、車軸、鶴首といった細長い小さめの釜が好まれるそうで、今回お稽古で使用させていただいたのはやはり細長い「筒釜」でした。

筒釜

この釣釜を釜清めの時に、持ち上げて2つのフック分上に持ち上げ鎖の位置を変えるところがお運びの後の最初の所作になりますが、細長い小さめの釜とはいえ、持ち上げて鎖の位置を静かにスッと変えるのは、なかなか力のいるものです。

ジャラジャラと釣釜鎖を上に持ち上げる所作が入る釜清めや炉ぶちを清める時以外は、いつものお手前をすることに変わりがないのですが…
釣釜がユラユラと揺れないように、柄杓を置くときに、釜の動きを止めるようにそっとさりげなく押さえることなどに気を取られ、結果、いつも出来ていることまで出来なくなるということも多々あります(滝汗)

それでも、五徳の上に置いた釜と違って、釣り下げている釜なので、点前中もゆらゆらと揺れて、これが春風を体現しているようにも見え、見ているだけでも楽しいです。

【主菓子】

2回のお稽古でいただいた主菓子は、この時期だけいただける
・麩嘉さんの「桜餅」に見立てた麩まんじゅう「桜麩まんじゅう」

桜麩まんじゅう

・まるに抱き柏(まるにだきかしわ)さんの「菜種きんとん」


【お軸】

「一日清閑一日福(いちじつのせいかん、いちじつのふく)」
by 立花大亀老師



「俗事から解き放たれて、静かな場所に身を置き、一日心穏やかに過ごす。それが幸せなことです。」という意味だそうです。

年度末で仕事でもバタバタと何かに追いかけられるような感覚にとらわれがちなこの時期に、静かな茶室でこのお軸のご説明を受けているときの心穏やかで幸せなこと✨ 

書かれたのは大徳寺、立花大亀老師
「紫野」という名前を使われるのは京都・大徳寺の管長ということです。

【香合】

梅花香合
*床では花入れよりも香合が上座になるように置く

【花入れ】

曽呂利(ぞろりという形)の唐金(からかね)

ぞろり


*格式が高い花入れのため、塗りの敷板の上に置く。
今回は蛤板(はまぐりいた)と言って横から見ると蛤の貝が合わさったような側面の板を使用
*本来は床の中央に置いて良いものですが、今回はお軸の1行が長く、花入れを置くと、下の方の字が隠れてしまい失礼になるということから少し下座にずらして置いています

【花】

・卜半椿(ぼくはんつばき)(花芯が大きく咲くとインパクトあります)
・みずき

【色紙】

・ひな祭り


*向かって左に姫がいらっしゃる
東京の雛人形は右に姫を飾るが、京都では左に姫を飾る。
これは御所で天皇が北を背に南面されたとき、日出る東側に天皇が立たれるというところから。つまり東側=向かって右側になる。
明治以降、西洋文化を参考に今の右に姫=東京スタイルが出来たとされている。

今回もお読みいただき誠にありがとうございました!

来月で、炉を使うお点前が最後で5月から風炉に変わります。
透木でのお点前は初めてですので今からとても楽しみです!



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