VUCA時代を切り拓くデザイナーのキャリアとは?-前編-
こんにちは!Sun*デザインチームです。
デザイン業界は、ウェブとモバイルプラットフォームの急速な発展により大きく変化し、デザイナーの働き方やクリエイティブな手法に革新をもたらしました。この影響は社会全体に波及し、デザインが企業経営にも大きく寄与するようになりました。さらに、政府がデジタル化を推進するために新たな組織を設立するなど、デザインの社会的な重要性が高まってきています。
このような背景から、技術の進化とともに、キャリアにも新たなトレンドが生まれています。
今回はデザイナーのキャリアの変化に焦点を当てて紐解いていきます。
次回公開する後編では、Sun*で働くデザイナーたちに話を聞き、どのようなキャリアの歩み方があるのかを掘り下げていきます。
社会や技術の進歩によって、キャリアは変化し広がり続けている
まずは、デザイナー職の近代史を簡単に振り返ってみます。
インターネット普及前のデザイナー
1990年代以前のデザイナーは、インターネットの普及以前ということもあり、今日見られるような職種の細分化はあまり進んでいませんでした。
グラフィックデザイナーやパッケージデザイナーなど、主に印刷物や物理メディア向けのビジュアル制作が中心でした。
また、インテリアデザイナーやプロダクトデザイナーといった職種も存在しましたが、現在のように専門分化された職種というよりは、建築などプロダクトを製造する中で必要なスキルを持ったクリエイターとしての性質が強かったようです。
インターネットの普及により、デザイナーの職種は飛躍的に細分化され、新しい分野が生まれていきますが、インターネット普及前のデザイナーたちが築いたものを土台に、新しい職種が成り立っていると言えるでしょう。
インターネットの普及と職種の多様化
1990年代に入り、インターネットの急速な普及はデザイン業界に大きな変化をもたらしました。Webサイトやオンラインプラットフォームの出現により、デザイナーの仕事はデジタル空間へと拡張していきます。
この変化に伴い、Webサイトやアプリケーションのデザインが必要となり、UIデザイナーやUXデザイナーといった新しい職種が登場し、デザインの領域はこれまでにない速度で拡大しました。
デザイナーはビジュアルなどの表現を作り込むだけでなく、ユーザーの体験を設計する役割も担うようになります。デジタル技術の発展に伴い、デザイナーにとっては技術の流れに乗り遅れないよう、新たなスキルを身につけ、常に進化し続けることが求められる時代となりました。
デザイナーの役割の変化
ここ20年でデザイン業界の職種はさらに細分化され、デザイナーの役割は多様化しています。例えば、サービスデザイナーやコミュニケーションデザイナー、デザインストラテジスト、UXリサーチャーなど、多様なスキルセットを持ったデザイナーが活躍の場を広げています。
現代を生きるデザイナーたちは表現で情報を伝えるだけでなく、サービスやプロダクトの使い勝手を向上させ、ユーザー体験を豊かにすることも期待されています。このような背景から、継続的なインプットとスキルアップが、今後のキャリア形成においてますます重要になっていくことでしょう。
高度デザイン人材とは
デザイナーの役割が多岐に渡るようになった背景としてもう一つ思い当たることがあるとするなら、現代はVUCA(ブーカ)の時代と呼ばれるくらい、めまぐるしいスピードで社会が変化していることです。AI、xR、生体情報の計測など、テクノロジーの発展と進化だけでなく、顧客体験を中心とするサービスへのビジネスモデルの変化などがそれに該当します。
こうした時代の流れを汲み取り、2019年に経産省と株式会社CONCENTにより「⾼度デザイン⼈材育成ガイドライン」が公表されました。
VUCA時代に必要とされるデザイン人材とはどんな人材なのかを定義し、その人材を育成する仕組みや環境づくりの手引きとして活用できるような文書です。
高度デザイン人材育成ガイドラインによると、これからのデザイン人材に求められる5つの要素が紹介されています。
デザイナーのスキルがこんなにも多様になるとは、インターネット黎明期には考えられなかったと思います。こうしたスキルを伸ばしていったデザイン人材は、社会でどのように機能・活躍するのでしょうか。高度デザイン人材育成ガイドラインではこのように表現されています。
ここに示されている5つのデザイナー像をご覧になり、どのような印象を受けましたか?高度デザイン人材と表現されているくらいなので、若手やミドルデザイナーの方からは、雲の上の存在に感じてしまうところもあるのではないでしょうか。
高度デザイン人材像に至るまでのステップ
そこで高度デザイン人材に至るために、どのようなプロセスが考えられるのか調べてみました。
Design Shipが運営している高度デザイン人材育成プログラム「DesignShip Do」が出している記事では、以下のようにまとめていました。
まずは目の前のプロダクトに向き合うこと。そのあとにデザインチームや社内外のステークホルダー全体を意識して働くリードデザイナー、そしてひとつの事業全体を意識するようなデザインマネジャーやPdMのような役割になり、CXO、CDO、デザイン本部長、執行役員と経験を積み上げていきます。
さまざまなキャリアの可能性を知ることが、自分のキャリア選択にとって大事
インターネットが普及してきた時期から比較してもわかるように、私たちデザイナーの肩書きも、デザイナーに求められる役割も広がり続けています。
そのような時代を生きるデザイナーにとって、デザイナーのキャリアはこれだ!と断言するのは難しいことだと思います。ですが、デザイナーのキャリアとしての選択肢をたくさん持つことができる時代に生きています。それならば、いろんなキャリアの可能性を知ることが自分のキャリアを考え選択していくことに繋がるのではないでしょうか?
IT業界にいるデザイナーを軸整理したキャリアマップ
これまでの話を踏まえて、IT業界にいるデザイナーが選択できるキャリアを、一つのマップにまとめてみました。あくまでも私たちが見えている範囲でのマップであることをご了承ください。
B(Business)×T(Tech)×C(Creative)の領域が交わるSun*の組織
キャリアマップの中に、デザインの領域から染み出した「ビジネス」と「テクノロジー」の領域があることがわかります。これらの領域と日々密に連携を取りながらデザインに向き合っている、私たちSun*のデザイン組織を紹介します。
Sun*は、B(Business)、T(Tech)、C(Creative)の人材が三位一体となり、クライアントの事業つくりを支援しているデジタルクリエイティブスタジオです。「事業づくり」が示す事業フェーズは、事業アイデアの種を探すフェーズから、PoC、PoB、PMF、グロースまで、すべての事業フェーズを指しています。
関わる事業領域が幅広いSun*において、デザイナーはビジネスとテックを繋ぐ橋渡しのような立場で、両方の視点を持って日々デザインに向き合っています。そんなデザイン組織には、現在日本とベトナム合わせて90名を超えるメンバーが在籍しています。
2024年に入りデザイン組織の再編が発表されました。これまでも各ユニットごとにコンセプトを持って組織を作っていましたが、今回はより事業フェーズを意識した5つのユニットに分かれるようになりました。
Unit1:サービスデザイン
(UXデザイナーや、ブランディングを得意とするメンバーが多く所属し、コンセプトメイキングを行う)Unit2:MVP開発
(事業アイデアの検証や、プロダクト立ち上げフェーズのプロジェクトを多く扱う)Unit3:開発実装
(リリースに向けて、よりインタラクティブなプロダクトデザインを作成し、開発に繋げるようなプロジェクトを多く扱う)Unit4:開発実装
(ビジネスグロースフェーズのプロジェクトを多く扱う)Unit5:ベトナムのデザインチームと日本を繋ぐ
デザインの領域が広がり続けている状況において、デザイナーそれぞれが対応できるデザイン領域を広げる必要もあります。ですがまずは、自分の武器となる得意領域を磨くこと。それからデザインの幅を広げていこう、というメッセージを込めてこのようなチーム編成となりました。
事業フェーズごとにユニットがつくられていますが、Sun*にはキャリアマップをいろいろな渡り方をしてSun*に辿り着いた方も多く在籍しています。
そこで次回の記事ではSun*のデザイナーを例に、どのようにキャリアマップを渡り歩いてきたのか、そこから見えるデザイナーのデザイナーのキャリアの可能性を見ていきたいと思います。
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