見出し画像

スペインの教育制度から考えるサッカーのこと 【その1】

サッカーコーチの砂川太希です。
日本でサッカー指導歴11年目。
7/1(土)からスペイン・バルセロナへ移住しました。

一応、大学の専攻は教育学で
中学校と高校の教員免許も持っておりまして、

拙い知識ながらも
スペインの教育制度についての日本語の記事を
読み込み、
あれこれ調べてみました。

この記事では
スペインと日本の教育制度を対比しながら
両国のサッカー文化を紐解くヒントにしていければと思います。

スペイン国内でも
地方によって若干の違いもあるそうですが
ここでは一般的?なスペインの教育制度について見ていきます。


◾️義務教育制度

日本の義務教育は
小学校6年間、中学校3年間の計9年間です。

一方でスペインの義務教育
小学校6年間、中学校4年間の計10年間です。

日本と同様に高校以降は義務教育でない。
日本の高校進学率は約95%ですが
スペインの高校進学率は約80%だそうです。

授業時間は公立や私立で多少の違いはあるかと思いますが、
基本的に
8:30や9:00から14:00まで。
自宅に帰宅してから昼食となります。
午後14:00以降も授業がある場合も一度家に帰ってから昼食を取るそうです。

授業時間は若干日本よりもスペインの方が短いという感じでしょうか。

◾️学期制度

スペインの学校も学期は3学期制。
春休み(イースター)、夏休み、冬休み(クリスマス)があります。

日本とスペインの教育制度で大きな違いの一つは
第1学期の開始時期です。

日本が4月から始まり、翌年の3月に終了し
翌4月から新学年&新学期が始まるという流れですが
スペインは
9月に第1学期が始まり、翌年の6月に終了し夏休みに突入。
夏休み明けから新学年&新学期が始まるという流れです。

サッカーにおけるシーズンも学校の学期と連動しており、
9月頃にリーグ戦がスタートし6月頃にリーグ戦は終了。
夏休み中はシーズンオフという流れです。
通年で活動する日本に対して
オンとオフのメリハリがあるスペインといった対比構造です。

もう一つの大きな違いとして挙げられるのは授業日数。
スペインの年間の授業日数は160日
一方で日本の授業日数は約200日。(※学校により異なる)

日本とスペインで40日近く差があります。

この要因はただ一つ。
夏休みの長さです。

スペインの夏休みは
6月の後半から9月前半までの約2ヶ月強から3ヶ月弱。
しかも授業は実質5月末で終了し、6月は試験期間なのだとか。
長いです。

社会的にも4週間の休暇は法律で義務付けられているらしく
これがいわゆるバケーションです。

夏休みの過ごし方についても色々と調べてみましたので
サッカーと関連付けながら別の記事で詳しくご紹介したいと思います。

スペイン人はのんびりする過ごし方を知っている。


◾️学年分け

日本とスペインで学期がズレているという前提を紹介した中で、
当然、日本とスペインでは学年のズレも発生します。

小学校入学に関しては
「その年の12月31日までに満6歳になる者は、その年の9月第2週に第1学年に入学する。」
とされています。

なので2023年9月に入学する1年生は
全員2017年生まれということになります。

日本の2017年生まれは
1月1日から4月1日までが誕生日の場合は現在、小学1年生。
4月2日から12月31日までが誕生日の場合は現在、年長さんです。

スペインの方が小学校への入学が若干早いと言えます。

ちょっと複雑なので画像を参照ください。

色塗りが義務教育期間。スペインの方が小学校入学が早いです。


早生まれの中学3年生がスペインで転校した場合、
さらに1年半の義務教育期間があることになりますね。

この表にサッカーにおける年代ごとのカテゴリー表記を加えたものがこちらになります。

日本だと1学年ごとのリーグや大会が多いですが、スペインは2学年ごとのリーグ戦となります。


日本の高校3年生の早生まれの選手が高校卒業後にスペインへ渡った場合、
約1年半をフベニールの選手として過ごすことになります。


このズレを上手く活用した事例が
徳島ヴォルティス。


2021年に日大藤沢高校から高卒で加入した鈴木輪太朗イブラヒーム選手
夏にラリーガのCFバレンシアへレンタル移籍しました。

彼は早生まれであったため、
9月から始まる新シーズンでフベニール所属選手としてプレーすることができました。
日本の早生まれは身体的な成長が他の選手とズレが生じてマイナスに働いてしまう傾向にありますが、
スペインの場合はそのズレが逆にプラスに働きます。
その世代の中での生まれ月が最初の方になるためです。
選手の価値を上げるためのメリットになり得ます。

しかもFIFAの
「18歳未満の選手の国際移籍および母国以外での選手登録が認められない」
という規則にも抵触しません。

教育制度やルールという背景を把握することで
選手のチャンスを広げられるような事例は
探せばまだまだある気がしていますので、引き続きアンテナを張っていきたいと思います。


いつ見ても圧倒されます。


※記事内の情報で間違いや時代遅れなことがあれば修正したいのでDMにてお知らせください。。


この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

記事を気に入って頂けましたからぜひサポートお願いします😊バルセロナでの活動費に活用させて頂き、さらに質の高い記事を投稿できるようにしたいと思います‼️