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心停止から大切な人を救うために(AED編)

昨日まで普段通りに元気だった人が、突然、命を落とすことがあります。「突然死」と呼ばれるもので、世界保健機関(WHO)では「瞬間死あるいは発病後24時間以内の内因死*」と定義されています。(*事故や自殺などではなく、何らかの病気による死亡。)

そして「突然死」の中で最も多いのが「心臓突然死」です。

心停止から救える命

日本AED財団のホームページによると、心臓突然死の年間死者数は約7万9000人。1日に約200人、7分に1人が心臓突然死で亡くなっています。

いつでも、誰にでも起こりうる心停止。あなたは大切な家族や友人、同僚が心停止になったとき、自分に何ができるかを考えたことがありますか? とっさに「AED(自動体外式除細動器)」や「胸骨圧迫」で心肺蘇生を行えるでしょうか?


心停止とは

心臓の機能障害により、心臓からほとんど血液が拍出されず、脳や肺、他の組織に血液を送り出せなくなっている状態を指します。

脳に血が回らないと、まず人は数秒で意識・反応をなくします。そして普通の呼吸ができなくなったり、止まったりしてしまいます。突然目の前で人が「バタッ」と倒れた場合、それは心停止の可能性があることを知っておいてください。脳と心臓自身、そして各組織細胞に生命の源である酸素や栄養が届かない状態を放っておけば、人は数分で死に至ります。

心停止の原因

心停止の原因は、心臓疾患(心筋梗塞、狭心症、心筋症、弁膜症、心不全など)が約6割以上を占めています。その中でも、「心室細動」という致死性の不整脈に起因するものが特に多いことがわかっています。

心室細動は、心臓の血液を全身に送り出す場所(心室)がブルブルと細かく震えて(細動)、血液を送り出すポンプの役目を果たせなくなった状態をいいます。そして、その心室細動となった人を救うべく普及が進んでいるのが「AED」という医療機器です。​​

AEDは音声ガイドがついてる

AEDは誰でも使える

AEDはAutomated External Defibrillatorの略で、日本語では自動体外式除細動器といいます。心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態になった傷病者に対し電気ショックを与え、けいれんを取り除いて心臓の正常なリズムを取り戻すための医療機器です。

2004年7月からは医療従事者だけでなく、私たち一般市民も使用できるようになりました。現在は約60万台以上のAEDが全国の病院や診療所、空港、スポーツクラブ、学校、駅、公共施設、企業等人が多く集まるところを中心に設置されており、緊急時には特別な資格なく誰でも使うことができます。

しかし実際に目の前で人が突然倒れたら……。きっと頭の中が真っ白になってしまうことでしょう。AEDの使用に不安を感じる方もいるかもしれません。

安心してください。AEDは電源を入れると操作を示す音声ガイドが流れるため、それをよく聞いて行動することで誰でも安全に扱うことができます。また、AEDが心臓の動き(心電図)を自動解析し、電気ショックの必要性を判断してくれます。

AEDの使用判断

呼びかけに反応があり、規則正し い呼吸をしている間は心肺蘇生(AED及び胸骨圧迫)は必要ありません。心肺蘇生が必要な場合とは、①「呼びかけても意識・反応がなく」、②「呼吸も止まっている(あるいは普段と異なる呼吸しかしていない)」場合です。このときは傷病者の心臓が止まり、脳に十分な血液が流れていない可能性が高いです。

心停止からの救命は秒単位で時間との闘いになります。電気ショックが1分遅れるごとに救命率は10%ずつ低下します。119番通報をしてから救急車が到着するまでの平均時間は約9.4分。つまり、何もせずに救急車の到着を待っていると救命率はどんどん下がっていきます。救急隊や病院到着後に医療関係者が行なう治療以上に、その場に居合わせたあなたがすぐに施す心肺蘇生は、たとえ完璧でなくても、何倍もの救命効果があるのです。

米NFLでの悲劇と奇跡

アメリカンフットボールの米プロリーグNFLで今年1月、バッファロー・ビルズのダマー・ハムリン選手(24)が試合中に守備でタックルを止めた後に倒れ、フィールド上で心停止に陥りました。ニューヨーク・タイムズ紙が「NFLにとって過去数十年で最悪の事態の1つ」と報じた、とても衝撃的な事故でした。

米メディアによると、倒れてから10秒ほどでチームトレーナーが駆けつけ、フィールド上で即座に心肺蘇生とAEDによる救命処置が行われました。その後​​救急車もすぐにフィールドに乗り入れ、ハムリン選手は大学病院に搬送されました。この迅速な対応が、彼の命をつないだのです。

事故のあと数日間、病院の集中治療室で危篤状態に陥ったハムリン選手ですが、今年4月には練習再開の許可が下り、その後秋シーズンに向けて完全復帰を果たしました。

あなたの勇気で救われる命がある

突然倒れた人に対してできることは、まずは119番通報、そして胸骨圧迫とAEDによる電気ショックです。救命率を上げるには、この胸骨圧迫を高い質を保って続けることと、AEDによる除細動をいかに早い段階で行えるかが最大の鍵となります。そしていざというとき、実際にあわてず 迅速に対応するには、日頃の訓練や心の準備が必要です。

日本赤十字社や消防庁などが、一般市民向けに救命講習を開催しています。WEBでのオンライン講習も提供しているので、みなさんもこの機会に、救急法等講習で心肺蘇生術を学んでみませんか?

文・廣浦百合子
コンテンツクリエイター/認定整体師
Sunbears マーケティングチーム

【参考文献】
AEDの知識 
AED・一次救命処置とは
CBS News: What happened to Damar Hamlin? 
総務省消防庁「令和3年版 救急救助の現況

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