はたらくからだを整える

最近、毎日14時間は働いている。

流石に身体は疲れているが、今日もワンオペで予約も100%MAXだからやるしかない。

患者さんには偉そうに身体や心の話をするが、自分はどうなんだって事になりそうだ。

とはいえ
一応、睡眠、食事、運動には最低限気をつかっている。

スポーツと違って、日常生活にはピークがない。

ずっとフラットな日常だ。

その日常を上げなくても下がらない工夫が健康面では必要になってくる。

仕事が出来るかどうかは能力だから、職場で鍛える必要があるが、体調くらいは自分でまたは人に委ねながらコントロールすることは可能だ。

疲れにくく、痛みにくい

そのくらいは身体と脳の訓練次第だ。

忙しくなると疎かになるのは当然

忙しくなるほど、休みを削ったり、残業したりと時間がなくなる。

すると睡眠時間や食事の時間が減ったり、リズムが崩れます。

健康にとって一番の天敵は時間だ。

自由な時間が減ると、脳のストレージも減るし、HPも回復しない。

コンディショニングの柱になるのは時間。

時間ができるとお金がないという問題が出てくる。

健康に時間を割けるというのは時間労働をしているうちは難しくなるのはそこだ。

相当まともな会社で働く人でない限り、日本の職場環境や賃金では健康にコストを割くというのはよっぽど好きでないとできない。

これが現状だ。

働くために健康でいるという考えは一度、脇に置いておこう

働くために健康でいようとする人はいると思う。

痛みや不調を抱えて仕事をするのはしんどいから嫌だ。

ただ、前にも書いたように

働いている人にとって、時間とお金にゆとりがないと健康にコストを割くのは難しい。

だとしたら、働くために健康を維持するという考え方から見直さないとならないのではないだろうか?

働く時間は一日の中でかなりの割合を費やすが、その人のすべてではない。

人生を豊かにしてくれるのはむしろ仕事以外の時間ではないだろうか?

しかし、その多くの時間は浪費していないだろうか?

なんとなくダラダラした時間、スマホをダラダラ流し見している時間。

その一部を健康に充てることはできるはずだ。

ながらでも構わない。

身体に栄養と休息を与えてみないか?

心身を整えるにはどちらから入ればいいのか?

心身のケアとなると日本ではどうしても選択肢が限られてくる。

マッサージや整体は手軽なもので活用できる。

また、フィットネスジムで汗を流したり、サウナなどに行く人もいる。

ちょっと意識が高い人なら瞑想やヨガ、ピラティスなどマインドに軸のあるものも人気だ。

簡単に分けるなら3つになる。

①人の手を介したケア
②運動
③温熱と発汗

これ以外にはあまりない。

そして、このどれもに心身を同時に整える要素が含まれている。

それを左右するのが質と環境だ。

質はセラピスト、トレーナー、インストラクターの質と経験。

施術内容とトレーニング内容の意図するもの。

環境は単純にその場の雰囲気、設備だ。

それ故、仕事のために、明日の身体のためにというマインドだと続かないし、時間と金に追われてしまう。

しつこく言うが健康は豊かさの一部だ。

自分の身体に休日を割いたり、空き時間を使う事は仕事のため、健康のためにはなるがそれは結果的な話でしかない。

お金や時間に余裕がなければ、
①セルフマッサージ
②自宅トレーニング
③入浴
でも代替はできる。

身体からのアプローチがいいか?心からのアプローチがいいか?などと考えず

心地よく、続けられるセルフケアを心がけ、人に委ねる安心感や満たされる感覚を軸に選択すると良いのではないか?

正そうとか、変えようとすると
身体からとか、心からとかいう発想になる。

そうではない
整えよう

自分を調律し、内観すると健康はそこにあると気づける。

めんどくさいは暇な証拠

習慣化や新しいことへの取り組みに弊害となる感情がある。

めんどくさいだ。

めんどくさいという感情はなぜ起こるのか?というと、ふたつ理由がある

*暇だから
*新しいことだから

この2点。

忙しく、やることが多い人はあまりめんどくさいとは思わないようだ。

めんどくさい感情は怠惰な状況で沸き起こるため、時間というコストには余裕があるはず。

歯を磨かない、お風呂に入らないと同じような現象だ。

もうひとつは
新しいことだから。

新しいことは知らないことだらけ。

なので理解したり、覚えたりが多い。

それを脳はめんどくさいなぁと言ってくる。

やっていればそのうち分かってくるものなのに、すぐに理解できないことが沢山あるとめんどくさくなる。

学習意欲が低い人ほどそうなりやすい。

賢い人はすぐに状況から理解できるので、片手間で出来るようになる。

小さい頃の学習習慣はこういったところにも現れる。

こう考えると
スケジュールを立て、コツコツやる

ボディコンディショニングにはこれが必要だとわかる。

めんどくさいという発想が起こったら

暇なら一つでもやる

分からないなら、考えずに感覚を意識する

これで十分だ。

正しいかどうかは後でいい

人間は正しくないことはやりたくないのに

自分の怠惰や素行には寛容だ。

問題行動は起こしたくなくても起きる

これは欲求の向く方に行動してしまうからだ。

話がズレてしまったが、身体をコンディショニングするというと

これで合ってるのかな?

という迷いが起こる。

間違っているかも?

と思い続けているうちに

まぁ、いっか

と辞めてしまう。

まぁ、いっか

とやり続けるのではなく、辞めてしまうのだ。

効果を感じないから無意味

というのも残念だ。

健康は長く続けたものが返ってくるものだから。

勿論、正しくできた方がいい

でも、多少不器用でも続けていれば恩恵はある。

とりあえず背中を伸ばしてみようか

長々とダメ出しみたいな話を回りくどくしたが、いい加減どこをどうすればいいのか教えろと言われそうなので、はたらく人々の身体について話していこう。

現代人の身体は

背中が丸くなりやすい
首が前に出る
肩が内側になる

デスクワークだけでなく、人間の作業は大体は前屈みで行うことが多い。

脊椎動物である以上、目の向く方向に身体は動くようにできている。

PCやスマホを見ている以上、頭が下がるような姿勢は避けられないのだ。

だとしたら、まずは背中を伸ばすことから始めるのはいいのではないか?

脊柱を伸ばす

仰向けになり、バンザイをし、脚も伸ばす。
顎を引き、背骨を長く保ちながら
深く息を吐き、軽く鼻で吸う。

丸まった背骨を反らずに伸ばす。

この感覚が掴めないと、立位や座位では体が反ったり、丸まったりする。

背筋を伸ばすにはこの7つが同時に必要だ。

*顎をひく
*目線を高くする
*胸を張る
*骨盤を保つ
*深く呼吸する
*地面をしっかり踏む
*膝を伸ばす

デスクワークの姿勢とはまるで真逆なのがわかるだろうか?

デスクワーカーにとって、姿勢の悪さというのは永遠の課題であるのはこのポイントが1日数時間も意識しにくいからなのである。

歩かないことが身体をおかしくする

座りっぱなしが寿命を縮めるというが、歩かないことが寿命を縮めると言い替えることができる。

歩かなくても、立ち上がることや貧乏ゆすりでもいいみたいなんだが、歩くに越したことはない。

歩かない事で厄介なのは筋肉量が低下することよりも、循環器系と刺激の低下が一番だ。

足は第2の心臓といったもので、下腿の運動は末梢の循環にとって欠かせない。

また、足に刺激がいくことは認知機能や脳への刺激にもなる。

座りっぱなしで数時間過ごすというのはこういったリスクを抱えているのだ。

構造的にもふくらはぎが硬くなると膝や足首に負担がかかるし、肩こりや腰痛を訴えやすくなる。

重心が踵に寄れば前のめりに歩行するし、重心がつま先に寄れば歩幅は狭くなる。

足が攣りやすくなるのは過剰な神経伝達によるものだから、硬くなった筋がうまく収縮できない場合に神経伝達がうまくいかずに起こることもある。

足をケアするには

*足趾
*土踏まず
*ふくらはぎ
*股関節

この4つの場所に注目したい。

足趾はほとんど意識することがない場所だけど、人間の足の中でも最重要だ。

靴の中でいつも窮屈にしていれば、足趾は動きにくくなる。

足の指を開いたり、揉んだりすれば血行も良くなる。

特に拇趾は歩く時や踏ん張る時に一番力が載るべきところ。

だが、足が内反しやすいと拇趾に体重をかけることが難しくなる。

外反母趾やアーチのアライメント不良による場合も考えられる。

そのため、次に注目するのが土踏まずだ。

土踏まずは人類にしかない構造で、直立して前進するためには足のアーチ構造は不可欠になる。

アーチのアライメント不良は重心がズレやすくなり、バランス感覚にも影響する。

アーチは身体を直立に維持するのにも不可欠だ。

人間の骨格構造は

*支える
*動く
*緩衝(受け止める)

この3つが基本になっている。

足の裏は特にこの特徴が含まれる部位だ。

足のアーチ不良はこの機能を低下させる。

足のアーチが安定するためにはふくらはぎ(下腿)はとても重要だ。

下腿は主に足首の関節を動かす。

歩かない暮らしだけでなく、歩かないのであれば走ったり、跳ねたりもしない。

足首には距骨という筋肉が付かない骨があり、下腿の筋肉はこれを跨いで付いている。

そのため、筋長がかなり長い。

小さな筋も多いのに、長さが長いということはそれだけ広い可動域を持っているということでもあり、

足首の可動性が乏しいということは、身体の柔軟性にも著しく影響する。

また、下腿の筋の中には血管や神経の通り道でもある。

コンパーメント症候群やエコノミー症候群といった下腿の血流障害もこの構造故のものだろう。

最後は股関節

股関節は肩の次に可動性が高い関節であり、下肢と骨盤を繋ぐ場所だ。

座りっぱなしの人にとっては、曲げるか伸ばすかの範囲しか動かすことがない。

しかし、股関節はHip jointと英語でいうだけに、おしりの筋肉との関係が深い。いや、お尻そのものでもある。

股関節の安定は骨盤の安定にそのまま繋がる。

股関節はお尻に加え、大腿部と体幹部にも筋があり、これらが協調し合ってこそ、股関節の自由度は高くなる。

また、鼠径部には血管や神経、リンパ節などが入り組んでおり、股関節の"つまり"感はこれらの循環器系、神経系にも影響を与える。

座りっぱなしでいたり、同じ姿勢でいる際に股関節の安定が不十分だと脚が浮腫みやすいのはこういう構造によるものもある。

大腿部は人間が持つ筋肉で最大である。

最大の筋肉というのはその必要があるからに他ならない。

では、人類にとって最も進化した場所はどこか?と言ったら脚であるし、それはなぜか?と言ったら平地を遠くへ歩くことだからだ。

人類は遠くまで移動すること、情報を広めていくことに身体を使ってきた生物なのだ。

よって、歩かない人は歩くこと。

1日8,000歩が目安だ。

歩いているなら、

ふくらはぎをほぐし、感度を高め、足首を回そう。
そして、股関節も大きく広く、たくさん使う。

股関節をうまく使うためには体幹の力が必要だと分かるだろう。

ちなみに

歩かないことが体調を崩すことはあるが、歩けば健康になるわけではない。

歩くことは最低限であり、前提だ。

そこを間違わないようにしたい。

首の疲れが気分をわるくする

背骨のある生き物は共通した特徴がある。

それは目の向いた方に身体は動くということだ。

デスクワークなどで同じ方ばかり向いていれば、身体は自然にそっちに向く。

目の疲れは首に負担をかけるのは体験的に感じたことがあるだろう。

眼精疲労と後頭下筋の相関性はよく語られている。

視線の方向に首が動くことから、この頚椎の回旋運動の半分を占める部位にはその役割により、筋収縮が起こる。

大きな回旋であれば、スムーズに動くはずのものが小刻みな収縮と目の疲労により、過緊張を引き起こす。

ちなみに人間の身体で最も疲れやすいのは目であり、次いで足だ。

首は目の疲れだけではない。

ストレスや過度な緊張、不安や考えすぎなどにより、固まっていく。

僧帽筋と胸鎖乳突筋という頭部の動きと安定に欠かせない大きな二つの筋肉。

これらは実は脳神経の支配も受ける。

脳神経XI 副神経

これは、自律神経を正しく機能させるための脳神経だが、特に副交感神経のはたらきと連携する。

そのため、精神的な緊張や長時間同姿勢による交感神経の過剰で持続的な負荷はこれらの筋肉を持続的に収縮させる。

首の緊張、疲労が蓄積すれば感情や感覚にも影響があるのがこれらのことからも想像しやすいと思う。

首のケアは
*目を瞑る
*ぼーっとする
*盆のくぼを軽く押す
*顎をひく
*ヘッドマッサージ

これらがきもちいい。

ドローイングで横隔膜を意識する

よく、

これはどこを鍛えたらいいのですか?

という質問を患者さんはする。

それは確かに必要な場合もあるが、それとは別に身体全体を使って動くという発想が世の中にはあまり浸透していない。

部位を限定して動かす、動きの分離が出来ないと繋げて動かすのは確かに難しいが、力のコントロールはこの両者で成り立っている。

身体全体を使うには呼吸とインナーマッスルが大事で、デスクワークなどで一日中首をすくめ、背中を丸めていると呼吸は浅くなり、胸ばかりでしてしまう。

ドローイングというトレーニングはこの呼吸筋である横隔膜と腹部、背部のインナーマッスルを連携させて動かす訓練だ。

日本の古来の身体術では丹田などと言ったりもする。

丹田は解剖学的には見ることが出来ないが、感覚的にある肚(ハラ)の中心のような場所だ。

着物文化の時代の日本人は帯を巻いて肚を意識しやすかったが、洋服になり重心が高くなった事で肚より胸の意識が高まった。

肚の感覚が大事なのは、腹側の副交感神経支配だからだ。

副交感神経には腹側、背側の二系統あり、背側は一般的な副交感神経で言われる休息、リラックスといった働きであるが、腹側はAWE体験と言われる感嘆や脅威に対する畏怖やスピリチュアリティなどの体験によって働くと言われる。

これは脳神経 XII迷走神経と連携したポリヴェーガル理論としても語られる。

呼吸は奥が深く、世界中で実践され、200種類以上の呼吸法があるとも言われている。

ヨガや坐禅のようなマインドフルネスな体験の中にも必ず呼吸法は実践される。

これら、内観的な呼吸には必ず腹式呼吸が推奨される。

また、呼吸に意識を向ける事で余計な思考が遮断され、時間軸的に"今ここ"に集中しやすくなる。

これは、脳の記憶を強化させる。

毎日が忙しいだけで呼吸は浅くなる。

そして、ぼーっとする時間すらなくなる。

こういう状態は痛みを感作させやすくなったり、神経伝達に誤作動を引き起こす。

力みやすくもなるため、肩こりや手指をこわばらせる。

ドローイングの実践は体幹のトレーニングとしてだけでなく、このような神経的な意味合いも深い。

日々忙しく頑張っている人が最高の1日をおくるために


頑張っている人はしなくてはいけないことや、誰かのために頑張っていることがあるかもしれない。

または自分に納得がいかず、自分の人生をより良くしようともがいているのかもしれない。

そんな時に体調を崩さないようになどと考える余裕なんてないと思う。

それより、痛みや体調不良によってはじめて自分が疲れていたことに気づくだろう。

時間やお金は有限で、その多くを健康維持のために注ぐわけにはいかない。

ゆるく、長く

そして習慣的にする事で、身体は整いやすくなる。

そのためにセルフチェックをたまにしてみてはいかがだろうか?

また、これをひとつの基準にすれば少しだけ体調のバロメーターになるかもしれない。

夢中で生きているから、身体が疎かになりやすい。

たまには頭を休め、身体に意識を向けてみないか?


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