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138億年の時間の中で☆第30話☆「光の差す方へ①」         

カフェで働きたい、パン作りをしたい・・・。労働意欲満々な長男は、いよいよ本格的に支援学校卒業後の進路について考える時期になりました。
本人の希望で決めるのが一番だよ、親の意向と全然違ってくるから、卒業直前まで子どもは成長するからね、と先輩ママ達からありがたいアドバイスをいただいて、いざ、事業所探しに動きだしてみると、候補をどうやって絞り込めばいいのか迷います。
そもそも、福祉サービスの種類が多く、事業形態や活動内容もわかりずらい。
みんな、卒業後は「はたらく」って言うけど、働くのであれば最低賃金が保障されているはずでは?という疑問があったので、進路担当の先生に聞いてみました。
障害の程度あるいは本人の特性によって、受けられる福祉サービス、および事業所は絞られてきます。よく耳にする、「就労継続支援A型」は雇用契約を結び、最低賃金が保障されるので、一般的に言うところの「就労」扱いと同じになっていて、「就労継続支援B型」「生活介護」等のサービスは福祉事業所の「利用者」という扱いになるそう。ここをクリアにしたのならば、目指す方向が見えてきました。長男の場合は「就労B」かなあ。
他にも、充実した青年期を過ごす「自立訓練」、企業雇用を目指す「就労移行支援」などのサービスや、直接、企業の障害者雇用枠に進む道があったり、職業訓練を受けたり、大学や専門学校に進学する子もいるみたい。
高校卒業したら大学、専門学校、一般就職という、いわゆる「普通」の生き方をしなくてはという意識はすでに皆無の私と長男。本人が納得した幸せな道を歩むのであれば形態はなんだっていいのです。
長男の場合、作業そのものへの関心もありますが、一緒に働いてくれる人、サポートしてくれる人にどれだけ信頼を寄せられるかが肝になりそうです。
どう考えても長男には難しいでしょうと思われるような学校の授業においても、サポートしてくださる先生と仲良しならば、投げ出さずに取り組むのだから。
長男の出来ないことを理解しつつ、良いところに意識を向けてくれる人が側にいてくれたなら、大抵の事はがんばれそうな気がします。
 
神戸市では、どの就労サービスを受けるか決定する際に指定された事業所でアセスメントを取る必要があるのですが、担当スタッフさんが長男の良いところに注目してくださいました。
「素直で真面目。なによりも愛される性格ですね。」と言葉にして伝えてくださりました。母としては踊りだしたいほど嬉しくて仕方がない。
出来ない事、良くない事なんて数え上げればキリがない。人間って、何故か欠けた部分に注目するように出来ちゃっているらしい。でも、出来る事、良い事に注目すれば、同じようにキリがないくらい挙げられるはず。
障害あるとかないとか、男とか女とか、若いとか年とってるとか関係なく、当たり前のように「いいところ探し」をするのが普通になれば、社会は明るくなるのになあ、なんて思うのは脳内お花畑すぎるかな。多分、それには訓練とか努力が必要なんだろうな。母になって18年。やっと少しは出来るようになってきた。
 
アセスメントをとった夜、長男が大の苦手な雷が鳴って怯え始めました。雷が怖いよ、と何度もくりかえす言葉の中に、色んな本音が漏れてきます。
「クリップを繋げることができなかった」と嘆いたのは、アセスメントの作業のこと。
 
そっか。全然気にしていないようなそぶりだったけど、本当は出来ない事が悲しくて、悔しかったんだね。でも、大丈夫。ママは、君の出来ること、いいところを見ているよ。台車を押す作業はよく出来ていたよね。
 
そう伝え続けることで彼の心の中に光が差し込めば、おのずと道は開けてくると信じています。
 
 
 
 
 
 

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