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プロ倫と寝落ち通話した話


驚愕の事実がある。私と陽はここ半年近く毎日寝落ち通話している。

付き合って1ヶ月くらいの6月の終わりにラインのしすぎでタスクがやばいということになり、1週間後の月曜日まで何の連絡もなしで、月曜日の放課後に駅で再開しようということになった。
1週間のうち2日目くらいまではなんだか自由な時間が増えた気がしてたまには悪くないなと思っていた。が、だんだんラインのトークの欄が下の方に埋もれていくにつれて寂しさが増していった。服が買いたいと思ったら相談したくなったし、友達の家で恋バナをぶちまけて踊ったりしていると、それも伝えたくて仕方がなくなった。当たり前のものがなくなると寂しくなるタイプの人間のようだ。そうして泥沼みたいになった私は、フォロワー0人の鍵垢に会いたいなんて書くほどちょっとアレな感じになった。
こんなアホな試みも虚しく、タスクの効率は大して変わらなかった。そして月曜日再開して二人ともこんなアホなことはやめよう、となったのだが、反動のようにそれまで週に1回とか2回だった通話が毎日になった。

当初私は理想の恋人を聞かれれば、毎日ラインしてこない人!と答えていたし、週に2、3回くらいラインするくらいがちょうどいいと思っていた。それが今や私が時々通話より先に寝落ちると怒ってくる(翌朝長大な惚気ラインが残されていたりもする)人と一緒にいるのである。

正直、イヤホンで朝起きると首が閉まってるし、耳に刺さってると自由に寝返りが打てないし、パソコンの画面を寝る直前に見ることにもなるし睡眠の質も下がるだろうし機器にも悪そうで、絶対毎日するもんじゃない…とも思っている。

ただ、当たり前のものがなくなるとそれを何かで埋めたくなってしまうのが人間のようだ。

陽が友達とキャンプに行ってしまった週末、夜の時間は暇だった。

文系大学生には古典読破マウントが存在すると思う。こないだも陽に何か詰められたとき、「あなたプロ倫読んだことある⁉」と言われた。なんだその詰め方!そっちこそあんのかよ‼と思ったが、なんだかんだといつも言い負かされているので、どうにかしていつか言い負かしてやりたい。そのためには、「あるよ!」と言えないといけないんじゃないか。負けず嫌いの私は大学図書館のサイトから電子化されている「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」通称プロりんを探し、難しい文章は何回も同じところを読んでしまうので読み上げ機能で聞いてみた。

最初はふんふんと思っていたのだが、寒くなってきて、布団に入って、気づいたらメガネを取って、電気を消して、いつものように、イヤホンをしたままうっとりと眠っていた。

朝起きてハッと取れていたイヤホンを耳に刺すと、まだプロりんの人工音声は私がだいぶ前に寝落ちたことも知らずに語りかけていた。

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