徒然物語6 買います?

私の旦那は食器販売の商社に勤めていたけど、もうここで学ぶことはない!起業する!って急に言い出して、会社をすんなりと辞めてきたの。

最初は驚いたけど、私もフリマアプリで小遣い稼いでる、個人事業主みたいなものだったから、まあ、頑張ってみなよって軽い気持ちで手伝うことにしたの。

何を売るかって?結局できるのは食器を売ることだけだから、今までの経験を活かすことにしたわけ。

どうやって売っていこうか?タンブラー1個が1,200円くらいとして、手元に残る利益はほんの200円くらい。1か月生活するためには1,000個は売らないといけない…
前勤めてた商社は大きかったから、それくらい余裕だったみたいだけど、さすがに個人では難しかも。旦那もさすがに、「う~ん」って首をひねってた。

「タンブラーとお酒のセットで売ろう!」
「オーダーメイドのオリジナルデザインタンブラーを作ろう!」

たどり着いた答えは、タンブラー+お酒のセットとか、デザイン性の高いタンブラーを、ECサイトで直接消費者に販売するプラン。
買う人は、きっと大切な人への贈り物にするだろうから、「父の日」とか「還暦」とか、そういう記念日のニーズをキャッチすれば飛ぶように売れるはず!

どう?私と旦那が考え抜いた計画なの!

でも、最初の仕入れとか、ECサイトの開設費用とかで、300万円くらいお金がいるみたい。そんな大金、手元にないから、融資してもらうために旦那と銀行へ行ってみたの。

そしたら、あの銀行員、私たちが作った事業計画を一通り見て、いろいろ難癖付けてきたの!

「ECサイトをいくつか見ましたけど、オリジナルデザイン承ります。といったサービスは既にあるみたいです。しかも価格は4,000円台のものもあります。同じようなサービスで価格は高め。しかも新規で参入するわけです。競合に対して勝算はありますか?」
「お二人が考えたこだわりを、消費者は理解してくれますか?同じサービスなら、値打ちなほうを選びませんか?」
「お酒は消費者が自分で買ってきて詰め合わせることもできます。このセットサービスで原価が2,000円程度のものが、6,000円で本当に売れますか?」

散々こき下ろして、私たちがあれこれ回答したにもかかわらず、最期にこう言われたのよ!

「うーん、この事業計画では、本当に実現できるのか、難しい気がします。開業にあたって自己資金がないというのも、計画性に乏しいですし、もう少し見直されてはいかがですか?」

なんて言って、融資は難しいからの一点張り。
全く、あきれたわ。
夢の実現に手を差し伸べるのが銀行ってもんじゃないの?なによっあいつ!

ふん!まあいいわ。お金を借りる手段なんていくらでもあるんだから!
もともと、銀行融資なんてバックアップくらいにしか考えてなかったし!

時代は、そう!クラウドファンディングよ!
広告宣伝にテストマーケティングをしながら、資金調達できるなんて一石で何鳥もゲットできるってもんよ!

この事業、必ず成功させてあの鼻もち金貸しヤロウをぎゃふんと言わせてやるんだから!

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