つち

2024/2/24 自分自身の文章力を磨くために、1日1稿目指して頑張ります。 ぜひ、…

つち

2024/2/24 自分自身の文章力を磨くために、1日1稿目指して頑張ります。 ぜひ、ご感想や、書き方のご指導をよろしくお願いします。

最近の記事

徒然物語65 私は名探偵♪

休日の昼下がり。 穏やかな日差しが軒先に入り込んでくる。 ウッドデッキにリクライニングチェアを運んだ私は、紅茶をお供に小説の世界に浸る。 ささやかな楽しみだ。 近所の子供たちが庭先で遊んでいる声が聞こえる。 まだ保育園か、小学校低学年くらいだろう。 近所のお友達4,5人ではしゃいでいる。 子供たちの元気な声をBGMに読書に耽っていると、 ふと歌声が聞こえてきた。 『わーたしはー 名探偵♪ 毒グモさーがーすー どこにーいるー?』

    • 徒然物語64 ブリまで満たす?

      今年で35歳。 仕事を辞めて5年。 アルバイトを辞めて4年経ったから、 ニートになって早1年か。 どうやら貯金が底をつきかけているみたい。 手っ取り早くお金を稼ぐ方法はないかと考えて、動画検索をしたところ、 『あなたのビジネスで持続的な競争優位を築く!VRIO分析!』 なるタイトルが飛び込んできた。 VRIOでなんて読むの? 軽い気持ちで視聴すると、どうやら“ブリオ”と読むらしい。 ビジネスで重要なのは、ライバルが持っていない『強み』を

      • 徒然物語63 明日が読めない

        きっかけは2週間前。 バイト帰りに薄汚い露天商に呼び止められた僕は、怪しげな古新聞を売りつけられたのだ。 露店商の老人曰く。 「この古新聞には、“明日の出来事”が載るんじゃよ。」 本来なら全速力で逃げ去るべきだが、その日の僕は気分がよかった。 バイト代が入ったからだ。 聞くと、どう見てもボロ紙にしか見えないこの古新聞は、毎朝世界中の主要なニュースが自動的に載るらしい。 それも翌日の出来事が。 そんなことあるはずないが、哀れな老人へのちょっとした人助けと

        • 徒然物語62 時に、アナログ

          「東西食販さんが物産展を開くそうだが、当然、知っているよな?」 部長から何気ない一言が降ってきたのは、外交に出ようとした、まさにそのタイミングだった。 「えっ…」 間の抜けた表情を向けると、部長は半ば呆れた口調で、 「なんだ、知らないのか。取引先の催しくらい、営業担当者なら把握しておけよ。SNS、チェックしてないのか。」 と言って、スマホの画面を向けてきた。 一瞬見えた画面の情報によると、どうやらそのようだ。 東西食販は総菜をはじめとした食品関連を

        徒然物語65 私は名探偵♪

          徒然物語61 生活様式

          「いらっしゃいませ~」 「ありがとうございました~」 このドラッグストアにパートで勤めるようになって早5年。 夕方17時から閉店まで入れる私は重宝されて、パートリーダーなんて任されている。 レジ打ち、品出し、棚卸に清掃… お客様が少なくても、やることは山のようにある。 長い時間をこのお店と共に過ごしてきた。 さすがに5年もいると、お客様の顔がわかるようになってくる。 特に常連さんともなればなおさらだ。 私はお客様と積極的にコミュニケーションを図る質

          徒然物語61 生活様式

          徒然物語60 親睦

          社内のコミュニケーション円滑化を目的に、すごろく大会を開催することにした。 無礼講で、部門や上下関係にかかわらず、4人チームで親睦を深めようという企画だ。 社長である私のチームにも、総務、営業、調達の各部門から、若手の社員が集まった。 若手社員の声に耳を傾けると、会社のトップなのに現場レベルの話で知らないことが多くあり、大変驚かされている。 今も、調達課の早野田君が、楽しそうにサイコロを振っている。 「やった!6の目が出たんで、6つ進みま~す! 止まったマ

          徒然物語60 親睦

          徒然物語59 ソウルサイクル

          信号待ちの車内。 少し開けたサイドウィンドウから、春らしい暖かな空気が流れ込んでくる。 ふとした時に、考えることがある。 人は死んだらどうなるのか。 誰もが一度は疑問に思うだろう。 神様、仏様を信じている人 死んだら無と考えている人 漠然とただ不安を抱える人 考え方は人それぞれだ。 私にも考えがある。 やはり生き物には魂というものがあると思う。 魂は死ぬと肉体という器から抜け出て、別の生物に生まれ変わるのではないか。 それは、人間にとどまら

          徒然物語59 ソウルサイクル

          徒然物語58 フールプルーフ

          痛い、痛い! 頼むからそんなに強く叩かないでくれよ! ちょっと間違えただけじゃないか! 『機械発注のご依頼』 こう出力しようとして、 『奇怪爬虫の呉懿雷』 って誤変換しちゃっただけさ! 誰にでも間違いはあるだろ? しかも、「はっちゅう」を誤って「はちゅう」って入力したのは、他ならない、あんたなんだぜ!? なのに、全部おれが悪いかのようにエンターキーに渾身の一撃をかますのはやめてくれ! 大体、おれたち機械の間じゃ「フールプルーフ」は基本の

          徒然物語58 フールプルーフ

          徒然物語57 地球かじり虫

          地球かじり虫が飛来して早5日。 どうやら南半球は食い尽くされてしまったらしい。 奴は突然南極に降ってきた。 大きさは、オーストラリア大陸くらい…らしい。 巨大な巨大な芋虫のような姿。 宇宙から落ちてきたくせに、飛べないらしく、ひたすら地を這って行進が始まった。 氷山も大地も、砂漠も山脈も森林も関係なく、ガシガシと食べ始めたのだ。 海はさながら極上のジュースといったところで、あっという間に飲みつくされた。 人類は団結して、巨大な悪魔に戦いを挑んだが、

          徒然物語57 地球かじり虫

          徒然物語56 望むように生きて

          早朝の営業課は、まさに戦場のようだ。 特に月末ともなれば、ノルマの達成状況や、売上金の回収状況で部長・課長をはじめ社員全員が慌ただしくしている。 「今月いくら取ってきた!?…たったそれだけか!何をやっていたんだっ!?」 怒声が響く。 姉川辺さんが直立不動でうなだれているのが見える。 課長が、営業課員のノルマ達成状況をチェックしているのだ。 未達成の社員には、“詰め”という名の愛の鞭、もとい、厳しい叱責が入るのだ。 そして次は、私の番だ。 私もか

          徒然物語56 望むように生きて

          徒然物語55 新連載

          私達の日常では 時として予想だにできない超常現象が巻き起こる 怪異、幽霊、妖怪… 彼は、そんな驚異から人々を守るため立ち上がった正義の味方 その名も 陰陽師 呪詛柱・断三郎! さあ、彼とその仲間たちの活躍に刮目せよ! 「どうですか? 新連載はこれで行こうと思うのですが。 断三郎は陰陽師の家系で生まれつき霊媒体質なのです。 でも、実は母は妖狐という設定で…」 「待って、待って。まずこれ、ギャグマンガで行くおつもりですか?」 「いえいえ。少年漫画にふさわしいバト

          徒然物語55 新連載

          徒然物語54 約束

          「明日、お友達と遊ぶ約束したんだ~」 「同じクラスの、あおくんだよ。」 「小学校で、お侍さんごっこして遊ぶんだ!」 「じかん?えーっとね、朝ご飯を食べたらねって約束したんだ!」 「とけいのはり?ううん、そんな話はしなかったよ。」 「だからお母さん、明日遊びに行ってもいいよね?」 「うん、宿題も夜ちゃんとやるから。ね、お願い!」 「ただいま~…」 「あおくんね、来なかったよ。だから、砂場でお山を作って遊んでたよ。」 「じかん?わかった。次は

          徒然物語54 約束

          徒然物語53 機械音痴

          (ここまではOKなはず。面接官は聴く姿勢を大切に。 相手を引き出すことを心掛けて…) 「ありがとうございます。あなたが弊社を希望した理由はよくわかりました。それでは次はあなたの長所と短所を教えてください。」 「はい。まずは長所ですが、何事にもあきらめずに取り組む粘り強さだと思っています。学生時代はテニス部に所属し、苦しかった練習を仲間とともに乗り越えてきました。」 「わかりました。続けてご自身で短所だと思っている部分についてお話しください。」 (しまった。長所について

          徒然物語53 機械音痴

          徒然物語52 シャッターは語る

          雑居ビルの駐車場はこの時間にしては、埋まっているほうだろう。 なにせまだ10時40分を回ったくらいだ。 店の前にはまだ誰も並んでいなかった。 11時の開店まで車の中で待っていよう。 誰か並び始めたら、自分も並ぶか… 本日の目当ては“薬膳蕎麦”。 ここを訪れたのは実に10年ぶりくらいだろうか。 十数年も前に同僚と行ったっきりだ。 先日、地元の情報誌を眺めていたら、不意にそのお店の広告が目に飛び込んできた。 懐かし。このお店まだやっていたんだ。 当時

          徒然物語52 シャッターは語る

          徒然物語51 合言葉

          四年生のみんな~こんにちは~ 新しいクラスには慣れてきたかな? みんな知ってると思うけど、最近、お空にUFOって呼ばれる大きなお皿がよく現れるようになりました。 今のところ、ただ浮いているだけですが、いつみんなが怖い目に会うかわかりません。 そこで、先生がUFOに連れ去られないために、気を付ける約束事を考えました! 今から黒板に書きますから、この6コをみんなで覚えようね! ① 近づいてきたら、大きな声で助けを呼ぶ ② 着陸した怪物体

          徒然物語51 合言葉

          徒然物語50 ペルソナライダー

          うるさいなあ。なんだ、この音は? ぼやけた頭とは裏腹に、耳は確かにその音を捉えていた。 まるで巨大タンカーの霧笛のような… 鈍い重低音が、わずかな地響きと共に伝わってくる。 半目を開いて横の携帯を見ると、時刻はまだ0時を少し回っただけだった。 寝入ってから、まだ1時間くらいか…てか、こんな時間になんて迷惑な奴だ… 音の正体が、バイクから発せられるエンジン音だと気づくのに、そう時間はかからなかった。 空ぶかしなのか、時折大気をつんざくような高音が混じ

          徒然物語50 ペルソナライダー