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「かき」の食べ過ぎにご注意を~牡蠣編~

昨日、「柿」の食べ過ぎによる腸閉塞に関して記載した。
今回は、「牡蠣」に関してである。

「牡蠣」を食べることによって病気になる場合、ほとんどが「感染」したことが原因である。何に感染するか?というと、ウイルスと細菌である。ウイルスと細菌、違いについてはまた後日。

1. ウイルス感染

1-1. ノロウイルス

最も多いのが、よく聞く「ノロウイルス」であろう。冬になると、毎年多くの感染者がでる。「牡蠣にあたった」という話を聞いた場合、ほとんどがこのノロウイルスが原因だ。

食べてから約1日後くらいに激しい嘔吐、下痢が出現する。実際、9年ほど前に私もかかったことがあるが、しばらくトイレから離れることができなかった。1日過ぎると症状はやわらぎ、2~3日で吐き気はだいぶ治まる。1週間もすれば通常の生活が送れるくらいには改善することが多い。

ノロウイルスはアルコール消毒が効かないため、家族でノロウイルスにかかった人がいると、他の家族にもうつる可能性がある。手洗いを徹底する、トイレを共有しない、トイレが一つしかない場合には次亜塩素酸ナトリウムで消毒する、等の対策が必要だ。

1-2. A型肝炎ウイルス

あまり聞きなじみがないウイルスかもしれない。B型肝炎、C型肝炎は聞いたことがあるが、「A型肝炎」なんてあるのか??あるのである。
肝炎ウイルスにはA~E型まであり、B型とC型、D型は血液を介して、それ以外は口からウイルスが入ることによって感染する。

牡蠣によって感染するのは、このうちの「A型肝炎ウイルス」である。
潜伏期間は平均4週間程度で、症状はインフルエンザに似ており、発熱や体のだるさ、食欲の低下などである。インフルエンザとは異なるのは、皮膚や粘膜が黄色くなる「黄疸(おうだん)」と呼ばれる症状が出ることだ。牡蠣を食べた1か月後くらいに、黄疸を伴った発熱等が見られれば、肝炎ウイルスに感染している可能性がある。

2. 細菌感染

牡蠣によって感染する細菌で代表的なのが「腸炎ビブリオ」である。腸炎ビブリオ菌の潜伏期間は6~12時間前後(日本内科学会)で、症状としては腹痛や下痢、嘔吐、発熱が多い。基本的に、数日で軽快するが、肝臓が悪い人は要注意である。

肝硬変にまで至っている場合、腸管の防御機構が破綻しており、感染に弱い状態となっている。そこへ腸炎ビブリオが入ってくると、腸から肝へと流れつき、強い炎症を引き起こすことで、肝臓の機能が急激に低下してしまうのだ。
※医学的には、慢性肝障害の急性増悪であるacute-on-chronic liver failure(ACLF)発症を意味する。細菌感染症がACLF発症の誘因になることは広く知られている。

この腸炎ビブリオだが、食品の適切な管理や調理によって防げる場合がほとんど。37℃前後の環境下に放置された食品中では、1個の細菌がわずか3~4時間の間に1000万個ぐらいに増殖し、食中毒になる可能性が高くなる。 購入は買い物の最後にし、寄り道せずに帰宅することが望ましい。

3. まとめ

いずれも感染も十分な加熱処理にて予防できる。
一方、生で食べるときには、どんなに気を付けていても感染するときは感染する。でもおいしいし、やっぱり生で食べたい。数日で軽快することがほとんどなので、治療中の病気がなく健康な人は、かかることを覚悟で食べるのも、まぁ、アリ・・・かな?

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