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楽して痩せたい正月太り~ガセリ菌~

年末年始は体重が増える。ひたすら増える。
食事抑えて、運動すればいいのは分かる。
だがやる気が続かない。簡単に痩せる方法はないものか・・・。
内臓脂肪を減らすと書かれている『ガセリ菌』。
効果あるのだろうか?論文を調べてみよう。

検索結果

NPO医学中央雑誌刊行会が作成・運営する、国内の医学・歯学・薬学・看護学及び関連分野の論文情報を網羅的に検索できるサービス『医中誌』で「乳酸菌 内臓脂肪」をキーワードにして検索すると、26件と表示された。そのうち、雪印メグミルクミルクサイエンス研究所所属の塚原拓也氏らの『ガセリ菌SP株の内臓脂肪低減作用(解説)』(Functional Food (1882-3971)15巻1号 Page38-42(2021.03) )は、ガセリ菌SP株を含む発酵乳を摂取すると内臓脂肪面積が有意に減少すると報告されている。具体的な内容は以下の通りである。

ガセリ菌SP株群を含む発酵乳を摂取するグループと、含まない発酵乳を摂取したグループに分け、それぞれ発酵乳を100gずつ12週間摂取したところ、含まない発酵乳グループでは内臓脂肪ほとんど変化しなかったのに比べ、含むグループでは平均5%程度の内臓脂肪面積が減少している。この結果をもって、『恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト ドリンクタイプ』の内容量は100gとなっているようだ。

この論文には、ガセリ菌SP株が脂質の単位体積当たりの表面積を減少させることが示されている。表面積を減少することで、脂肪を分解する消化酵素(リパーゼ)が作用する面積が小さくなり、脂質の消化管への吸収が抑制
されるようだ。実際、ガセリ菌SP株を含む発酵乳を摂取したグループでは糞便中の脂肪濃度が増加しており、吸収されなかった食事由来の脂質が吸収されることなく体外に排出されていることが記載されていた。

ガセリ菌とコレステロール

ガセリ菌には、似たような機序で血中コレステロールを下げる効果もあるようだ。以下は『境界域及び軽度高コレステロール血症に対しLactobacillus gasseri(ガゼリ菌SP株)を含有する発酵乳は血清コレステロール値を低下させる』(梶本修身氏、日本乳酸菌学会誌13巻2号、Page114-124)を参考にしている。

この論文に書かれている乳酸菌がコレステロールを減らす理由は以下のとおりである。①腸管内でコレステロールを吸着し便中に排泄させる、②胆汁酸の排泄を増やし、コレステロール →→ 胆汁酸への代謝を促進させることで、肝臓のコレステロールプールが減る、③コレステロールプールが減少することで、細胞表面のLDL受容体が増える。(LDLコレステロール:いわゆる悪玉コレステロール。肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割を担う。LDL受容体が増えると、LDLが細胞内へ取り込まれて血中から減り、肝臓から全身へ送られるコレステロールが減る。)

この機序は、脂質異常症治療薬として使用されているコレスチラミン(クエストラン®、陰イオン交換樹脂)や、コレステロールを下げる作用を持つとされる大豆たんぱく質、キトサン(カニやエビの殻から作られる不溶性の食物繊維)、オートブラン(オーツ麦を製粉する過程で出る、オーツ麦の外皮の粉のこと)などの作用機序と同じである。

まとめ

この作用からすると、今ある内臓脂肪を燃やす、というよりは、食べた脂肪を吸収しにくくする、といった作用のようだ。つまり、ガセリ菌摂っていても脂肪とりまくっていれば太るだろう。

脂肪の摂取量が今と変えられないなら、楽して痩せたいなら、これらの論文を信じて乳酸菌を摂ったり、大豆たんぱく質やキトサン、オートブランを試してみるのもよいだろう。私は昼食をオートブランに置き換えてみよう。お弁当を買うより食費も浮くかもしれない。

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