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新潟県上越市、岩の原葡萄園、マスカットベーリーA2015バースプレイス

今日は、日本のワインの草分けの一つである岩の原葡萄園のフラッグシップの一つマスカットベーリーA2015を開栓した。

新潟県の中でも、上越市は、あまり注目度が高いとはいえない地域である。私も結婚するまでは、行ったことはなかった。

しかし歴史好き男子は、上杉謙信の春日山城があるところというと、ハッと思い当たるのではないだろうか。

またスキーや登山が好きという人は妙高高原の近くというと、場所を理解してくれるのではないだろうか。

ただ、新潟県は主に米どころとしての印象が強く、日本酒なら有名だが、ワインとなると???と思われるかもしれない。

最近では、新潟県西蒲区角田浜という場所にカーブドッチをはじめ個性的なワイナリーが集まり、新潟ワインコーストを組織している。ボルドーに土壌がにているというのだ。しかし、それもまた下越の新潟周辺のこと。上越市は、もっと富山寄りの雪深い地域であり、そんなところでワインなんて?と思われる方も多いと思う。

明治時代、この地に川上善兵衛というお金持ちでかつ篤志家がおり、冬の間の産業を興すためにワインづくりに手を染めた。しかし、湿気は多く、雪も多い頸城平野において栽培できるワイン葡萄の品種はなかった。そのために様々な品種を掛け合わせてできた葡萄が、このマスカットベーリーAである。

マスカットというが黒葡萄である。ベーリーというがベリーではない。Baileyである。Bも最初品種のうちにあったが、Aだけが生き残った。

そうして多くの日本適合ハイブリッドを生み出した善兵衛は、途中サントリーの支援を受けたりして事業を長らえていたものの、最終的に本人は一文なしになって亡くなったと言われる。それは終戦前だったようだ。

戦後の岩の原葡萄園の歩みはわからない。

しかし、細々とワインを作り続けていたんだろう。

私が最初に意識したのは2002年くらい。1990年代後半より、注目を浴びつつあり、田崎真也氏が深雪花を強く押していたことを覚えている。

コルクに「キュヴェ タサキ」とあります

深雪花を初めて飲んだのは2004年くらいのことだったろうか。甘い、薄いと思っていた日本のワイン(それは輸入果汁を日本国内で醸造したものに過ぎなかった)とは異なり、濃厚なのに飲みやすかった(それが良かったのかは、今は少し悩ましいが)。

しかし、深雪花は、補糖用のワインがビンテージ違いでブレンドされていたんだろう。ヴィンテージ表記はなかった。そんな中、ベーリーAの単一品種でのリリースが2005、2006とあって、それを買う名誉にあずかれた。

ベーリーA旧ラベル
ブラッククイーンも善兵衛品種

これは2006のものだが、確か、2005を買ったのが初めてだったんではないだろうか。それは写真が残っていない。たぶん、まだ、それらを撮影して人に見せるという発想がなかったと思う。

一番古いヴィンテージはこれかも。のちに「ヘリテイジ」になるライン

そして、単一マスカットベーリーAのラベルと値段が変わったのが2013だった。

2013

酸味が割と強く感じた2013年だが、

2014

2014はこなれており、銅賞だけれども、大変美味かった。ただ、その飲みやすさが銅賞なのかしらとも思ったり。

このあたりから、義父の具合が思わしくなくなってきたので、岩の原葡萄園に行っても、それを消費するタイミングがなくて、次のビンテージからはセラー放置になってしまっていた。

それが今回飲んだバースプレイス。

バースプレイス2015

実はこの「バースプレイス」と入ってないエチケットのものが先行して発売され、むしろそっちが今まで飲んできたものに繋がるもの。「バースプレイス」なしエチケットのものがまずリリースされ、そのあと何かイベント的なものがあったのかな?120周年とか。それで「バースプレイス」が記載されたものがリリースされていったと記憶している。

「記載ありと記載なしで何か違うんですか?」と聞いたら、同じです、と言われ、おいおいそこストーリーと思わなくもなかったけど、それでいいかな、と。

裏エチケット

香りは、若干のキャンディ香。プルーン。スミレの花。リコリス。ハーブの感じも。

味わいは、果実の甘みを感じるも、穏やかな酸味に、ややクールなハーブのニュアンスを後追いで感じた。最終的には、ハーブとタンニンが口の中にクールに広がっていく。

美味しい。


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