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無人島に持っていくべき名盤10

はじめに

 ちょいと前に無人島に持っていきたい名盤についてTwitterのタイムラインで騒がれていた。

 この題材に興味があり自分でもやってみたいと思いやってみる、というような土佐日記的なはじまりでこの記事を開始する。海をテーマに曲作ることが多いために、自分にはおあつらえ向きというわけだ(自画自賛)。また、完全に私の好み価値観で作成したのであしからず。

1 Milton Nascimento / Clube da esquina

 今やMPBの超代表作で異国情緒とミルトンの世界最高峰のボーカルが唸る名盤。ベタだがこれは入れたい。

 街角クラブと邦題されるもはや説明不要のアルバムではあるのだが、まるで田舎で鳥が飛翔する様を体現したかのような繊細、かつメロディアスなアコースティック。島や砂浜、小屋、生い茂る木々、それらにはこの作品こそうってつけであろう。街角なのにそのような香りを感じるのは一応の日本という国に住んでいるおかげなのか、それとも瞼の裏に焼き付いたこの郷愁感漂うジャケットのせいなのかは定かでないが。

 反対にこれ以上に人がいない自然豊かな場所で聴きたいアルバムがあるのだろうか。そりゃもう私は人類一人になってもこのアルバムを聴いちまうだろうよ。

おすすめ曲
・青列車
・街角クラブ NO2

2 Rock 'n' Roll with the Modern Lovers / Rock 'n' Roll with the Modern Lovers

 Velvet Underground等の影響を受けた、各メンバーの美的音楽センス光るフォーク・ルーツやアッコースティックロックのアルバム。

 坂本慎太郎氏もフェイバリットにあげていたこのアーティスト。こちらもまた一曲目からチャイナ的異国情緒のあふれる楽曲であるが、ジョナサン・リッチマンのローファイ且つ優しくもあらぶり、ヘッドフォン越しに熱い思いを語りかけるようなボーカルが大好きなのだ。

 もしも無人島で木を切るようなことをしてる時に「Afternoon 」- 「Fly into Mystery」でも聴いてしまったら、僕はひとたび斧を握る手を休めて生ぬるい水でも飲んでカフェ気分で満喫してしまう。それは非常に楽しそうだなぁ。

おすすめ曲
・Afternoon
・Coomyah

3 Caravan / In The Land of Grey and Pink

 これまたアコースティックのルーツ的響きの格好のよろしばイギリスのプログレバンドCaravanの1971年の作品。有名な曲としてGolf girlがあるがこの曲を聴きながら、その微笑ましいリリックにニカニカしながら火でも起したいものだと思う。

   プログレとして認められそして崇められているバンドではあるんだけどさ、結構なポップセンスがあるところが結構魅力的なのだ。ひとたび「Love to Love You (And Tonight Pigs Will Fly)」を聴けばバックのコーラスワークやメインメロディの秀逸さがうかがえる。

 こういう70年時代的な情緒の光るプログレッシブロックが私は大好きなんだ…そしてマサラタウンにだけは帰るなサトシ。君のその愚行で一つアニメが終わってしまうこともあるのだ。(新作ポケモンイイケド)

おすすめ曲
・Golf Girl

4 Fishmans / ORANGE

 何かレゲェ的文脈を感じる作品も欲しいと思ったこの企画。ちょうどよくJPOP的おいしさと、沈んでいくようなヴォーカルもないと無人島で一人はSAN値がもたないなぁ…とも思う。いやぁレゲェダブぽい作品であり海や空のよく似合うヴォーカルでありつつJPOP的風味の聴いた極上お料理なんて…あるんですよ奥さん。

 Fishmans/ORANGEは例の三部作が異彩を放つこのバンドのディスコグラフィーの中では、このテーマにはうってつけの作品ではないであろうか。燃やす木を集めながら、「いまはいいよマイライフ♪」と口ずさむ自分を想像するとまさにそこが楽園に違いないと思ってしまうのだ。

 このアルバムでの自分のフェイバリットは「夜の想い」なのだが、この曲はまさにタイトルの通り真夜中にトリップしたいときに聴くことにする。幸せの白い犬は無人島にはおそらくいないけれどね。

おすすめ曲
・メロディー
・MY LIFE

5 Captain Beefheart and The Magic Band / Trout Mask Replica

 おそらく選出の中で最も奇怪なアルバムはこれであろう。ポリリズムの極致と音楽的な技巧意義を問うアルバムではあるが、無人島での膨大な時間を消費するのにこのアルバムはいいだろうと思い選出。

 難解なアルバムと言われがちな本名盤であるが、意外とわかりやすいアルバムなのだと思っている。よくよく聞いてみると各フレーズのポップセンスが秀でているものであったり、こんなに珍妙な音楽が続くのに根はブルースロックであったりするのが面白いよね。やや取っ掛かりにくい要因のひとつでもあるこのボリューム感も、ただ永遠と孤独の続く無人島では強い味方になってくれるのがありがたいものだ。

おすすめ曲
全部聴け

6 青葉市子 / 0

 ああ...このアルバムを真っ先に無人島に持っていくものとしておもいつてしまった。いや、青葉市子以外に自分の琴線に触れられるものはないくらいに一時期思っていたよ。

 オルタナティブ・フォークとして根深く、圧倒的に日本人特有のノスタルジアを洪水のごとく耳に流れ込ませてくる全うに素敵なアルバムだ。フォーキーな味わいなのにところどころ深海へ引きずり込まれるような美しさとほの暗さ、闇の中に一人ぼっちに置いてかれた中に手を差し伸べてくれたような心地がするのだ。

   いきのこり●ぼくらを歌う自分を想像していると僕はいつでも青葉市子の限界ヲタクになってしまう…誰か僕を救え。

おすすめ曲
・機械仕掛之宇宙
・いりぐちでぐち

7 Ben Watt / North Marin Drive

 こちらもまたフィンガーピッキングの気持ち良さ全面アコースティック能力がフォークロックやジャズ、時にはボサノヴァから繰り出されるベン・ワットのファーストアルバム。やはりといった感じではあるが、アコギの名盤が多いような印象のあるこのリストである。

 上記にはぴったしのアルバムであろう本作だが、自分が何よりも好きなのはベン・ワットの触れれば消えてしまいそうなほどのボーカルだ。自分の敬愛するElliott Smithにも通ずるところのある、儚げでどこかけだるい唄を聴くと母なる海の優しさの中で死んでしまってもいいくらいだ。

 あとほら、意地悪な女の子、例えば宮園かをりちゃんなんかに永遠意地悪されたいじゃん?だけど意地悪のなかに本質を突かれた心地があるというかさ、このアルバムはとにかくそういうことなんだよ。

おすすめ曲
・Waiting Like Mad
・Aquamarine

8 OASIS / (What's the Story) Morning Glory?

ここであえての斬新な沈黙を施す。






























いやぁこのアルバムをあえてここで語る必要はないじゃんか。
語らなくてもいいことが時にはあるのだよソフィー婆さん。

おすすめ曲
・特になし

9 Sean Nicholas Savage / Shine

 個人的2022年超感傷破壊装置その③、それがこのアルバム。Ben Wattの章でも触れたがこれこそまさしくアコースティックギターやエレピの「あ、それ気持ちいいやつー」をふんだんに詰め込んだ自分だけが持っている宝の地図のようなアルバムである。

 各曲の温もり感じるハーモニーセンスもさることながら、本人談でもある山下達郎や、大滝詠一のようなセンスを時々感じるのが癖になる。どんな屈強な男もビーチリゾートでこれを聴いたら微笑と慈愛の中でゆっくり眠るだろう。

 行くのは無人島であるが是非持っていきたいね。あわよくば海鳥達にも歌ってほしい気持ちで。

おすすめ曲
・Feel Like Child

10 岡田有希子 / 十月の人魚

 最後の一枚はユッコという愛称で親しまれ、デビューからわずか三年で自殺してしまった天才アイドル岡田有希子から十月の人魚。

 私がこのアルバムを発見したのはApple Musicのおすすめからだっただろうか…とにかく和風の邦画的背系のなか、まるで天使のような姿とは裏腹に何か物憂げな表情に釣られてすんなり入ってしまったことを覚えている。

 財津和夫、竹内まりや、若かりし頃の小室哲哉など豪華作曲陣が迎えられた今作。「ポスト松田聖子」とも言われるだけあるユッコの純文学少女のような涼しげなヴォーカル能力が遺憾なく発揮された作品であり、一重に歌謡曲としてくくられるにはもったいないほどの音楽拡張性のあるアルバムだ。水色のプリンセスは小室全開でロンサム・シーズンとかマリヤ節の煌めく曲なのだが、しかしながら彼女のウィスパーみのある声で訴求力がかたまっちまうのは良いアイドルの証拠だよな、としみじみ感じる。

 もしも叶うならば、家作り作業でくたくたになった後に白いワンピースの似合うこの方に会えたら良いな、と想像する。するととんでもなくいたたまれない気持ちになってしまうのだ。

 宮園かをりと岡田有希子、その2人と会ってみたかった~🥺🥺🥺

おすすめ曲
・Sweet Planet
・十月の人魚

番外編

ここで10枚には入らないがぎりぎりまで迷った作品を紹介する。


パソコン音楽クラブ / See-Voice

 青春的きらめきと海に対する感傷マゾを煮込んで郷愁感で味付けしたようなパソコン音楽クラブのアルバム。本当に大好きなアルバムだが、どちらかというと海中都市で聴きたい音楽だよなと思い選出はしない。panoramaとか聴きたいね。

Men I Trust / Untourable Album

 チル系ドリームポップ、ベッドルームシンセのたゆたうインディーポップトリオMen I Trustの最新アルバム。個人的に雨の海を想起する大好きなものだが上と同じ理由で選出落ち。ベースの太い奴に悪い奴はいない。

耳中華 / 光のお店

 ちょっと中二病入ってます(笑)。

 珍妙なアルバムが欲しいと思いつつも枠をTrout Mask Replicaに譲ったり時間が短いから優先度は落ちたが、やっぱりこの曲に初めて触れる動物たちの声は聴きたいものだ。好きな節は「まぁ大したことないけど失ってたわ」。

marine girls / lazy ways/Beach Party

 Marin Girlのまさにビーチに関する80年代的アコースティックロックのアルバム。ボリューミーで各曲良いので選出にはぴったしだったかもしれないが、Ben Wattの作品と役割が被るような気がしたので。

Dory Caymmi / Dory Caymmi

 Lampの染谷大陽さんが持っていきたいと評するのも納得のブラジルの時代を想起させる美的感覚という野菜マシマシ、ジャケのダンディさたるやというニンニクましましのMPB作品。

 聴いてみれば一発でわかるラテン的ハーモニーの良さとアコースティックのルーツを味わえ、あたかもそばに原風景があるような感覚にさせてくれる大好きなアルバムだ。

 入れるのを最後まで考えたが枠が足りず…

最後に

 いかがだったでしょうか。客観的な統一感よりかは内省的なものをするように従事したが結構まとまってて安心した。

 できることなら自分のボカロ作品やバンドの音源もまとめて島へととんずらしてしまいたいものである。行った後に家族に聴かれるのもやだし、KEIGAI YOUTHとか砂浜で聴きたいなって思えるし。

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