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映画を観た「湯道」

茶道や華道などのように、その分野についての見識を深め、極めていく「道」。
入浴についての作法を極める「湯道」のお話だ。

はて?湯道???
映画はフィクションだけど、この道を極める人が実際にいるのか気になった私は調べてみた。

わはは、小山薫堂さんが2015年に提唱されて家元を名乗っておられる。
え、私もやろうかな(*’’▽’’)
そう、私はWOWOWで放送されている「W座からの招待状」という、映画を紹介しつつ流してくださる番組が好きで、その案内人の小山薫堂さんのファンなのだ。といっても小山さんのことを詳しく知っているわけではなくて、その番組で小山さんが映画から受けたインスピレーションなりを詩のような文章にされるのだが、それが素敵なのだ。

文章が、その奥に作者の人となりが表れるものだとしたら小山さんは間違いなく素敵な方だ。
小山さんはそう思われることに納得されないかもわからないけど。
そしてこの小山薫堂さんが映画「湯道」の脚本を書いておられるそうだ。

さて、映画「湯道」に話を移そう。
生田斗真さん、濱田岳さんは銭湯を営むお家の二人兄弟。
兄の斗真さんは実家を出て建築家として仕事をしており、弟である岳さんが銭湯を継いでいる。
斗真は先代の父の葬儀にも顔を出さなかったが、いまどき流行らないであろう銭湯を畳んでマンションなどに建て替えようと画策し、実家に戻ってくる。
久しぶりに戻った実家では橋本環奈さんが住み込みで働いており、岳さんとふたりで切り盛りしていた。
銭湯の常連客はそれぞれの思いでそこに通い、湯に癒されている。

また銭湯とはシーンが変わり、湯道の道場のようなところの話も並行して語られる。
ここでは道場に通う生徒さんに、家元に次いでエライ方と思しき窪田正孝さんが入浴の仕方などをレクチャーされる。小日向文世さんは生徒のなかで一番新しい入門者だが人一倍熱心な生徒さんだ。
退職金で自宅のお風呂を改装し、湯道グッズなども揃えたいと夢を持っていらっしゃる。

湯道の醍醐味は湯船に浸かった際にお湯を溢れさせず、浴槽の縁ギリギリに留めさせることだ。
窪田さんが真面目な顔でレクチャーされているのは面白かった。
ある日、体調を崩されていた家元が手本を見せてくださることになった。
家元は角野卓造さんだ。
さすが家元には窪田さんでは見せていただけなかった技があり、脱いだ着物を衝立に掛けた時に着物の柄と帯が重なって絵画のようになるのである。素晴らしい。

もう一つの流れは、吉田鋼太郎さん演じる「源泉かけ流し至上主義者」の存在だ。
吉田さんは銭湯を過去の遺物だと貶し、入浴しようとしない。
これに銭湯ファンや、岳さん、斗真さん、環奈さんの銭湯の常連客が猛反発するのだ。
斗真さん、段々と実家の銭湯の存在が大きなものであることに気づいていく。

一見、交わらないように見える湯道の道場と銭湯をつなぐのが柄本明さん演じる「風呂仙人」だ。
キャストが豪華。
そして、この俳優さんならこういう役回りだな、っていう想像を超えてこない。
安心して流れに乗っていられる映画だ。
日曜の午後にぴったりの映画だった。
余談だが、主役の斗真さんと岳さん兄弟。
役の名前が「史朗」さんと「悟朗」さんなのね。
これって、「きのう何食べた?」のシロさんとシロさんのお父さんのお名前と全く同じじゃないの?!と全く映画に関係ないことで興奮してしまい、「何食べ」の録画再生へと続いたのだった(;^ω^)

#WOWOW

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