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夜間高校合格発表


#受験体験記
夜間高校の競争率は1.3倍であった。このことから、誰かは不合格になる。その一人になることが怖くて、その年度の9月から1日5時間の勉強を課した。それまでは、どちらというと運動ばかりしていたので、勉強は二の次、三の次であった。三者面談で、担任に「私は夜間高校を経て、大学を出て教師になった」と言われた時には、何だか勇気をもらったような気がした。何冊も参考書を買うより、これはという相性のいい参考書を繰り返し繰り返しリハーサルした。

同じ夜間高校を受験するHが、時々、私の自宅にやってきた。途中、おしゃべりが多いので、母から遠慮するよう注意された。以来、来なくなったので、私は集中しておさらいが出来るようになった。今でこそ、「過去問3周」と受験定石が言われる時代だが、当時、私はそれに近い受験対策をしていたことになる。

合格発表の日、母と掲示板を見に行った。私の番号を見つけた時、胸を撫で下ろすとは、こういうことなのだと実感して、目頭が熱くなった。一緒に発表を見に来たHの番号はなかった。いつの間にか、Hはいなくなっていた。

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