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「DX」の大嘘。本当のDXとは?

テレビのニュースとか、国会中継で話題にされる「DX」。どうも私には、そのDXの定義がぶれっぶれで、みんなちゃんと理解できないように思えます。

むろん、ちゃんと理解できている人もいて、ネットで「働き方改革 DX」でぐぐると、それっぽい説明をしている企業のページなんかも見られますが、逆に「全く理解できてないな!」 と思えるページも結構あります。

まあ正直に言っちゃうと、私の理解が間違えていて、テレビや国会議員の人が、正しいのかも知れません。けれど「DX=デジタル化」、「DX=AI活用」とか考えて、「はい、DXできましたー、ぱちぱちぱちい」、とか言ってるのを見てイライラさせられるのはもう、私はこりごりだしうんざり。

と、なんでこんなにイライラしているのかというと、最近とある企業を見学する機会があり、「(私が考える)間違ったDX」が行われているのを見せられたのでした。

「違う違う! それDXじゃねえから! それってただのデジタル化&IT化だから!」

では「本当のDX」とは何なのか。それを語る前に、「働き方改革の歴史」について、説明させてください。


「働き方改革」の歴史

「働き方改革」のきっかけ

きっかけは、とある大手広告代理店の、新入社員の女の子が、過労のためノイローゼとなり、自殺したことでしたね。

それが問題となり、それまでもあるにはあった、「残業規制」が強化されることになりましたね。数年後には、残業に関する罰則が制定され、違反した企業および経営者には、その罰則が適用されることになりました。

が、その罰則が決定されるまで、いろんな議論が政府および各企業の間で、あったようです。

「残業規制の強化」による問題点

一番問題となったのは、「そうは言っても、残業させられないと、企業の経営が悪化して、日本の景気がもっと悪化してしまうだろ!」、という点ですね。

①従業員の残業時間を減らすと、企業の生産力が下がる。
②企業の生産力が下がると、その製品の競争力や、製造量が減る。
③企業の経営が悪化する。
④日本の景気が悪化する。

という、流れですね。

もう一つ問題点があります。「残業をすることで、やっと生活できている従業員もいる。彼らの今後の人生の計画を、どうするんだ!」、という点ですね。

①従業員の残業を減らすと、給料として支払われる残業代が減る。
②従業員は残業時間が減ったのに幸せになれない。やる気が下がる。
③ただでさえ下がった会社の生産力が、さらに下がる。
④企業の経営が悪化する。
⑤日本の景気が悪化する。

とうことで、従業員のモチベーションを維持しつつ、いかに残業を減らすか、というのが最大の課題となったわけですね。

2つの課題解決のための魔法のカード、DX

「従業員の残業時間を減らすと、企業の経営が悪化する」、「さらに従業員の収入も悪化する」、という2つの課題を解決できるという、魔法のカードがないかを、みんなで必死に探した結果、発見されたのが「DX」というキーワードですね(たぶんw。

DX(デジタル・トランス・フォーメーション)とは、簡単に言えば、デジタル技術によって人間が幸せになること。

もう一度言いましょう。

DX(デジタル・トランス・フォーメーション)とは、
デジタル技術によって
人間が幸せになること

ここでいう人間って、誰でしょう?
①企業(株主と経営者)
②従業員
③顧客
④日本

そのすべてであるべきで、そんなすごい変革を、日本に起こすムーブメントを、「働き方改革」と名付けたのですね。

つまり働き方改革におけるDXは、企業(株主と経営者)、従業員、顧客、そして日本、そのすべてを幸福にするような、魔法の技術なのです!(くわっ。

そう考えると、これらを解決するためのワイルドカードであるDXが、どういうものかは逆算的に求まるはずですね?

しかるに現在の日本におけるDXとは?

では現実の、現時点でのDXはどうでしょうか? 確かに顧客が窓口に行って申請する作業とか、事務員がそれを手入力する作業とか、電卓を叩く作業とかがデジタル化によってなくなれば、お互い便利にはなるでしょう。それは一面では、顧客と事務員の「幸福」を同時に高めているかも知れません。それによって事務員の仕事は減り、雇い主が支払う人件費も減って、雇い主や株主も「幸福」になるかも知れません。

しかしそれは、事務員の残業代を減らしたり、その仕事自体をなくしてクビにさせたりします。これは「事務員(従業員)」の幸福につながっているでしょうか? 答えはNOです。私が現在日本で語られる「DX」に関して覚える違和感の正体は、これ。

もともと従業員の過労による自殺を救済するために、始まった働き方改革が、従業員の首キリを助長する政策に、すり替わってしまっているのですね。

それは一体なぜでしょうか? みんなが過去の歴史を、忘れてしまっただけでしょうか? いいえ、違います。別の問題が発生してしまったからですね!(くわっ。

「コロナ禍」が生んださまざまな新しい課題

そう、それは「コロナ禍」。

それによって「働き方改革」なんていう言葉は、ふっとんでしまいましたね。

また「リモートワーク」の増加による、「コミュニケーション不足」とか「新人教育のノウハウに求められる変革」、さらに「三現主義(現場、現物、現実)の希薄化」などによって、企業の生産力とか、事業継続性が大幅に悪化。

またそもそも少子化によって減っている若い働き手が、コロナ禍を理由に巣ごもりして無職で過ごすことに慣れてしまい、これにより人材不足が発生。せっかく「団塊の世代」の離職という事態に備えたのに、さらに減っていく労働力。それを確保することが、企業としては急務になってしまっているのですね。

それで、「とりあえずビール」ならぬ「とりあえずデジタル化」。
「とりあえずIT」。

減りゆく労働者問題を解決するための新たな「DX」は、従業員の残業時間の減少だけを助長し、その収入を減らし、職を奪っていく。

つまりコロナ禍前後で、「DX」の質が、変わってしまっているのですね。

本当は、「従業員」だって「消費者」であるはずなのに、「消費者」としては物価上昇で苦しめられ、「従業員」としては給料が上がらず仕事も減らされ、さらに自分たちの仕事を奪うための「デジタル化」、「IT 化」に協力させられる。

つまり現在進められている「DX」で、幸せになるのは企業のみ。

これでは浮かばれるはずだった人達も、浮かばれないなと悲しい気持ちになっている私です。

ではどうすればいいのか。それは「時の政府」にしっかりと、考えていただきたい所。

少なくとも我々庶民は、下記を認識しておかないと、またまた増税メガネの嘘に、だまされるかも知れないことを、注意しておきましょう。

「本当に必要な、従業員も含めて日本国民全員を幸せにするための魔法のカードがDXであり、その意味で、今のDXは偽物だ」。

追記:
「働き方改革におけるDX」の答えを書いておきます。「社内あるいは企業間のデータの流動性を高めることにより、国や企業の、製品の価値を高める新たな発見をし、主に海外との競争力を高めること。もしくはGDPの増加につながるような革新や効率化を行うこと。一番重要なのは、単なる経費削減ではなく、従業員の賃金アップをともなうだけの収益アップをそれにより生み出すこと」
最後の一行が難しいのですが、それがともなわないと、単なる人べらし、失業率の向上を生むだけなのですよね。そして今の自民党は、企業に上記のような活動をさせることに、失敗しています。

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