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時代と情報

こんにちは。

喫茶の現場を離れると、常にパソコンを持ち歩くという、現場のマスターとは全くイメージの違うライフスタイルに切り替わります。

プロデュース業ですね。

実は、カフェや飲食店の開業支援というのは、元々は自分がやりたくて始めたものではありません。

21歳の時(1988年)に自家焙煎珈琲と紅茶の専門店を起業して、32歳(1999年)ころまでは二店舗の運営をしながら、ほぼ毎日現場に立っていました。

最初の6年間は年中無休で営業していましたが、銀行借り入れの返済が終わったころには、流石に疲れて週一で定休日を作るようになりました。

その当時は、週一で休むのもお客さんに悪い気がして、休みの日もそわそわしていたものです。

飲食店は毎日営業して当たり前の時代。
そうですね。。。ネットもSNSも無かった時代ですので、営業日や営業時間を検索することはできませんでしたので、口コミ(本物の口コミです。)わざわざ遠方から来てくださったお客様に残念な思いをさせたくなくて、自然と毎日営業するようになっていました。

日本でインターネットが普及し始めたのが、1995年と言われています。
私がブログを初めて開設したのが2001年でしたので、インターネットはまだまだというところです。

そして、当時の口コミも、まだまだ実際に人の口から口へ、本当の口コミです。
口コミというかもはや「噂」ですよね。

そうやって、うちのお店の「噂」が広がり、ありがたいことに当時でも行列ができていましたが、その中でも

「同じようなお店を開業したい」
「焙煎を教えてほしい」

など、なんどもお話をいただき、

「人に求められているうちが花」だなと思い、開業支援と技術指導を始めようと決断したのがきっかけです。

元々、他人にモノを教えるということは好きな方で、段々と技術を身につけて、本当にできるようになったときは、喜びも一入です。

器械体操をやっていた私は、YMCAのリーダー(指導員)を経て、某スポーツクラブ(現・コナミスポーツ)の選手育成クラスのコーチをやっていました。

体操の技術も同じですが、感覚や勘だけではなく、他人に技術を伝えるには理論が必要です。

今でこそ、コーヒーや紅茶の理論は、ネットで検索すれば科学的にも解明されていてたくさんの情報が出てきますが、当時は理論的に指導できる人が少なかったのが事実です。

逆に、現在は情報過多でフェイクも多く、どれが本当の情報なのかを見分ける情報が必要です。
もうね、本末転倒というか、便利なのか便利じゃないのかよくわからない状態になっていますよね。

一つの情報だけを信じてしまうのは危険。
そして、最初に教わる人によって、宗教的になってしまったり、柔軟性がなくなってしまう業界でもあります。

趣味ならばともかく、お客様からお金をいただくプロ(生業としている人)は、こだわりだけではただの自己満足で終わってしまいます。

業界のつながりは必要ですが、同業者同士で盛り上がったり、業界に媚びを売ったり、好かれても実際に売り上げにつながることはほとんどありません。経費がかさむだけです。

お店にいつも通って下さるのは、目の前のお客様だけです。

私たちが向くべきは、お客様の方向。
お客さまに喜んでいただくための技術と知識だということを忘れてはいけないと思います。

珈琲日記の常連さんには、セミプロ(副業、、、もはやどちらが本業かわからない人が多いですが。笑)の人たちもたくさんいらっしゃいます。
むしろ、セミプロの人たちの方が柔軟性があり、びっくりするくらいの技術を持っています。
いつも本当にびっくりする。。。

現場を離れる時間がなかなか取れない自分なんかよりも、ずっと多く最新情報を持っている。
もちろん私も横のつながりがたくさんありますので、最新情報は入ってきますが、セミプロの人の方が一歩早かったりします。
とにかくすごい。

それでも、やはり現場のことは、現場に毎日いる人間が強いとは思います。
店の運営、仕入れ、商品の動き、一般のお客様の動向など、常なるものは現場ありきです。

焙煎技術、抽出技術など、時代と現場による微調整なども、コーヒーや紅茶に対する考え方が凝り固まっていると、いつか時代についていけなくなります。

守り続けるものと、進化せていくもの。
変わらないものと変わっていくべきもの。

この線引きをしながら、これからも柔軟に理論的・科学的に技術を伝達していきたいと思います。

求められているうちは。

では、また。

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