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みんなで見守る首里城復興プロジェクトブレストミーティングレポート(1回目)

みんなで見守る首里城復興プロジェクト https://www.support-shurijo.org/
火災で消失した沖縄首里城の復興までを、みんなで見守る、応援することを目的とした、ボランティアプロジェクトです。現在は、首里の魅力を再発見し、楽しく街歩きするために、XR(VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)の複合形、次世代の技術と言われている)を活用したデジタルプロジェクトを進めており、幅広いヒアリングを実施しています。

コロナ禍で先のみえない時代だからこそ、取り組むべき、未来を感じるプロジェクトを

(松山)こんにちは、みんなで見守る首里城復興プロジェクトです。この活動は、コロナ禍にスタートしたので、オンラインですが、活動を開始し、はじめて、大勢で顔を合わせました。(当日、15名ご参加いただきました)オンラインですが、素直に、とてもうれしく思います。ご参加ありがとうございます。

2021年2月より、プロジェクト活動を正式に再開しました。

コロナ禍での活動継続に大変悩みました。街歩きアプリ以外に、いまだからこそ、コロナ禍だからこそすべきことを取り組んだほうがいいのではないか、など。ただ、この先の見えない時代だからこそ、XRを駆使した、未来を感じるまったく新しい試みにチャレンジすることで、インパクトをもって、沖縄や首里の人たちの応援に結びつけられるのではと思いました。そして、支援をして欲しい思いを発信するより、地域の魅力をしっかり知ってもらい、自然に手を差し伸べられたほうが、継続性につながるのではとも思いました。

首里城火災から年月も経ちつつある今だからこそ、あらためてアクションすべきだとも思っています。まずは、この活動をより多くの人に賛同してもらえるよう、どのような街歩きアプリを作るべきかを多くの人と考察し、2月いっぱいを目処に、内容を公表できればと思っています。

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https://www.support-shurijo.org/

ブレストミーティングの1回目は、このプロジェクトの現状をお伝えすること、関係者より情報共有いただきます。アプリ企画に協力いただくことになった、curiosity株式会社(https://www.curiosity-inc.jp/)の根子明里さんを中心に、意見交換できればと思っています。

また、本プロジェクトに3D首里城コンテンツで協力いただく、みんなの首里城デジタル復元プロジェクト(https://www.our-shurijo.org/) の川上玲さん、沖縄首里在住で、沖縄でまちづくりに長年携われている、首里まちづくり研究会(https://www.e-sui.com/)の平良斗星さん、沖縄でIT企業を経営されているアディッシュプラス株式会社石川琢磨さん(https://www.adishplus.co.jp/)をはじめ、参加者のみなさまとより幅広く意見交換できればと思っています。

街歩きブレスト

AR、MR、XRが一般的になる時は、もうそこまできている

(松山)これから街歩きアプリブレストを開催しますが、その前に先行して活動されている「みんなの首里城デジタル復元プロジェクト」の川上玲さんからもぜひ、プロジェクトへアドバイスをいただきたいなと思っています、よろしくお願いいたします。川上さんは、記念写真で首里城をデジタル復元させるボランティア活動に取り組みつつ、東京工業大学でコンピュータビジョンや画像処理に関する研究に従事されています。

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https://www.our-shurijo.org/

(川上)わたしたちは、いま、日進月歩の時代にいます。「Oculus Quest」(※オールインワン型VRヘッドセット )が発売されました。ついに、5万円程度で購入できるようになるなど、みんなが、気軽にVRコンテンツを楽しめるような環境ができつつあります。iPhoneのアプリコンテンツのように「Oculus Quest」コンテンツも販売されるようになっていくのではないでしょうか。

同様に、VRをはじめ、ARやXRなども一般的に楽しまれる日も近づいていると思います。いまはゲームなどエンタメ要素の活用方法が目立っていますが、例えば、観光やその地域の魅力を発信するなど、さまざまな場面でも活用されていくと考えて、個人的にはぜひ見てみたいなと思っています。

XRを制作するにあたって、テクニカルはもちろん大切ですが、より大切なことは、コンテンツが純粋に面白く、楽しめるかということです。コンテンツの内容を充実させるには、優れたクリエイターや、ストーリーテラーがいるかなど、クリエイターの力は、絶対欠かせません。また、その点を多いに期待しているところでもあります。

無数の記念写真が、まるで首里城復興を祈っているように見えた

(川上)引き続き、みんなの首里城デジタル復元プロジェクトで作られたコンテンツを紹介したいと思います。まず、このプロジェクトへ提供いただいた写真をDB化をしています。それぞれの写真には情報を紐づけられていて、出身地、性別、年齢など、どのようなひとが、いつ撮影をして、どのようなコメントをしているかが、整理されています。

4歳の娘が、「たんけん、たんけん」と首里城を散策した思い出や、カナダ人の男性が、首里城の思い出をふりかえったり、他にも、たくさんの思い出があるのですが、それぞれのコメントを読めば読むほど、優しさが伝わってきました。実際に、3D首里城のモデル作りをしたときの映像がこちらですが、集められてきた写真が、まるで首里城復興を祈っているように、私には見えました。これら、1つ1つの写真には、大切な思い出が結びついています。

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いろいろ素敵な思い出と記念写真がある中で、ピックアップした写真がこちらです。

大学主催の平和セミナーで、中国、台湾、ドイツ、日本など、世界中から学生が集まりました。沖縄で日本の歴史をふりかえり、意見交換をするプログラムだったそうです。「一緒に、沖縄の様々な場所を訪問した際に感じたことは、他国と歴史的背景が違っても、まずは直接会話をすること、相手の言うことを尊重すること、助けが必要なときは手を差し伸べることを学んだ」とコメントが寄せられていました。この写真とコメントだけでも、特別な時間が流れていたことを想像できます。

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3次元コンテンツの迫力を楽しむことももちろん良いのですが、いろいろなひとたちが、首里城で特別な時間をすごしたことをあらためて伝えることも、何かの心を動かすコンテンツになるのではと思っています。これらの写真は、公開の同意をすべて得ています、また、個人情報をしっかり保護する処置をした上で、たとえば、今回の街歩きアプリで利用することも可能かと思い、準備をしています。3D首里城も、周囲を含めてここまで復元できました。どの写真が、どこから撮影されたのかなど、情報も紐づけられています。以後も、3D首里城は、ボランティアで更新していく予定です。

他のストーリーをじっくり読まれたい方はこちら
Google arts&Culture [首里城復興]
https://artsandculture.google.com/project/castles-of-japan?hl=ja

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XR体験の最前線、実現できることと、課題について

(松山)引き続き、首里城街歩きのアプリブレストにはいります。根子さんの所属しているcuriosity株式会社では、昨年末に新宿で開催した「XR Wonder Park」の制作を担当しています。それらの実体験を交えて、ブレストを進行したいと思います。

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(根子)いまXRの体験で、できることを紹介したいなと思います。動画をみる方が一番わかりやすいと思うので、まずは「XR Wonder Park」の動画を紹介します。例えば、このように空間動かして出現させたり、動いているグラフィックにあわせて床をへこませたり、ビルに穴をあけたり、自分でメッセージを書いて投稿したり、指定した場所にARを出現させるなども可能です。

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https://youtu.be/y0PPuslXekA

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(根子)あわせて、街歩きアプリを検討する上で懸念点も紹介します。デバイス面では、電池消費量が大変高いです。30分ぐらい起動させると、スマホの電池がなくなってしまします。例えば、観光をしていて、スマホの電源が落ちるのは問題だと思うので、使い方は考えないといけないです。また、長時間ARを表示すると、発熱しやすく、夏の東京で15分程デモをしたところ、デバイスが落ちたこともあります。また、野外だと画面が反射したり、アプリの容量が結構重くなる傾向があります。

操作面では、ずっとスマホを持ち続ける負担、とくに横向きだと両手が塞がる負担があります。また、長時間見るだけ、聴くだけだと、手持ちぶたさになるので、タップなど、なんらかの操作性を盛り込んだほうがいいと思います。また、XR操作が不慣れな人も多いのでサポートが必要になってくるかもしれません。

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街歩きアプリのジレンマ、スマホ越しだけなく、実物も体験してもらいたい

(根子)あらためて思ったことなのですが、せっかく観光地に来たのだから、目の前の実物を見たいと思いました。アプリに従って周遊するとカメラ越しになってしまうので、ポイントでイベントを発見して、ARでも見ることができるのがいいかなと思っています。AR体験はあくまでの現地観光のサポートとして考えていて、ARを全面に出しすぎない方が今回はいいのはと思いました。
ストーリーもののアドベンチャーも検討しましたが、一度体験すると終わってしまい、リピートには結びつかないと思います。それよりも、何回きても新しい発見がある作り方のほうがいいのはと思っています。

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(根子)あらためて原点にもどって、このプロジェクト名「みんなで見守る」を起点に、みんなからコンテンツを投稿してもらう周遊アプリがいいのではと考えました。現地でも現地外からでも、投稿することが可能です。投稿ポイントには、ARを使ったガイド機能も搭載し、簡単なゲーム感覚で楽しめる工夫をします。しくみとしては、以下の流れを想像しています。

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後々は、現地の人たちにもコンテンツを自由に投稿してもらえるようになったり、ポストを使って寄付ができるといいなと思っています。あとは、今回は、音声ガイドアプリの相性がいいのではと思っています。音声に沿って散策して、指定場所でスマホをかざす、みたいなコンテンツもいいかなと思っています。

(平良)プレゼンありがとうざいます。ひとつ質問したいことがあるのですが、投稿ポイントの仕組みについて、もう少し詳細を教えてほしいです。

(根子)投稿ポイントは、クラウドアンカーという技術を使います。AR環境(オブジェクト)をその場に保存する技術です。緯度経度で設定することも可能なのですが、クラウドアンカーだと、ダイレクトにコンテンツを表示することができ、より精密な出現が実現するのが特徴です。ただ、ひとつひとつのポイントを現地で計測し、保存する必要があります。

(平良)
例えばですが、この写真に写っている石敢當(沖縄で古くから信じられている魔物=マジムンを撃退する、魔除けの役割を果たす石碑)を認識して、特定のARを表示することも可能ですか?

(根子)はい、可能です。この石敢當と決まっているのであれば、画像認識でも大丈夫です、現地に行かなくても設定できますよ。

(平良)大変興味深かったです、ありがとうございます。あとは、ポストで寄付をできる機能も興味があります。私は、地域の困りごとを解決するために基金を作り、企業や個人からの寄付を届ける、未来ファンド沖縄(https://miraifund.org/)という団体の運営にも携わっていますので、興味深く聞かせていただきました。

観光アプリのダウンロードタッチポイントが、まだ確立していない

(平良)このプロジェクトの課題としては、私自身、IT関連の仕事に携わっていた時期があり、その時以来、常に課題として感じていたのが、アプリをダウンロードさせる機会の創出、タッチポイントです。アプリ開発と並行して、タッチポイントについても設計すべきだと思っています。
あとは、実際のコンテンツ内容については、アプリ用途によるのかと思います。そのアプリのブランドはぜひ、みんなで考えたいと思いました。

(松山)ちなみに、このタッチポイントについては、この参加メンバーでは石川さんが、事業を通じてアプリ運用、保守などで一番知見があると思いますが、この件ご意見ありますか?

(石川)アプリのダウンロードは、平良さんのご認識通りに、ハードルは高いものだと認識しています。わたしたちアディッシュプラスでは、ゲームやモビリティのアプリの運用保守を担うことが多く、その経験から、ウェブでなくて、あえてアプリを開発する理由としては、かなり尖らせた特徴的な企画でないといけないと感じています。なので、「みんなで見守る」のコンセプトをずらさずに、SNSも駆使して、いかにみんなをまきこむかがポイントになってくると思います。

(平尾)ちなみにですが、このアプリは観光客だけでなく、現地の住民に活用してもらいたいと個人的には思っています。根子さんの提案してくれたアイディアだと、現地の住民による投稿など、現地も巻き込んだ内容になっていたので、好感をもちましたし、現地の住民にとってのメリットはもっと意識していきたいと思っています。

(平良)現地の住民として、必ずアプリユーザーになる必要はないかもと個人的には思っています。たとえば、アプリつくりの段階で参画する側でも良いのではと思います。現地の住民としては、いろいろな参加のかたちを、限定せずにつくっておいたほうがいいのではと思っています。

沖縄・首里観光におけるペルソナ像が、まだ明確でない

(松山)この流れで引き続き、首里の住民として、平良さんにコメントをお願いしたいのですが、首里の住民にとって、望まれる街歩きアプリとは、改めてお聞かせください。

(平良)
街歩きアプリをつかって、首里の街を回遊、周遊してくれることは大歓迎です。わたしたち、首里まちづくり研究会は、首里城復興計画の中で、重要な役割を担っています。その中でも、観光、周遊は重要なキーワードになっていて、首里城だけでなく、首里城周辺の文化財にも訪問してもらいたい、首里城下町は楽しいポイントがたくさんあるので、ぜひ周遊してほしいと思っています。なので、街を歩いてもらうしくみはいくつあってもいいと思っています。

また、街歩きアプリについて判断するにしても、実際にアプリをどのような人が使うのか、ペルソナ設計がまだ全然できていない現状があります。首里も県も具体的にはまだイメージができていないのです。なので、ペルソナを調査することから取り組む必要があります。

首里城に限定してですが、いままでの観光だけでいうと、2時間をかけて首里城公園を周遊するひとが大半でした。首里城へは年間200万人が訪れていましたが、首里城と1本道を挟んだ隣にある玉陵(※琉球王国、第二尚氏王統の歴代国王が葬られている陵墓)は、沖縄文化として重要な拠点にもかかわらず、年間10万人だけ訪問しています。また、首里城にある駐車場も規模に限界があるため、長時間駐車は推奨されておらず、結果、街歩きには適していない現実があります。

ペルソナを設計した上で、いかにペルソナを啓発して街歩きへ誘導するかが、ポイントになってくるかと思います。

(松山)ペルソナについては、ぜひ、情報協力いただけるところがありましたら、取り組んでみたいと思いますし、比較的プロジェクトメンバーでも、マーケティングに携わる人も多いので、お力になれるかと思っています。

あと、ペルソナに関する話をもうひとつすると、火災後にパルソナ像がかわってきているのではと思っています。わたしが、昨年に首里へ取材に訪れた時に、いまっぽい若い男性たちに会ったのですが、訪問した理由をきいたところ、「火災で話題になっていて、あらためて見てみたかった」と言っていたのが印象的でした。おそらく、いままで首里に関心のなかった、幅広い層が、首里城に興味をもってくれているのではと推測しています。

(平良)そうかと、わたしたちもペルソナの変化を感じています。

沖縄・首里の交通インフラ事情について

(根子)ちなみに、首里周辺の交通インフラ状況状況について、もう少しだけ、聞かせていただいてもよいですか?ネット情報だと、交通の事情について、あまり良い情報が掲載されていなくて。

(平良)
沖縄は、基本車社会です。その中でも、首里周辺は比較的交通インフラは整っている方ですが、それでも、路線バスは、平日1時間に3本など、必ずしも、潤沢だとは言えません。あとは、交通機関にゆいレールがあり、ゆいレールの最寄駅からは、首里城まで約20分ぐらいかかります。首里地域は大変坂が多く、夏場だと、わたしたち自身も、坂道を避けた道を選んでいるぐらいです。

(山元)わたしは、首里出身です。首里城へのもうひとつの最寄駅で、儀保駅があるのですが、駅より、首里城へ向かうには、ほぼ坂道を歩き続けます。慣れていないひとには、相当辛いんじゃないかなと思います。

(山元)
続けて質問なのですが、首里城へ行く時の交通手段について統計はありますか?

(平良)
それは、統計をとっています。手段は、レンタカー、観光バスです。季節によって割合に変化がありまして、冬シーズンは、観光バス多めで、夏シーズンは、レンタカー多めです。ゆいレールで訪問する人は、全体の10%、約年間20万人程度です。ローカルバスは、ほぼ使われていないかと思います。

(根子)路線バスを活用して、周遊できれば良いのにと思っていました。

(平良)本来はそうなんですけど、現時点ではおすすめできない感じです。

(松山)観光バスで周遊は不可能ですよね。

(平良)大型バスは絶対無理ですね。首里の道は、大変細いのと、坂道も多いので。

その地域にしかない貴重なストーリーを、アプリを使って巡る旅

(川上)別の質問になるのですが、平良さんが所属されている、沖縄デジタルアーカイブ協議会で集められている思い出のデータがあると思うのですが、このアプリで、その思い出をめぐることは可能ですか?

(平良)活用することは可能ですね。沖縄デジタルアーカイブ協議会の活動は、古い写真やドキュメント、8ミリフィルムのような動画を保存していくことが一番の目的ですが、デジタルアーカイブを活用することも重要なミッションです。あるプロジェクトでは、それら写真に基づき取材をして、あわせて音声を録音しています。音声を聞きながら写真をセットで見るのですが、それぞれの生活や人生が垣間見られて、いまで言う、大変エモい内容になっています。それらコンテンツは、WEBで近日公開予定です。その時も課題が、やはりタッチポイントで、現状としてはQRコードの配布を徹底的におこないたいと思っています。

わたしは首里出身なので、同様に首里でも古い写真からエピソードを掘り下げて取材をし、コンテンツ化することはぜひやってみたいと思っています。川上さんからのお話でもあったように、首里に関わるエピソードがエモいことは、ひしひし感じていて、コンテンツとしての魅力を十分もっていると思っています。

旅行が人生の転機になったとか、家族のあり方に変化があったとか、首里にまつわる人生のエピドードはたくさんあるかと思います。最終的には、投稿機能をつかって、住民からたくさんのエピソードが集まると、大変素敵だなと思います。そうゆうアプリが実現したら、いいですよね。

(川上)その昔の写真をみた人たちがコメントを残していくのもいいですよね。その点は、平良さんから過去にご紹介いただいたエピソードや、一部取材をしてみてもよいかもしれないです。今回企画しているアプリとも上手にコラボできたらいいですよね。

(平良)そうですね。最後にひとつ、エピソードをお伝えすると、首里は、戦争時、艦砲射撃によって、ハガキ一枚ぐらいの密度で射撃を受けたと言われています。射撃後は、ほとんど植物もなかったと言われている中、首里教会にある十字架だけが残って、十字架を元に、自分たちの住居跡を探したそうです。まだ、その十字架は、首里教会にのこっています。やはり、その十字架は、実際に現地で見るべきだと思います。これらのストーリーをテクノロジーの力を利用し、より多くの人に、発信できればなと思っています。

(松山)
先ほどのタッチポイントの話ですが、解決方法のひとつとして、オウンドメディアからの誘導があります。掲載されているストーリーを読んでもらって、より深く知りたい、リピートしたいとなったときに、アプリに切り替える導線を設定しておく方法です。

(平良)たしかに、最近よくみますね。

(川上)これは、本当にストーリー次第かと思います。ストーリ自体にかけがえのない価値があって、これは、テクノロジーがいくら発達しても、作り出せるものではないです。このようなストーリーがつまったアプリがあったら、使いたくなる可能性は高いのかなと、思っています。首里の思い出を巡るをテーマにするのは、個人的にはとてもおもしろいのかなと思いました。
あと、街を歩いていて、過去の古い写真や新聞記事や広告記事も該当する場所で実際に読めたらたのしいですね。

(松山)あと、個人的には参加メンバーの山元さんのおじいさまが活動されていた、ニシムイ美術村(※米軍占領下の沖縄・首里市儀において美術家集団が形成した生活共同体)についても、とりあげてみたいですね。

(山元)僕の祖父は、山元恵一というシュルレアリスムの第一人者といわれていた画家でした。その祖父が、戦後に他の芸術家と一緒に活動していたのが、ニシムイ美術村になります。いま、ニシムイ美術村の面影が残るものは、山元アトリエのみとなっています。このアトリエでは、琉球石灰岩という石を積み上げて壁をつくっていて、当時は同様のアトリエがたくさんあったそうです。いま、戦後の建築の中でも、かなり古い方になるのではないでしょうか。

(平良)わたしも以前ニシムイ美術村についてイベントを開催したことがあります、大変面白いストーリーがありますよね。ほんとう、魅力的な地域だったと思います。首里は長年たくさんの人が住んできた場所でもあるので、掘り下げられば掘り下げるほど、たくさんのストーリーが存在していると思います。

(川上)地域の人しかしらない、掘り下げようとしないとでてこないエピソードはとても貴重だと思います。少なくても、後追いすることは絶対不可能で、ユニークさがあります。実際エピソードを読んで街歩きをすることは、大人は楽しいのだけれども、子供はたのしめるのか?など、課題はまだまだあるかとは思うのですが、地域のストーリーは、重要なキーワードになっているのは、確かだと思っています。

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