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「今日はまだフツーになれない」という漫画がとても良かったっていう感想

この百合漫画(※百合の定義は同じ作者の百合オタに百合はご法度です!?を参考にしています)がとても良かったなあという感想を2回くらい書こうとしてやめちゃったんですが、でもとても良かったので3回目のトライです。

あとネタバレもします。読んでない人は薄目で読んでね。

めちゃくちゃ優しい作品

他にも色々良かったところを書いていくつもりなんですが、最終的にはここに帰結すると思ってます。本当にすごい優しい作品でした。「百合オタに百合はご法度です!?」もかなり優しい作品だったので、作者の人がそういうのを描くのが得意なんだと思います。

フツーの人を否定する作品、ではない

主人公である「高橋」と「山下」の2人は、大多数のフツーからはズレた生き方をしています。それは逆張りがかっこいいからではなく、「可愛いものや可愛い女の子キャラが好きだから」とか「漫画家を真剣に目指しているから」とか「空気は書かれてないんだから読めないから」のように、そうやって生きるしかないからです。

だからフツーの人たちを否定したり見下したりすることはありません。多少ウザったくなったり、孤独を感じることはあっても、それを責任転嫁することはありませんし、自分のせいにすることもそんなにありません。この「自分のせいにすることもない」が良くて、責任転嫁しないからって自責ばかりされていては気が滅入って仕方ないですが、2人は結構ドライで切り替えが早いです。モヤッとしても抱え込んだりせず、すぐにお互いに相談するなり行動を起こして、少ししたらカラッと気持ちを切り替えています。

2人にとってのフツーが否定されるわけではないですし、フツーの人やフツーになった人が否定されるわけでもない。フツーになってしまった人間として、色々考えすぎずに済んで良かったです(それでも多少考えてしまいはしましたが)。

高橋と山下の関係が良い

先程2人はドライだと書きましたが、2人の関係もドライです。財布をなくして途方に暮れていたところに迎えに来てくれた山下に対して、高橋は「なんの意味もなく迎えに来るわけがない」と言いますし(真実でしたが)、少し遠くに引っ越した高橋に会いに行くのがだるくなって山下は「会いに行かなくなるのがフツーになりそう」と考えます。お互いが唯一の理解者である割には、結構ドライな関係です。

ですが、なんやかんやあって2人は一緒に住み始めました。恐らく今なら山下はなんの意味もなく迎えに行くでしょう。ですが、付き合ってはいません。お互いに対する恋愛感情は抱いていません。高橋は山下と、山下は高橋と一緒にいるのが一番面白くて、あとお金がないので一緒に住んでいます。読み返してて思ったんですけど、もしかしてお金があったら一緒に住んでなかった? ただ近くに引っ越すだけだった? ……山下にお金がなくて良かった(最低)。

そんな感じで、お互いにお互いが必要だけど、ドライな関係で良いなあと思いながら読んでいました。

……が、最終話は書籍化にあたっての描き下ろしですかね? 描き下ろしということもあってか、「一緒にいたいから一緒にいる」から半歩くらい進んだ、少しウェットに寄った2人が描かれてましたね。無論お互いに恋愛感情あるかと言ったらないでしょうし、作品のトーンとも合わないので、本編でそういう関係になった2人が描かれることはないでしょう。ただ、脳が芯から百合に侵された自分としては「これ……ワンチャン……あるのでは?」となりました。お互いに割と告白っぽいことも言ってますしね。

みんな読んでね

そんな感じで、とても良い漫画でした。百合が好きで、フツーになった人、フツーじゃない人(本編ではこういう表現はないですね)には結構刺さる漫画かなと思います。みんなぜひ読んでね。


余談

投稿するときに作者の「U-temo」さんの名前をタグに付けようとしたんですけど、noteのタグって-ハイフンは無理なんですね……。

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