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【えだぽた Ep2《徳川家康の軌跡を辿る、ぶらり探訪ポタ》】SURUGA Cycle Journal Vol. 168

藤枝市さんとのコラボ企画「えだぽた」。
今回のテーマは歴史探訪ポタリング!かの有名な徳川家康を癒した、鷹狩の地として名を馳せる藤枝市。家康ゆかりの史跡や、戦国時代に思いを馳せるグルメなどを堪能していきましょう。

ナビゲーターは、10代目「藤の里観光大使」の関さん(左)と藤枝市職員の田中さん(右)のコンビ。相棒の自転車はデイトナポタリングバイクです。

撮影日は2023年8月下旬、気持ちよく晴れ渡る夏空の下、まずは「朝比奈大龍勢(あさひなおおりゅうせい)櫓」からスタートです。
※撮影時、整備のため足場が組まれていました。

龍勢は、全長15mを超える巨大なロケット花火のことです。戦国時代にこの周辺の岡部・朝比奈地域に勢力を振るっていた豪族、朝比奈氏と岡部氏が用いた緊急連絡用の狼煙(のろし)が起源とされています。

龍勢を打ち上げる祭典「朝比奈大龍勢」は2年に一度開催される伝統行事です。この櫓から龍勢が打ち上げられ、白煙を上げて上昇していく様子はまるで龍の昇天のよう。この行事は静岡県の無形民俗文化財に指定されています。
ちょうど今年は朝比奈大龍勢が開催される年。2023年10月21日(土)に開催される予定です。龍勢が打ち上げられるところが見られるチャンスですね!

櫓の周辺は緑豊かな水田に囲まれており、その美しさにふと足を止めました。山々が連なる、のどかな里山風景に心が癒されますね。秋には一面に赤やピンクのコスモスが咲き誇るので必見です!

続いては、朝比奈大龍勢櫓から自転車で1分のところにある「縁カフェ 天神森」さんに行ってみましょう。

自家栽培した旬の野菜中心のメニューが魅力のカフェなのですが、今日のお目当ては「朝比奈ちまき」です。

戦国時代に朝比奈一族が戦に行く際に作っていたもので、戦場でこのちまきを食すと気力体力が充実し、常に戦勝したと言われ、“勝利を導く縁起物”として、大切にされていました。日が経っても柔らかく日持ちすることに加え、腹もちもいいので実用的な携帯食とされていたようです。これを知った家康が家臣に命じて「朝比奈ちまき」を献上させ、賞味したと言われています。

現在「朝比奈ちまき」が買えるのは縁カフェさんだけ。戦国時代の味わいを再現しているというちまきは、見た目はほんのり若草色。味はシンプルながらも、時間が経ってもモチモチとした食感が保たれています。現在は受験シーズンに地元の中学生に振る舞われるのだそうです。歴史とともに、その文化は今でも大切に伝承されているのですね。

ふと田んぼの脇に竹筒が並んでいるのに気づきました。毎年8月23日に行われる「虫送り」という伝統行事の松明なのだとか。

さて、次は「縁カフェ天神森」さんから2分ほど走ったところにある「朝比奈 龍勢・昆虫館」へ。

2023年6月24日にリニューアルオープンしたばかりで、朝比奈大龍勢の歴史や文化を伝承する「龍勢ゾーン」、世界の昆虫標本や生きた昆虫を間近で見ることができる「昆虫ゾーン」に分かれています。

まずは「昆虫ゾーン」から見てみましょう!
(以下、実物の昆虫の写真がありますのでご注意ください。)

入った途端、そこには壁一面にチョウやカブトムシなど、日本・世界に生息する多くの種類の標本が展示されていました。

見たことのあるお馴染みの昆虫をはじめ、色とりどりの美しい蝶たちや、「こんなに大きいのもいるの?!」と思わず声を上げてしまうような珍しい昆虫にも出会えます。

昆虫館スタッフさんが「ここに来たら絶対これは見て!」とオススメしてくれたのが、世界最大のカブトムシ「ヘラクレスオオカブト」!

本物です!
生きて動いている姿を見るだけでなく、実際に触ることもできます。手に取ってみると、その大きさにびっくり。

こちらは世界2番目と言われる「ネプチューンオオカブト」。本物を触れる機会がなかなかない珍しいカブトムシたちですので、来館された記念に手に取って、なでなでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。(冬季は冬眠中のため、体験できません)

それにしても、一口に昆虫と言っても、びっくりするほどたくさんの種類が存在しているのがわかりますね。館内で標本の販売、制作もされていますので、昆虫好きな方はぜひチェックしてみてください。

続いては龍勢ゾーンを見学しましょう。昆虫ゾーンの奥にあります。

天井から吊るされた、ほぼ原寸の龍勢を発見!先程訪れた「朝比奈大龍勢櫓」から発射されるわけですが、実物を目の前にするとスケールが大きいのを感じますね。

龍勢の制作は、朝比奈川流域の地域の方々、13連(チーム)で行われています。制作にマニュアルはなく、それぞれの連において、代々口伝で火薬の配合や炭の原料、吹き筒の素材などが決められているのだとか。どれほど高く打ち上がるか、曲物がイメージどおりにうまく放たれるか、連ごとに競い合いながら趣向を凝らした龍勢を制作しています。まさに、受け継いできた伝統と職人技の見せどころですね。

館内の大スクリーンでは、朝比奈大龍勢が打ち上げられる様子、龍勢ができるまでのドキュメンタリー動画等が上映されています。

お隣にある第二展示室には、龍勢が落ちてくる時の巨大なパラシュートが展示されています。

大きくキャラクターが描かれていたり、作った人々のメッセージが添えられていたりと、地元の人々のこだわりを感じます。

さて、今回のランチは「道の駅玉露の里」内にあるお食事処「茶の華亭」さんにやって来ました。「朝比奈 龍勢・昆虫館」から目と鼻の先です。

この日は、今年注目を集めている徳川家康公にちなんだ期間限定メニュー「家康御膳」が登場していました!家康公ゆかりの食材を現代風にアレンジしており、12種類のお料理を楽しめます。

家康が好物だったと言われている「とろろ飯」や、あまりの美味しさに食べすぎたと言われている「鯛の天ぷら」など、メニューの解説付きです。家康の歴史をご飯で辿ることができる、少し面白いお食事でした。
(「家康御膳」は2024年3月31日までの期間限定メニューです。)

隣には物産館が併設されており、地元産の玉露茶をはじめ、新鮮な農産物を販売しています。

前回のえだぽたで訪れた「真茶園」さんとのコラボ「玉露どらやき」を発見!どんな味なんでしょうか…玉露の名産地ならではですね。

前回のえだぽたはこちら▼

ここで「朝比奈ちまきの井戸」という場所に立ち寄りました。玉露の里から自転車で2、3分で行けます。

こちらは、朝比奈ちまきを作る際に水を汲んだと伝えられている井戸です。

戦国時代の人々に親しまれた朝比奈ちまき。その伝統を継承していくため、現在は「朝比奈ちまき保存会」の皆さんがちまきづくりの体験会や販売、イベント等を開催しています。

井戸の向かいには美しい水田が広がっています。青空に映える青稲が夏らしい風景ですね。

しばし里山風景の中のサイクリングを楽しみました。

朝比奈地域から南下し、今度は藤枝の街中エリアをめぐっていきましょう。やってきたのは「飽波(あくなみ)神社」です。

地元では「あくなみさん」と呼ばれ、開運厄除の他、サッカー上達祈願などでも親しまれています。

中でも有名なのが、3年に一度、10月に開催される「藤枝大祭り」の中で披露される地踊り「飽波神社大祭の奉納踊り」です。

境内に踊り手が集い、長唄・三味線・囃子方(はやしかた)の演奏で披露される地踊りは日本一の規模とも称され、市の無形民俗文化財にも指定されています。このお祭りは、江戸時代の藤枝宿場町の祭礼にルーツを持つとされており、明治時代以降に現在の形式が定着したと言われています。歴史あるお祭りに、毎年多くの地元民の皆さんが参加されます。

飽波神社を後にし、東に向かって10分ほど走っていくと、次のスポット「馬上の清水(ばじょうのしみず)」があります。

この場所は、駿河に隠居した徳川家康が、鷹狩の際に藤枝の田中城を訪れる途中、喉が渇いたために従者に道端にあった井戸から水を汲ませた場所です。馬に乗ったまま汲んだ水を飲んだことから「馬上の清水」と呼ばれています。

水を飲んだ家康は、「甘泉飲むべし」と言って喜んだと言われています。

道端にひっそりと佇む史跡ですが、お見逃しのないように!
ここから自転車で約5分のところに「史跡田中城下屋敷(しもやしき)」があります。

こちらも徳川家康ゆかりの史跡です。田中城は武田方の重要な軍事拠点でしたが、1574(天正2)年から7年半にわたり、徳川家康が断続的に5回以上にわたり攻撃して、この城を攻め取りました。

江戸時代後期、田中城の南東隅にあった下屋敷(大名・上級武士などの別邸)は田中藩主・本多家の庭園でした。その庭園跡が史跡公園として整備され、田中城ゆかりの建築物も移築・復元し、公開されています。

門を入って左側にそびえ立っているのは「田中城本丸櫓」です。当時の田中城内から移築されたもので、高さ9尺(約2.7m)の石垣の上に建っていたと言われています。

2階建てになっている櫓は、中も見学できます。撮影日の2023年8月末には、田中城に関する企画展示が行われていました。(~2023年12月27日(水)まで開催中)

最上階からは庭園を一望できます。園内には他にもさまざまな建物があるのがわかりますね。それぞれ市の有形文化財に指定されている茶室、仲間部屋・厩(ちゅうげんべや うまや)、長楽寺村郷蔵(ちょうらくじむらごうぐら)の建物が残っています。

城にあった建物において、実物が現在まで残されることはとても珍しく、歴史的価値の高い貴重な文化財を目の当たりにできる史跡です。

ここで、田中城があったと伝えられている、現在の藤枝市立西益津(にしましづ)小学校付近を散策してみましょう。

田中城の特徴は、周囲を四重の堀に囲まれ、攻めにくく守りやすい堅城だったということ。こちらは「二之堀」という、本丸(城の中核となる部分)から二重目の堀です。

この付近を地図で見てみると、小学校がある場所を中心に円を描くように、堀に沿って曲線状に道路が作られているのがわかります。建物自体はなくなっても、田中城があった名残が地形からわかるというのは面白いですね。

さて、今回の最終スポットは「藤枝市郷土博物館」です。

原始から近現代に至るまで、時代の流れを追って藤枝市の歴史を学ぶことができます!

今回のえだぽたでは「田中城跡」や「史跡田中城下屋敷」など、戦国~江戸時代の史跡について触れてきましたので、復習がてら歴史をおさらいしました。現地に行った後で、あらためて時代の流れを学ぶのもいいのではないでしょうか。

こちらが田中城と周辺の模型。四重の堀に囲まれて、守りが固い城だったことがよくわかります。

館内でぜひ見ていただきたいのが、常設展内の150インチの大型シアターで上映中のオリジナル歴史アニメ「徳川家康と田中城」です。県内出身のイラストレーター・永井秀樹さん、藤枝市出身の絵本作家・ふくながじゅんぺいさんが携わり、家康と田中城の歴史的な関わりを解説付きで知ることができて、とてもおすすめです。ご来館の際はぜひご覧ください。

博物館の外には蓮華寺池があります。8月下旬でしたが、まだピンク色の蓮の花がちらほら残っているのを、遠くからでも見ることができました。

今回は藤枝市に伝わる伝統と歴史をたどるポタリングをお届けしました。特に徳川家康にまつわるスポットは、市内の至る所に点在していますので、ぜひ歴史を追うサイクリングに挑戦してみてください。
それでは、次回のえだぽたもお楽しみに!

【Information 1】
▼藤枝市
https://www.city.fujieda.shizuoka.jp

▼デイトナポタリングバイク
https://www.potteringbike.jp

▼朝比奈大龍勢
https://fujieda.tokaido-guide.jp/column/11

▼縁カフェ天神森
https://fujieda.tokaido-guide.jp/location/30

▼朝比奈龍勢・昆虫館
https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/soshiki/sports_bunka/kankokoryu/event/21464.html

▼玉露の里
https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/soshiki/_shisetsu/1445918554611.html

▼飽波神社
https://fujieda.tokaido-guide.jp/location/1

▼史跡田中城下屋敷
https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/kyodomuse/19/1445918025035.html

▼藤枝市郷土博物館
https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/kyodomuse/index.html

【Information 2】
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https://www.surugabank.co.jp/reserved/landing/road_bike/index.html?ad=eda_pota

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