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僕にとってのカノン

初めて楽譜を渡され、弾いたのはいつだったか。
課題曲のひとつで、深い思い入れは何も無かった。

パッヘルベルのカノンを意識しはじめたのは、恋人が好きな曲だったから。
恋人に弾いてみようと久しぶりにカノンの楽譜を出した。
当時の先生のペンが入っていて、ぼんやりと注意された事や指導を思い出す。

もう1度ピアノを習う前だった。

こういう風に弾きたいとか、今みたいなイメージも乏しくて、そこそこ弾けるけど下手くそなカノンを聞かせた気がする。

彼女は褒めてくれたけど、その録音を今聴くと…うん、ただカノン弾いただけ。
なんとも平坦で…何もない真っ直ぐで平坦な道をゆっくり歩いているような。
先生の指導無いとはいえさ、もうちょっと考えろ、なんとか出来ただろ。という感じの仕上がり。

いつか、何かの機会に弾き直したいとずっと思ってた。


カノンには「永遠に続く」という意味がある。
これは、ひとつのメロディを複数のパートが追いかけるように演奏していく演奏様式から来ているんだと思う。


これを知ってから、尚更、弾き直したくなった。
僕と彼女の関係が永遠に続く事を願って、丁寧に心を込めて弾きたい。
彼女はカノンの意味を知っていたのかな?知っていても、知らなくても、僕は永遠を願って君のためにカノンを弾くよ。

もうすぐ彼女の誕生日が来る。(記事を投稿する時には誕生日は過ぎてるけど)
その時にサプライズで、僕が弾くカノンを録音したものを彼女へプレゼントするんだ。
だから今、一生懸命カノンを練習している。
色んな彼女への想いを込めて。

思うような仕上がりになるように。

僕の中で、カノンは大切な曲に確実に変わっていってる。

恋人と出逢って僕のピアノは本当に変わった。
まず、音楽が、クラシックが、ピアノが大好きな事に気づけた。
石井琢磨さんのYouTubeを見て、長文感想を彼女に送りつけてしまったりしても、彼女は
「彗くんは、本当にピアノ愛がすごいね」
と笑ってくれていた。

元々好きだったクラシックは、今はもっと好きだし、ジブリやディズニー、ボカロ、ジャズやゲームミュージックまで、彼女と出会ってから弾いたことのないジャンルを沢山弾いた。
新しい事にチャレンジ出来たのは、何よりも君が喜んでくれたし、喜ばせたかったから。

これからも、大切だと思える曲はもっと増えていくだろう。
新しい曲も、今までやってきた曲も。


カノンの様に。

永遠に続くように。

大好きな恋人との時間も、大好きピアノも、音楽も。

ずっとずっと、一緒に楽しんでいこう。


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