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#212:顔を上げてみる

通勤電車の中。本を読む間にふと顔を上げる。

全員俯いてる

電車に乗っている人は皆、俯いてる。
スマホが8割。本が1割。残りは寝てる人。

直前まで自分も本を読んで俯いていた。

いや、別に何かを物申すつもりはない。こちらも本を読むのに疲れて顔を上げただけである。

そのまま、ぼーっと人々の様子を観察する。
もう既に本を読み続ける集中力は失せている。

それにしてもこれだけずっと俯いてると、皆、首痛そうだな。

そういえば自分が肩凝るのもこれのせいだな。

今は移動中

まあ分かる。

今、この瞬間、目の前に見るべき光景はない。

移動中というラベルの貼られた箱の中にいる。あくまで、ここは何かと何かの間の仮初の時。本やスマホの中の世界に居てやり過ごす。

リモート会議中も似た感覚に陥いる時がある。

目の前で起きている画面の切り替わりに対して、ふと自分との関係の糸が切れる時がある。

このまま静かに画面を閉じてもよいかと思う。

あくまで画面は電気信号であり、お互い画面オフで顔さえ見えなければ余計である。

身体の感覚のうち、8割方を閉じてセーブしている時間。疲れはしないのだが、刺激もない。

あめあめ、ふれふれ

この頃は梅雨だ。

雨の季節、子供の頃は水たまりをバシャバシャ雨靴で歩いた。楽しかった。

雨の冷たさは不快というよりは新鮮な感覚で、水たまりにジャンプで飛び込むと、バシャーンと跳ねる水音が愉快で何度も繰り返した。

雨が止んだら、土で遊び泥だらけになった。
泥のヌルッとした手触りは何とも言えない感触で、ずっと泥で遊んでると手を温かく包んだ。

大人になった今は、雨は濡れて不便な天気。
傘を持ち歩くと荷物が増えて少し億劫である。なるべくリモートワークにしたい。

いや、ホントにそれはそうなんだけど。

感傷的でも何でもなく、たまに、びっしょりと雨に濡れて部活で泥だらけになってた頃なんかの記憶もフラッシュバックする。

そういうのを無意識に求めているのか。

あめあめ、ふれふれ、母さんが♪
じゃのめで、おむかい、嬉しいな♪
ピッチピッチ、チャプチャプ、ランランラン♪




いやー、それにしても良い歌詞だな。
雨の楽しかった想い出を一瞬で甦らせる。

そう思いながら、梅雨空に顔を上げてみる。


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