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在庫回転率について

在庫回転率とは

在庫回転率は、一定期間内に商品が入れ替わった回数を示す指標で、商品回転率とも呼ばれます。在庫回転率の数値が高い方が商品の入れ替わりが早く、反対に数値が低いと、商品が長期にわたって在庫として滞留していることを示します。

また、在庫回転率が高い方が、仕入れにかかった費用を短期間で売上に転じられているとも捉えられます。ただし、在庫回転率が高すぎる場合には、欠品による販売機会の損失を起こしている可能性も懸念されます。

在庫数による計算方法

在庫回転率を在庫数から計算する場合は、以下の計算式で求めます。
【在庫数による在庫回転率の計算】

  • 在庫回転率=期間中の総出庫数÷期間中の平均在庫数

  • 期間中の平均在庫数=(期首在庫数+期末在庫数)÷2

期間中の総出庫数とは、対象の期間に出庫された数量の総数です。また、期間中の平均在庫数は、対象期間の期首在庫数と期末在庫数を合計して2で割って算出します。
【計算例:1年間の出庫数1000個、期首在庫数80個、期末在庫数120個の場合】

  • 期間中の平均在庫数:(80個+120個)÷2=100個

  • 在庫回転率:1000個÷100個=10回

在庫回転率の適正値

在庫回転率の適正値は、在庫を過剰に抱えている状態や不足している状態ではなく、在庫が理想的な水準を保っている状態です。
なお、在庫回転率の適正値は業種によっても上下します。たとえば製造業では、原材料の仕入れから、製造、出荷までにかかる期間が長いため、小売業や卸業よりも在庫回転率が低くなるのが一般的です。一方、消費期限の短い食材を扱う飲食店はリードタイムが短縮されるため、在庫回転率が高くなります。
適正な在庫回転率の目安となるのは、同業他社の数値です。少々古いデータにはなりますが、経済産業省では「商工業実態基本調査」において、「中小企業の商品(製品)回転率」を公表していました。ただし、この商品(製品)は売上原価ではなく、売上金額を用いているため、高めの数値となっている点に留意しましょう。
たとえば、製造業の製品回転率は11.1回、卸売業の商品回転率は19.9回、小売業は11.4回です。小売業の中でも生鮮食料品を取り扱う飲食料品小売業は17.1回と高い水準となっています。
参考:経済産業省|平成10年商工業実態基本調査報告書 総括編 調査結果概要|第2章 中小企業の収益状況|4.中小企業の商品(製品)回転率


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