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『羊肉に感銘した』普及のために羊を知ってください


改めまして、阿久津龍平と申します。今後は「りゅう」と名前で表記します。

羊肉(ようにく)を扱う料理人として、
みなさんに羊肉の歴史や日本人との関係を知って頂き、
その上で、普及に繋がったら嬉しいです。


羊と日本人の関係性

羊はどこから渡って日本に来たか?

現代人が羊と言われて想像する羊は、もともと野生にはいない生き物です。紀元前7000年頃古代メソポタミア付近(今で言うシリアやレバノンあたり)で、コルシカ島やイラン・小アジアなどの山岳地帯に生息していたムフロンなど羊の原種となる生き物を家畜化・交配することにより産まれました。

この家畜化された羊が世界中に広まり、船に乗ってはじめて日本に渡ってきたのが、西暦599年。なんとあの有名な日本書紀に「推古七年(西暦く599年)の秋9月の癸亥の朔に、百済が駱駝一匹・驢(ロバ)一匹・羊二頭、白い雉一羽をたてまつった。」と記述があります。それ以前には動物遺体の出土事例もなく、魏志倭人伝にも「羊はいない」と書かれているので、それまでの日本には羊がいなかったと考えるのが妥当です。(その頃の中国では羊と山羊の記述の違いがあまりなく、もしかしたら伝来したものは山羊かもしれません……。比較的近代の民国時代においても羊肉の消費量の中に山羊を含んでいる事例もありました。)
その後も度々貢物に羊の名前が見えますが、その羊が家畜として日本に根づくことはありませんでした。高温多湿な気候が羊の生育に合わなかったことと仏教文化による肉食への忌避感などが原因と考えられますが、もしかしたら文章に残ってないだけで、ある程度繁殖しその後途絶えていたのかもしれません。どちらにせよ平安時代までの日本にとって、羊は偉い方への贈り物的な扱いだったため庶民の目に触れることはなかったのではないかと思います。



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