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ブロッコリーの茎の話

「えっ ここも食べるんだよ 食べないの」

ブロッコリーの茎を端によけて置いておいたら、横から声をかけられる。彼女に出会ってからブロッコリーの茎を意識的に食べるようになった。

「そうなの?」

「そうだよ!美味しいよ」

森の部分だけを細切れにしていたから、まな板が緑色だ。

偶々夕食を作るタイミングが同時になると一緒に作ってそれぞれの皿をシェアしていた。

実家ではブロッコリーが食卓に出たのはシチューのときか、洋食の付け合わせくらい。
あまり出現しなかったのもあって、親が茎をどう扱っているか覚えていない。
出てきた気もするし、出てこなかった気もする。

今でも、実家の食卓にブロッコリーは出てこない。

10年経っても、茎を食べるのが一般的かは知らない。

知らないけど、これに関しては調べる気もない。

あの異国の地の子は、たぶん私のことを忘れている。

この先もずっと、茎の部分まで残さず全て食べることだけが真実である。

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