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BizOpsはテクノロジーの力で組織全体の生産性に寄与する #チーム立上げ

こんにちは。株式会社LayerXの鈴木(@suuu)と申します。

法人支出管理(BSM)SaaSを展開するバクラク事業部において、チームを横断した既存の組織体系では対応の難しいイシューに対し、テクノロジーを駆使して解決に導くことをミッションとした「BizOps」というチームが新たに組成されました。

当記事ではLayerXにおけるBizOpsチームの組成された背景、ミッション、業務範囲について解説していきます。

はじめに

私はLayerXにおいては元々「Customer Success Architect」として、カスタマーサクセスチーム全体の生産性向上にむけたシステム設計、オペレーション構築、データ分析などの活動を行ってきました。

今回組成された「BizOps」のような、チーム横断でのイシューに挑み続ける役割自体は私自身にとってチャレンジングな領域であり、また「BizOps」という概念や役割自体が世の中に情報が少ないため、手探りで悩みながら立ち上げているフェーズであります。

なお「そもそもBizOpsとは?」という問いに対し、株式会社hacomonoの上村さんが素晴らしい記事を書いてくださってます。(私もBizOps組織のあり方を考えるときにいつも参考にさせていただいてます。)
BizOpsの概念についてはぜひこちらをご覧ください。

この記事ではLayerXのバクラク事業部におけるBizOpsとしての役割にフォーカスした上で、私なりの視点でBizOpsについて整理していきます。

BizOpsが組成された背景

法人支出管理(BSM)SaaSとして展開する「バクラク」は、2022年1月のサービス提供開始からシリーズ累計で2000社を超えるお客様(※2022年7月時点)にご導入いただいており、ありがたいことに毎月非常に多くの数のお客様が新たにご利用開始いただいている状況にあります。

また、お客様への提供価値の源泉であるプロダクトについて、LayerXでは尋常ではない速度で開発が進んでいます。
プロダクトのリリース時期をざっと並べてみると

  • 2021年1月   バクラク請求書

  • 2021年4月  バクラク申請

  • 2021年12月 バクラク電子帳簿保存

  • 2022年5月  バクラク経費精算

  • 2022年8月  バクラクカード

という形で、半年に1つ以上のペースで新プロダクトをリリースしており、更にすべてのプロダクトおいて機能追加やUI/UX改善等のアップデートも2週間に1回のペースでおこなわれております。

さらに、お客様とプロダクトを支えるのはLayerXに在籍するメンバーでありますが、私が入社した2022年1月から8月時点で2倍に人数が増えており、今後も毎月新しいメンバーを迎え入れていく計画となっております。

つまり、お客様・プロダクト・メンバーが急激に増加しているフェーズにある中で、LayerX社内における意思決定プロセスやオペレーションが複雑化しやすい状況にあることは容易に想像いただけるかと思います。

事業成長期においては組織全体を専門性を持ったチームに細分化していくことで、チーム単体でのパフォーマンスを最大化し、組織全体もスケールしやすい状態に組み替えていくことになります。

ただ、チームとチームの連結部分の情報流通やオペレーションを意識していないと、一気にチーム単体での個別最適化が進んでいってしまいます。
さらに1つのオペレーションに対して関連するチームが3つ、4つ存在する場合、関与する1チームのメンバーが全体を整理して改善していくには重たすぎるでしょう。

よって冒頭にも書いた通り、チームを横断した既存の組織体系では対応の難しいイシューを解決していくロールが求められており、BizOpsチーム発足に至りました。

BizOpsのミッション

上記の組織課題を背景に、BizOpsチームのミッションは以下としました。

テクノロジーを通じ、組織全体の生産性向上に寄与し、お客様提供価値を最大化する

BizOpsチームが目指したいのはあくまでバクラクをご利用中 / これからご利用いただくお客様への提供価値最大化です。
ただBizOpsチームが直接的に支援することが多いのは社内の組織・メンバー(BizOpsの直接のお客様は「社内の組織・メンバー」と捉えられる)であり、彼らの活動の生産性が上がることで最終的にお客様に届く価値が最大化される仕組みを作り出すことが求められます。

また「LayerXにおけるBizOps」でこだわっていきたいのはテクノロジーを活用した生産性向上です。

LayerXの行動指針には「Bet Technology」というのがあり、テクノロジーがより良い未来を作ると信じています。よってBizOpsが目指す組織の生産性向上においてもテクノロジーの活用は惜しまずやっていきたいと思います。

技術にBetすることは、より良い未来にBetすることだと私たちは考える。判断に迷ったときは、⻑期的には技術が勝つと信じ、技術に賭ける選択をしよう。

BizOpsの業務範囲

LayerXにおけるBizOpsの業務範囲の全体像を図にしました。

LayerXのBizOps業務範囲

BizOpsの業務を抽象化し、「業務プロセス」「システム」「データ」「情報セキュリティガバナンス」の4つのカテゴリに分けました。
このカテゴリに分けた背景として、

  • BizOpsが対応すべきイシューがどこに存在しているかの見通しをよくするため

  • BizOpsが業務遂行する上で足りていないリソース / ケイパビリティを明らかにし、採用要件をシャープにするため

  • 社内メンバーがBizOpsチームにどういったことを任せることができるのかを理解してもらいやすくするため

といったことが挙げられます。以下、各カテゴリについて詳細を解説します。

業務プロセス

「各チームで発生する業務プロセス設計およびオペレーション改善を担うこと」がBizOpsに求められます。
直近で深く関わっている具体的なプロセスには「販売プロセス」「見積〜入金プロセス」「お客様環境管理プロセス」があります。

販売プロセスは、バクラクの「新規契約数の最大化」および「ご契約後の活用支援と契約あたりの売上最大化」を目的とし、The Model型で構成されたチームが連動して活動を行っています。
このプロセスが生み出す価値は、事業目標達成に重要であることは言わずもがな、お客様が享受するバクラク体験にも直結します。
BizOpsはこのプロセスの生産性向上に向け、営業活動を円滑に進めるためのデータとパフォーマンスのモニタリング環境を提供し、適切にデータが取得できるようMA/SFA等のシステムを改善し続けます。またテックタッチ施策のような様々なシステムを駆使しする施策についてはプロジェクト自体を推進することもあります。

見積〜入金プロセスは、見積・契約・請求・入金までがお客様にストレスを与えることなく、かつガバナンスが効いた状態で遂行されることが求められます。
Quote to Cashとも呼ばれるこのプロセスはBizOpsチームが中心となってシステム化を進めており、直近でも大幅な省力化を実現しています。
更に今後はお客様の決済手段の多様化対応や反社チェックの効率化など、より生産的でスケーラブルなプロセスを作り上げていく予定です。

お客様環境管理プロセスは、バクラクサービスをお客様にご利用いただくための環境を作成・更新・削除するというプロセスです。
お客様によって「トライアル/本契約どちらなのか」「どの製品をご契約するのか」「どの会計ソフトをご利用なのか」で環境設定が異なり、正しい設定状況が行われないとお客様が価値を享受できない状態となってしまいます。
よって環境を正しく発行するための業務フロー整備、設定不備監視、後述する社内専用管理画面の機能開発をBizOpsとして対応しています。

システム

業務プロセスは各種システムを基盤として成り立っており、オペレーションに合わせたシステムの導入や運用改善もBizOpsの重要な役割となります。

特にBizOpsの業務範囲の図をご覧いただくとわかる通り、どの業務プロセスにおいてもSalesforceが深く関わっており、Salesforceのパフォーマンスはそのまま組織の生産性に直結します。
ありがたいことにBizOpsチームにはFukutaroさんという超優秀なSalesforceアドミンが在籍してくれており、Salesforceが関わるシステムの導入や運用改善を一手に引き受けてくれております。

KARTEやHubSpotを用いたテックタッチでのお客様支援の仕組み構築も支援しますし、既存の仕組みでは解決できない場合であれば、新しいサービスの調査・検証・導入推進・運用支援までを一気通貫で担うこともあります。

また「お客様環境管理プロセス」で簡単に触れた社内専用管理画面の機能開発について、これまではプロダクト開発チームが隙間時間で対応してくれていたものの、安全で効率的な環境管理を行う上でスピード感を上げていく必要が発生したため、BizOpsチームとエンジニア横断チームとで簡易的にスクラムを組み、イテレーションを回す取り組みを開始しました。

データ

システムは究極的に言えば、データを意味のある形に蓄積しやすくするための箱です。
そのシステムから生み出されるデータが意味のある状態を継続的に保てるようシステム側を絶えず改善すること、蓄積されたデータを活用しやすい状態に設計すること、最終的によりよい意思決定につながるためのデータ活用を支援することなどがBizOpsに求められます。

データ基盤はBigQueryを利用しており、BigQuery自体のインフラ面の設計・構築およびデータ収集の仕組みはデータエンジニアが対応してくれており、
データを取り扱いしやすくするためのデータマート構築をdbtを活用しながら構築を進めていっています。

さらにデータ活用面においては、BigQuery→HubSpot/Salesforceへと集計データを転送し、より広いメンバーの意思決定に役立つデータを届けたり、アドホックな分析を対応したり、各チームの計画立案のためのKPIツリー設計やシミュレーションなどもBizOpsとして対応します。

情報セキュリティガバナンス

情報セキュリティに関する仕組みの構築・運用や組織への啓蒙も重要なBizOpsの役割です。

バクラクサービスはお客様の会計データや稟議データなどの機密情報を取り扱っており、サービスはさることながら、LayerXメンバーにはセキュリティやコンプライアンスへの理解と意識には非常に高いものが求められます。

まずは各種システムで適切な権限設定やバリデーション設定を行い、システムを安全に取り扱うことができるガードレールを整備していきます。
セキュリティに関するガイドラインとなるドキュメントの整備、データの取り扱い運用ルールの整備など、組織やメンバーへのセキュリティに対する意識付けとなる活動も行っています。

BizOpsの面白さ

ここまでLayerXにおけるBizOpsについて解説してきましたが、私自身がBizOps活動を通じて感じる面白さは、

  • 組織のイシュー解決にむけ、あらゆる手段やリソースを調整して解決に向けてプロジェクトを動かし、自身もオペレーションに入り込みながら改善活動ができること

  • 必要なスキルセットが多岐に渡る(プロジェクトマネジメント、業務フロー設計、システム設計、データを見ながらの運用改善など)ため、常に学ぶ必然性があること

  • 事業部内のほぼすべてのチームとタスクフォース的に業務遂行することになるため、組織を俯瞰しつつ、解像度の高い状態を作ることが可能なこと

BizOpsの業務範囲は広大かつ専門性が求められるため、すべての範囲をカバーできる人材は存在しません。
BizOpsチームにはバックグラウンド、専門性が異なるメンバーで構成されており、個々人の強みが活きるフィールドで活躍しています。そうした専門性の異なるメンバーが同じミッションの元でチーム活動できることも魅力の一つだと感じます。

さいごに

BizOpsチームでは一緒にお客様提供価値向上に取り組んでくださる方を募集しております。少しでも興味が湧いてくれた方はぜひお話しましょう!

またBizOps以外にも多数のポジションを募集中ですのでぜひこちらもご覧ください。


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