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富山マラソン2021を走ってみた(レース振り返り編)

結果をさらっと書いてスタートラインに立つまでのあれこれを書いていたら、2500文字超えてしまいました。というわけで続き。

富山マラソンの受付会場は、ゴール地点である富岩運河環水公園に隣接する富山市総合体育館で行われます。それに対してスタート地点は富山市内ではなく、2つ西隣の高岡市の市役所前からになります。受付は土曜日オンリーでスタートは日曜日の朝。直線距離でも約20km離れていて、なおかつ直線的移動できる手段はほぼ皆無なため、必然的にどこかのタイミングで移動イベントが発生することになります。

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富山から高岡まで、あいの風とやま鉄道で約20分。そこから徒歩か、もしかしたら氷見線で1駅だけ進む方法もあるとは思うんですが、私はだいたい新幹線+シャトルバスを使います。新高岡までは10分で着くので新幹線車内では落ち着く暇もないんですが、スタート会場に近づいていることを実感できるのでテンションが上がっていく感じです。

スタート場所に隣接する高岡工芸高校の敷地を借りて最後の準備を行うわけですが、富山マラソン当日は高校のグラウンドもランナーに解放されており、早く到着すればウオーミングアップをする時間も確保できるわけです。早く到着すれば。

過去2回、7時台には会場入りしていたので、着替えた後に30分ぐらいゆっくりとジョギングをしながら身体を温める、ということをやっていたのですが、今回は新幹線に乗ったのが午前7時過ぎ。新幹線を降りたら改札で並んで、検温でも並んで、そこからシャトルバスに乗るまでにもちょっと並んだので、会場に着いたのはスタート1時間前の午前8時。
高校の駐車場内に待機している、手荷物回収のトラックに荷物を預ける時間や、トイレ待ちの渋滞のことを考えると、ウオーミングアップをする時間がほとんどありませんでした。ホテルから出る前にラジオ体操ぐらいはしたけれど、当日に身体を温める動きをしたのはこれだけ。

普段のランニングでも、走り出しはゆっくりとしたペースで身体を温めて、2キロぐらい過ぎたら自然とペースが上がることもあるんですが、まさかフルマラソン当日に、普段と同じ事をここでもやってしまう羽目になるとは。

そもそもホテルの朝食が6時半からで、律儀に食事付きプランを頼んでしまった自分に原因があるんですけどね。ちなみに朝食はどれも美味しかったです。コンビニで朝ご飯を確保して新幹線の車内で食べる、というスタイルには戻れそうにありません。

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余談はこれぐらいにして、富山マラソンの振り返り。

スタートブロックが過去イチ後ろという話を前回したんですが、それでも号砲から2分で通過。周りが動き出すまでそれほど待たなかったなあと思いつつ、周りのランナーにペースを合わせる形で進み始めました。

スタート直後はどうしても密集してしまい、渋滞で止まるようなことはないものの、思ったようなペースで走れないことのほうが多いんですが、今回はガーミンによると5分50秒ぐらいで最初の1kmを通過。1.5km過ぎにある高岡大仏手前の直角カーブで詰まるようなこともなく、あれよあれよという間に高岡駅前(ここでは毎年万葉線のドラえもんトラムがランナーを見守ってくれます)も、最初の給水ポイントも、5km地点も通過してしまいました。ここまでのコンディションを考えると、9時半過ぎてもおかしくないところをギリギリ9時29分で通過。

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スタート直後は密集していても、距離が進むにつれて徐々に周りとの間隔が空いていくのもフルマラソンならでは。初めはポジション取りに難儀した給水もだんだんと難易度が下がっていくようになります。そして10kmを過ぎ、庄川沿いの道路を進み始めるところで、高岡市の住宅街だった景色が変わっていきます。

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過去2回参加した時にはハッキリ見ることができなかった、立山連峰がお出迎え。ドラえもんトラムを撮った後は新湊大橋が見えるまで、スマホのカメラはお休みさせるつもりだったんですが、まだまだ体力的には余裕があったので、この風景を写真に残しておこうと考えを改めました。

カンのいい方は気づくかもしれないんですが、天候は快晴。
ということは、郊外を走る時は直射日光から遮るものが何もないということを意味します。ただでさえ長距離・長時間のレースなので、給水をしっかり取って体調を整えることも大事なのですが、同時に身体を暑くさせすぎないということも大事になってきます。真夏の北海道マラソンと、真夏のような気候で臨んだ12月のNAHAマラソンで学んだこと。
初マラソンの時はアクエリアスのペットボトルを装備していたので、前半の給水地点は「混んでるぐらいなら取らなくていいや」という気持ちでいけたんですが、今回は給水をパスしたら後々に響いてきそうな気がしたので、何としても水分だけは確保することに全力を注ぎました。

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給水だけではなくて、ゼリーや羊羹にチョコレート、中には一口サイズのますのすしや、白エビの天むすなど、目移りしそうなエイドもあるんですが、積極的に確保したのはゼリーとますのすしぐらい。ますのすしと天むすが出るエイドは1カ所だけだったんですが、天むすは確保しませんでした。
そのほかのエイドはスポーツドリンクで糖分を補給し、持参している塩飴で塩分を補給し、ミネラルウォーターで喉を潤しつつ頭から浴びて体温上昇を抑える、ということを徹底しながらレースを進めていきました。

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天むす&ますのすしエイドが18km地点。そこからすぐにきときと市場の横を通過すると、いよいよコース最大の高低差となる新湊大橋へと入っていきます。富山マラソンのPRで何度となく見てきた「新湊大橋の上から立山連峰を眺める」という画がついに自分の目の前に現れてきました。

前回でも触れたとおり、(エントリーした後の)7月に怪我をしてしまい、一時期は走るどころか歩くことすらやっとの状態。そこから何とか回復できて、無事に受付を済ませ、スタートラインに立ち、そして自分の脚で新湊大橋までたどり着き、緩く長く続く坂を登り切った後に現れた風景が…

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橋の頂上が中間点でゴールまでまだ半分残っているんですけど、初めてエントリーした時からずっと待ち望んでいた景色を、ようやくこの目で見ることに感動を覚えて、涙腺が崩壊しかけました。

そして後半もペースを守って感動のゴール!と行きたかったんですけど、練習不足の身体を思いやってくれるほどフルマラソンは甘くなく。回復時の練習で3時間連続して走ることをしなかったために(30km走をしようとして28kmでギブアップしたのが最長)、少しずつ少しずつやる気も体力ゲージも落ちていき、35kmの計測地点を過ぎたところで脚を止めました。

ここまでスタートしてから3時間11分が経過。給水は全て確保できていたものの、「ついにこの時が来てしまったか」という思いはありましたが、どこかでこうなることは想定済み。ただし距離が距離だったのでショックではありませんでした(30kmで来てしまったらショックではあったけれど)。
ちなみに新湊大橋を渡り終えてからフィニッシュまで、走ることを優先していたので風景写真が全くありません。

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自己ベストを出した前回には既に遠く及んでいないものの、実は30kmまでは初マラソンと同じペース。初マラソンの時は30km手前で脚が痙攣し始めてペースダウンしたのですが、そのときと比較して5km保つことができました。

そして一息入れてからは、
・35km過ぎで最初にやってくるエイドステーションまではジョギングペース
・エイドステーションでは立ち止まってミネラルウォーターとアクエリアスを確保
・やる気が出たら走り出す
・足が攣りそうになったら止める
というルーティーンの繰り返し。残り5kmから上り坂が再び現れるのですが、思ったほど苦しい走りにはならずにクリア。エイドの補給が功を奏したのか、周りのペースに合わせつつ、徐々に走れる距離が伸びてきたところで39km過ぎの最後のエイドにたどり着きました。

時刻は12時40分を回り、周囲には(3回目だけど)勝手知ったる富山市街地の風景。ガーミンに頼らなくてもゴールまでの残り距離が想定できるけれど、1キロ7分だとサブ4がギリギリになりそう、というところで視界に入ったのは、同じ特徴をした3人のランナー。

頭に黄色い風船
黄色いTシャツ
でかでかと書かれた4:00の文字

そう、4時間以内での完走を目指すペースランナーの姿でした。
自分より後ろのブロックでスタートしていたはずなのにもう追いついたの???と混乱する中で、ペースランナーの3人は周りに叱咤激励をしていきます。

ここまで来たら4時間切らないともったいないですよ
私らに抜かれたら4時間切れませんよ

そうよね。
そうだよね。
ここまで来たんだもんね。
あと2キロとちょっとだもんね。

自分の中で何かのスイッチが入ったらしく、40kmからフィニッシュまでの残り2キロは、自己ベストを出した前回と2秒しか変わらないペースにまで戻して、フィニッシュゲートを駆け抜けました。

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目標4時間のペースランナーは複数いらっしゃったので、この人たちじゃないんじゃないかと思って当日は何も言えませんでしたが、ここに改めて感謝の思いを綴っておきます。貴方たちがいなければ、私はきっと走ったり止まったりを繰り返してペースを下げ、4時間を超えてフィニッシュしていたかもしれません。ラストスパートは貴方たちの愛があふれる激のおかげです。本当にありがとうございました。

約2年ぶりの現地開催となったフルマラソン、相変わらず1人で参戦したけれど、1人ぼっちで走っているわけじゃなく、陰に日向に支えてくれる人がいるからゴールに向かって走ろうと思えるんだなあ、なんてことを実感するのでした。これだから現地開催は止められません。

何はともあれ、フルマラソンの楽しさも厳しさも久しぶりに存分に味わう結果になりました。脚が回復したら次の目標を見つけて走り始めたいと思います。

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富山マラソン2021参戦記 これにておわり

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