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旅するWEリーグ 広島のち京都でJリーグ

かねてより、WEリーグとJリーグを観戦するアウェイ旅がしたいと思っていて、ようやく実現した。

旅の条件はこんな感じだった。
土日の1泊2日で楽しめて、Jリーグは応援している横浜F・マリノスか、故郷のカターレ富山か、はたまた夫が応援する鹿島アントラーズの試合が希望で、WEリーグは「みんな好き」という状態なので特にこだわりはなく、そして、まだ行ったことのないスタジアムに行けたら最高!

調べるうちに、WEリーグの試合もエディオンピースウィング広島で開催されると分かった。2024年2月にオープンした広島のスタジアムは、今シーズン行ってみたいスタジアムのひとつで、新築ピカピカのうち、できるだけ早く行きたいと思っていた。マリノスの試合は少し先の9月21日で「待ちきれない!」と思っていたので、それより前にチャンスがあると分かり興奮してしまった。

ということで、サンフレッチェ広島レジーナの試合を軸にして、Jリーグの試合を組み合わせることにした

■広島・京都の旅
3月16日(土)
 ⚽サンフレッチェ広島レジーナvsマイナビ仙台レディース
3月17日(日)
 ⚽京都サンガvs横浜F・マリノス


新横浜から広島へ

朝6時11分発の新幹線で広島へ向かう。

広島は何度か訪れていて、広島市内、宮島、呉、尾道の定番観光地は巡ったことがあり、しまなみ海道を自転車で走ったこともある。故郷の富山と同じように、市電が走っている街は親近感がわく。
今回の旅は移動が多く、かなり慌ただしいけれど、試合とその土地らしい食事を堪能できればいいなと思っていた。

途中、「富士山が見えます。お楽しみください」と車掌さんのアナウンスがあり、美しい景色を拝むことができた。

車窓から

広島らしいものを求めて宮島へ

9時39分、広島に到着。
まずは広島らしいものを求め、JR山陽本線に乗り宮島口駅へ向かう。春休みの影響か人が多い。ぽかぽか陽気のなか、電車に揺られ30分。お目当ては、あなごめしのうえの

到着したらダッシュでお店に向かう計画だったが、乗り越し精算があり出遅れてしまった。すでにお店の待合所は人があふれていて、順番待ちの紙に書かれた名前と人数は、何時間待てばよいのだろう……と絶望する数だった。案内されるまで1時間ほど待ち、席について食べ終わるまで1時間、合計2時間を見積もっていたが甘かった。春休み、インバウンドを舐めていた。

旅のメインであるサッカー観戦に遅れるわけにはいかない。できればキックオフ1時間前には到着したい。となると選択肢は、別のお店で食べるか、うえののあなごめし弁当をテイクアウトするかだ。お弁当はすぐに買えるようだった。
順番待ちの名前を消して、お弁当に変更した。
うううっっ……。自宅からお店まで約815キロ。はるばる来たのに……。

あなごめし弁当2,700円。人生で一番高いお弁当かも。

レトロな包みがいい味だしている
茶色いお弁当は美味しい①

3月にしては暖かい日で、空は青く澄みわたり、ピクニック日和なのが少し慰めになった。ちょうどよいテーブルとベンチがあり、海を見ながらあなごめしを頬張った。

まだほんわか温かく、あなごとご飯の味付けのバランスがよい。うえののあなごめしは明治時代に駅弁として販売したのが始まりだそう。「100年以上守り続けた伝統の味」はお弁当も美味しく食べられるよう計算されているのだろう。

店内で提供されるあなごめしはどんな味だったのかな。お弁当と同じなのかな。美味しいお弁当を食べながらも、そんなことを思った

未練がましく、帰りがけに順番待ちの紙を見ると、全然進んでいなかった。判断は正しかったと自分を納得させスタジアムに向かった。

エディオンピースウィング広島へ

広島駅から観光ループバスめいぷるーぷに乗り、原爆ドーム前で降りる。ひろしまゲートパークを少し歩くと、すぐにスタジアムが見えてくる。

前方にスタジアムが見える

「まちなかスタジアム」と謳うだけあって、本当に街の中心にある。スタジアムへのアクセス方法も複数あり便利。広島駅から30分歩く選択肢もある。

多くの方がここで写真を撮っていた

チケット売場は、当日券を買い求める人が列をなしていた。好天に誘われて来た人が多かったのかもしれない。

スタジアムショップも賑わっていて、レジ待ちの人がずらっと並んでいた。サンフレッチェサポーターではない私たちも入りやすい雰囲気があった。ショップ内はチームカラーの紫が高級感を醸し出している。商品が豊富で、男子のグッズだけでなく女子のグッズも並んでいることに感動した。トップチームのユニフォームを着たサポーターの方がレジーナのグッズを選んでいる姿すらも羨ましく思えた。男子と女子のチームがあるクラブが本当に羨ましい。


天気が良く、芝の緑と座席の紫が美しい。ゴール裏に設置されているビジョンが大きく迫力がある。昨年の女子ワールドカップも、横長の大きなビジョンが設置されたスタジアムが多かったように記憶している。

素敵だ!
どこを切り取っても素敵だ!

座席は、メインスタンド中央前方のプレミアムシートを選んだ。Jリーグの試合では法人専用で一般販売はないが、WEリーグでは購入可能だ。お値段は6,000円。
本当にプレミアム感のある座席で、お尻が冷えないよう座布団を持ってきたが不要だった。
特別感がある席で観戦できるWEリーグ最高か!

座席からの眺めはこんな感じ
クッション付きの椅子

サンフレッチェ広島レジーナvsマイナビ仙台レディース

レジーナの試合は、昨年10月にWEリーグカップ決勝で観戦していて今日が2度目。なでしこジャパンの中嶋淑乃選手、ジェフ千葉から移籍した市瀬千里選手、などなど……、知っている選手が多く楽しみにしていた。

スタジアムの椅子は、紫、青、白で構成されている。後ろに座っていた方がご友人に説明しているのが聞こえたのだが、瀬戸内海の波をイメージした色合いになっているそうだ。バックスタンドの座席に光が当たり、目の前に広がるおだやかな瀬戸内海のように見えた。

「島袋奈美恵選手はね、沖縄出身ぽい名前だけれど群馬県出身なんだよ」
「呉屋絵理子選手はね、ジェフ千葉の呉屋大翔選手の妹なんだよ」
どうでもいい情報を夫にインプットする。
WEリーグは、他サポーターの夫や友人とワイワイ楽しめるレジャーのひとつで、穏やかな気持ちで観戦できる。

開始まもなく、マイナビ廣澤真穂選手にボールを奪われ、そのままミドルシュートを決められた。一人でボールを運びフィニッシュする選手は好き。いいシュートだった。いつかなでしこジャパンで活躍する姿をみれるんじゃないかと思う。どうでもいい情報だけれど、廣澤選手の好きな選手はロナウジーニョ。
後半、廣澤選手に2得点目を決められてしまう。レジーナのほうが攻めている時間が長いしシュートも打っているのに決まらない。このまま終了は嫌だな……と思っていたら反撃が始まった。
瀧澤千聖選手から中嶋淑乃選手へ縦のパスが通り、中嶋選手がクロスをあげ上野真実選手が1点を返した。中嶋選手がボールを持つと何かしてくれるんじゃないかという期待感がある。さらに、髙橋美夕紀選手が交代で入ってから、ボールのつながりが良くなる。アディショナルタイム終了間際、上野選手、藤生菜摘選手とつないで、髙橋選手が同点ゴールを決めた。きれいな流れの得点だった。

結果は2ー2の引き分け。追いついての引分けは、勝ち点1.5から2くらいの気持ちになる。ホントよく追いついた!
アディショナルタイムのゴールは、どうしてこんなに興奮するんだろう

試合が終わり、鳥の群れがスタジアムのビジターゴール裏からホームゴール裏に向かって飛んでいき、羽が光に反射してキラキラ輝く様子はこれも演出なのではないかと思える景色だった。

白いの見えますか?

試合後、数少ないビジターサポーターにも丁寧に挨拶する選手やマスコットの姿を見て、スタジアムが満員になる日を願わずにいられなかった。

入場者数は2,352人。この日、近隣では広島カープのオープン戦、ポルノグラフティのライブがあった。しかも同じ時間帯に神戸で男子の試合があった。イベント目白押しのなかで、この数字はまずまずではないだろうか。
広島カープは1949年生まれの75歳。Jリーグは1993年生まれの31歳。ポルノグラフティは1994年生まれの30歳。WEリーグは2021年生まれの3歳。これからだよね!

WEリーグ 第10節 3月16日(土)
入場者数 2,352人
サンフレッチェ広島レジーナ 2ー2 マイナビ仙台レディース
得点⚽
6’   廣澤真穂(マイナビ)
64’   廣澤真穂(マイナビ)
68’  上野真実(レジーナ)
90+3’ 髙橋美夕紀(レジーナ)

「あなごめし」と「うな重」

帰り道にふと思った。
女子サッカーは「あなごめし」のような存在かも。対して、男子サッカーは「うな重」か?

何年か前に宮島で初めてあなごめしを食べ、「あなごってこんなに美味しかったんだ!」とびっくりした。その日以来、私のなかであなごの地位は向上した。うな重と見た目は似ているが味わいは違う。
同じように、数年前、女子サッカーをスタジアムで初めて観て、なぜ今まで観に行かなかったのだろうと思った。楽しく、美しく、力強い
初めてスタジアムで観た知人は「思っていたより楽しかった」「女子サッカーいいね」と言う。

たしかに、うな重(男子サッカー)のほうが認知度が高く人気があるが、あなごめしを食べたことがなく(女子サッカーを観たことがなく)、その美味しさ(楽しさ)を知らない人が多いんじゃないかと思う。
あなごめしの良さも知ってほしい。
わかりやすい良さをひとつ挙げるなら、あなごめし(女子サッカー)は、うな重(男子サッカー)よりお値段がお得。まだ体験したことがない方は試してほしいな。

楽しい1日の締めは、お好み焼き。


京都へ 観光とさば煮

7時30分。広島を出発。
窓から眺める景色は、どこまでいっても灰色の空で雨が降りそう。

新スタジアムでWEリーグを観戦できて大満足だ。あなごめしもお好み焼きも美味しかった。悔やまれるのは、大好きな川通り餅を買いそびれてしまったこと。

京都の滞在時間は更に短いので時間との戦いだ。まずはバスで蘆山寺へ。紫式部が源氏物語を執筆した地といわれている。大河ドラマ「光る君へ」のゆかりの場所に行こうと決めていた。

廬山寺の源氏庭

お昼はさば煮で有名な今井食堂へ。バスだと時間がかかるのでタクシーを使った。
「この、どよーんとかすんでんのは花粉ですわ!」
「そうなんですか?」
「山のほう、しろーくなってますやろ?」
運転手さんと、花粉症のことやら、配車アプリのことやらを話しながらドライブ。

お店に到着すると何人か並んでいて最後尾に並ぶ。持ち帰りの人ばかりで、食堂は違う入り口なのかしら……と思っていると、「土日祝はテイクアウトのみ」と張り紙があった。

うそーーん!

2日連続でお弁当を食べる運命だったのだろうか……。
鴨川を眺めながら今日もピクニックになってしまった。

ベンチからの景色
茶色いお弁当は美味しい②

まずは、さば煮をひとくち食べる。
「うまっ!」
骨までほろほろに柔らかく、しっかり味がしみている。大根も揚げもチキンカツも美味しくて、川沿いで食べているのを忘れてしまうくらい幸せ気分になった。ランチがお弁当になり不機嫌そうにしていた夫も笑顔になっていた。

お弁当を食べ終わると雨が本降りになってきた。傘を買うのは負ける気がして(何に?)、マウンテンパーカーのフードをかぶり雨をしのいだ。

京都サンガvs横浜F・マリノス

今シーズン、マリノスの試合は雨が多い。しかも寒い日が多い気がする。屋根のありがたみを感じつつ観戦。

チアスクール生のパフォーマンス

2点リードで前半終了かと思いきや、あっという間に2点返され同点となった。試合展開も天候と同じく、雲行きが怪しくなり、退場者2人を出し、良くも悪くも、ハラハラ盛り上がる展開となった。結果は2-3でマリノスが勝利したけれど、京都のほうが見せ場があったよね……という内容だった……と思う……。結果が全てと割り切るべきなのか、もやっとしながらスタジアムを後にした。

Jリーグ 第4節 3月17日(日)
入場者数 12,937人
京都サンガ 2ー3 横浜F・マリノス
得点⚽
5’   水沼宏太(横浜FM)
33’   アンデルソンロペス(横浜FM)
45’  佐藤響(京都)
45+3’ 川崎颯太(京都)
52’  アンデルソンロペス(横浜FM)

空もどんより
冷えた身体にはラーメンが必要

2試合観戦して、9ゴール、レッドカード2枚、イエローカード4枚。
後から気付いたのだけれど「紫」がテーマの旅だった。レジーナの紫、サンガの紫、そして紫式部の紫。
ちょっとマンネリ気味だったJリーグアウェイ旅に、WEリーグを組み合わせるだけで新鮮な旅になった

帰り際、京都駅でダンディなスーツ姿のキューウェル監督をお見かけした。通訳のゆっちさんとお話されている表情は、心のモヤモヤが吹き飛ぶようなキュートな笑顔だった。
旅の締めくくりが、監督の笑顔なんて最高だ!

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