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#241 加藤シゲアキがカッコいい

皆さんご存じ加藤シゲアキさん。

色々あったNEWSの一員でありながら、精力的な作家活動がヤフーなどのNEWSになっているアイドルだ。

ジャニーズなので職業アイドルということで良いと思うのだが「チャンパカーナ」と言ってみたり「チュベローズ」と言ってみたり結局のところ何者なのかよくわからない。

とはいえここで言いたいのは、つまりのところ彼がカッコいいということだ。



■ピンクとグレー

数年前に加藤シゲアキさんのデビュー作である「ピンクとグレー」を拝読した。

正直なところアイドル活動する彼がどんな作品を創ったのだろう?といった興味本位が8割。

偉そうなことを言えた立場ではないけれど、終盤にかけて引き込まれる面白さがあって素直に「すごい!」という感想を持った。

ただ、
この手の小説は「情景描写」「心情描写」が重要であり、これらは力みすぎると全然頭に入ってこないし、雑すぎるとそもそも物語が面白くない。
つまり作家さんの自力みたいなのが如実に現れてしまうわけで、

そういう意味では加藤シゲアキさんのこれはやや前者寄りで、(本当にもう全くもって人のこと言えた立場ではないんですけど)うまいこと言おうとする雰囲気がやや強めではあった。

また、物語のフィールドが芸能界だったこともあり得意分野で戦っている感じも否めず、僕のブクログの評価は☆3つ(5つが最高)であった。



■チュベローズで待ってる

高田馬場にあるブックオフにフラッと立ち寄ったときに思わず目に入った文庫。それが加藤シゲアキさんの「チュベローズで待ってる」だった。

表紙にそこそこのインパクトがあり、かつそろそろ加藤シゲアキさんの小説をもう一度読んでみたいと思っていたタイミングであったため、即買い。

チュベローズってなんだ?

と思いながら読み進めていくと、それは新宿にあるホストクラブの名前であった。出てくる登場人物が個性的だし、掴みが強いのでスルスルと読み進められる。

完全にストーリー性にはめられたのだが、驚いたのは「描写」のなめらかさが明らかに増していること。これは小説家としての積み重ねを感じさせたし、明らかに加藤シゲアキさんが「アイドルの書いた小説」から脱しようと努めてきた結果なのだと思った。

そして、物語のフィールドもホストクラブとゲーム業界の開発の世界と、いずれも芸能界とは一線を画した内容で戦っているのも好印象だった。



■本屋大賞と歴史長編

そんな加藤シゲアキさんが「オルタネート」で本屋大賞候補になったとき、”芸能人だから”といった色眼鏡を通してみている人が少なからずいたけれど、それはもうナンセンスな意見であることを僕は知っている。

彼は本当に書くことが好きで、小説に対して真摯に向き合っている職業アイドルであることが良くわかる。

恐らくたくさん苦労して、悩んで、試行錯誤して、積み重ねて本屋大賞の候補にまで上り詰めたのだろう。


そして先日こんなニュースを見た。

これまでフィクション小説を書き続けてきた彼が、戦争に関する実話をもとに長編小説を完成させたという。

随筆系の戦史小説というと百田尚樹氏の書いた「永遠の零」が思い出されるが、読んだことのある方ならこの手の物語を書き上げるのに相当量の調査と勉強が必要であることがわかるだろう。
つまり小手先のテクニックだけでは絶対に書けない世界。

加藤シゲアキさんは「芸能人が書いた小説」の殻を破るだけでなく、さらにその先のステージに駒を進めて挑戦していると言えよう。
もう本当に感服としか言いようがない。



実際にどんな物語になっているのかワクワクしつつ、
とにかく進化をやめない2足のわらじに心からカッコいいなと思う

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