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#244 ジャニーズのタレント採用が見送られる理由

ここにきて続々とジャニーズタレントの採用が見送られている。

そもそも所属タレントは被害者なのであってその人たちから仕事を奪うのはちょっと可哀そうでは・・・と思ったりもしたけれど、見送りを表明する経営者たちの言葉を見ていて「なるほどそういう解釈か」と妙に腑に落ちた。

この解釈をすれば世の中の動きがものすごく自然に見えるし、こういう時経営者ってのはこうやって判断するのだな、ととても良い気付きになったので記しておこうと思う。



■企業同士の話

まずもって徹底されているのは、
企業がタレント採用見送りの決定をする際、企業を企業としか見ていないという事。

タレント採用という行為は、人権侵害した組織(ジャニーズ事務所)の利益に直結しますからこれをしないようにしますと、そう言っているだけなんですね。

タレントが「人」であるが故に少しドライ過ぎる気もしますがそもそも契約ごととはそういうもの。


例えばある映画の中に薬物使用したタレントが出演していた際に、「作品に罪は無い」という風潮がありますがこれはわかります。
でも、もし映画作成会社がその斡旋や隠ぺいに加担していたらどうでしょうか?それでも「作品に罪は無い」といってその会社から映画を買いますか?

さすがにそれは止めると思います。作品ではなくて組織を見ているからです。
要はそういうことです。



■「出演料は本人に」

そう考えるとジャニーズ側が発表した「出演料は100%本人に」という考えも理解できます。

タレントを使うと判断した会社に対して、少なくとも犯罪組織が利する行為に加担していないですよ、というのをジャニーズ側が懸命にフォローしているんです。

これによって他の会社が「よっしゃ。じゃぁジャニタレ使うか」となるほどの効力はもちろんありませんが、
少なくとも使ってくれる会社に対して最低限の配慮をしたと言えるのではないでしょうか。


ただし企業にとっての利益とは果たして出演料だけを指すのか、というのは残るのかなとも思います。



■退所していればOKという風潮

となるとジャニーズ退所組の処遇も納得できます。

組織が利するか否かで判断すれば、ジャニーズに居なければOKと考えられるからです。
「事務所を(裏切って?)退所した人だけ優遇されるの許せない!」という意見もかなりわかるのですけど、思いのほか世間はロジカルでドライですね。

中居くんなんて未だにジャニーズのイメージが強いですけど退所したのがもう3年以上前ですか。
このタイミングでソフトバンクが満を持してCMに中居くんを再登場させたのは何ともニクい演出に見えてしまいますが、冒頭に述べた考え方から言えば全然シロなわけです。


CMとはイメージですから、退所していればOKとどの企業も思うかは不透明ですが、少なくとも採用する側からすると筋は通っていると言えるのかもしれません。



■これからのジャニーズ

じゃぁ何をもってジャニーズは人権侵害した組織から脱却できるのか、というところなんですけど、これについては正確な線引きが難しい。

一つ言えるのは、時間が解決してくれるのを待つ、ということです。人もそうですけど、更生したと認められるにはそれなりに時間を要するからです。


でも時間経過しただけではさすがにOKとはならないでしょう、ってことで目に見えてわかる変化として
・社長の交代
・社名の変更
・株主をどうするか

というのが必要になると思います。

まず社長に関して、
これはわかりやすく諸悪の根源でもあった対象者がすでに没しており現時点でクリアされています。会見でも「鬼畜の仕業」と新社長が言い切ったことは脱却を強く望む姿勢として評価されても良いのではないかと個人的には思います。

それから社名。
これについても色んな意見が交錯していますが、基本的には変えるはずだと思っています。
我々は生まれ変わった!とアピールするのに鬼畜の名前が残っていていいわけが無いからです。これは事務所の判断というより、取引先がそうせざるを得ない空気を創るのではないでしょうか。

そして、株主。
ご存じの通り現状はジュリー元社長が100%保有しているようですが、これって財産がどうこうではなくステークホルダーが少ないという点で市場からの印象は最悪だと思うんですよね。

社長や社名が変わっても風土はなかなか変わりませんから。それに対して第三者の抑止力が無いというのはあまりにも説得力がありません。

別に株式公開しなくても良いのですが、監査部門がきっちりあって、しっかりと抑止力が働いているというのをアピールする必要があります。



■経営者の視点

正直この件に関してはタレントが可哀そうだ、と僕自身も思いました。

しかしながら経営者が普段から何を見ていて、何を以って判断しているのかというのが良く見て取れる好事例となったと思います。
大変勉強になりました。


SNSでも著名人が「感情」と「あるべき姿」をごちゃまぜにして難しい議論が飛び交っていますが、実は議論するほどのことは無く、真理はとてもシンプルなんだなというのを強く感じました。


これからも色んな議論や声明が出てくると思いますけど、
「人権侵害した会社が利するような行為はしない」
「人権侵害した会社でなくなるには何をするべきか」


この考え方をもとに判断してみると、誰の意見がロジカルで、誰の意見が感情的なのかが判断できるのではないでしょうか。






本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。


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