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【緊急】【ジュビロ磐田】アキラさんのこと。

僕は梅雨入り間近の陰鬱とした6月初旬に、こんなnoteを書いた。

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この時シーズンの半分を終えてたったの3勝。しかし少ない勝利数とは別に心の中にワクワクするものが漠然とありそれを自分なりに整理するために文字に起こしてみたのだ。

下手をすれば「甘い!」と一喝され、批判を受けそうなこの文章を公開するのには少しばかり勇気を要したのだが・・・

蓋を開けてみれば今年に入って最大のビュー数とスキ数を示した。


ジュビロ磐田とそのサポは、「アキラ監督とスタートした1年」の意味を良く分かっている。
このことはとても嬉しかったし、自分たちが進んでいる方向に必ず光が射すと信じるには十分な説得力があった。


あれから2か月。 たったの2か月だ。



■不運

勝負事に「不運」という言葉は、本来あってはならないのかもしれない。

しかしながらアキラ監督に課せられた制約は少し厳しかった気がする。
ルキアン、小川航基という2大エースをゼロ円で失った後、前の選手の十分な補完は無し。
結果的に追加補強を苦しくした高額の杉本、ドゥドゥらはアキラ監督の望んだ獲得だったのか。

加えて屋台骨とも言えるベテラン勢の戦線離脱。怪我や感染症により毎試合どこかが欠けるままならないスカッド。
好調だった雄斗選手、ラッソ選手が謎の長期離脱を強いられたのも逆風でしかなかった。(いったいアレは何だったんだろう)

本来、現場と経営は別軸で語られるべきという理想があるが、深刻な赤字経営が現場に無言の圧力を与えていたことは間違いない。

限られたカードで結果を残すのが、戦術家の腕の見せ所

アキラ監督はそう言わんばかりにあらゆる策を講じてそれを体現してみせた。湘南戦など見事に嵌った試合もあったが、
厳しいチーム事情が戦術に後手を踏ませ、トライ&エラーの要素が強まるとこんなにも脆いものかと痛感させられた。

そして、ジュビロ磐田の信念は少しずつ綻びだす

それは自分を、仲間を、そして進んでいる方向を「信じる」という信念に他ならない。
一番恐れていた事態が、緩やかに動き始めていた。

厳しすぎる制約は、監督にはどう映っていたのか。



■歯車

失意の浦和戦を視聴して感じた。

明らかに選手たちが疲弊している。この疲弊は夏バテのようなものとは一線を画す”全く別のもの”に見えた。

では何か。


105m×68mのサッカーコートをグラウンドレベルで俯瞰して、ゲーム中にフォーメーションとポジションを変更していく行為は、我々素人が想像するよりはるかに難易度が高い。
つまり選手たちは脳みそをかなりハードに使い、同時にスプリントを繰り返している。これは相当キツイはずだ。

アキラ監督とジュビロ磐田のチャレンジはまさにこれであり、おかげで(特に若手選手たちの)サッカーIQはかなり向上したと思う。
しかしながらこのハードな挑戦に、結果が付いてこなければどうなるか。


人間とは残念ながら本能的に現状維持を求める生き物だ。

この悪き現状維持精神に立ち向かうためには高い高いモチベーションを要する。
僕が前出のnoteで「成功するためには疑わず信じること」と発言した真意は、実はここにある。

疑うと、崩れ落ちるのだ。モチベーションが。

モチベーションが低下すると、現状維持を欲しだす。
するとどうなるか。
挑戦に対してネガティブになり、思い出したように疲労を感じ始める。そして体が勝手に、やりたくないと拒否を始める。
月曜日に布団から出られない、あれだ。

「またシステムを変えるのか。オレは次は何をしたらいいんだ。本当にそれは必要なのか。本当にそれは上手くいくのか・・・。」


アキラ監督がゲーム中にフォーメーションをいじることは必要行為だった。
しかしながらここに、
夏場の暑さ、走っても報われない辛さ、ミスへの恐怖、結果が出ないことに対する苛立ち、自己嫌悪・・・そういったものが加わると、どんなに戦術を変えても結果はついてこない。そして、

疑心暗鬼は、監督の求心力をむしり取る。

エコパでの6失点はもはや、燃え盛る炎にじょうろで水を掛けているようなものだった。例えそれ(戦術)が正しいやり方だったとしても、勝てない真因はそこじゃないのだ。

大雨のホームなのに相手の炎が一向に消せない屈辱の大敗は、実に苦々しかった。
そしてそれはサポーターよりもむしろ、選手たちから見て取れてしまったのが本当に辛かった。


誰も悪くない。誰も悪くないのだが確実に、歯車の外れた音が聞こえた。
浦和戦はそんなゲームだった。

下を向くなと言うのは簡単だけど・・・。選手は相当辛いはず。



■これから

後任に鈴木政一監督が決まった。

ツイートしたようにこの人事は消去法で決まったようなものなのでこれに対して正論を投げかけるのはナンセンスだと思う。

ただこれによって失われるものについては(個人的にも)整理しておきたい。大きく2つあるのではないかと。

一つ目は、戦術官に対する耐え性の無さをリーグに知らしめてしまった事

フベロさんアキラさんと、この短期間で磐田は2つものポリシーを放り投げた。背景には昇格、残留という絶対に譲れないものがあったのでやむを得ない判断だったと思うが、そんなことは外部の人には関係ない。

いずれにせよジュビロ磐田は、プロの卵である若い選手と今後磐田をスポンサードする可能性を秘めた人たちに対して、良くない印象を植え付けてしまった事は間違いない。
ただ、J1に居ないと良い選手もスポンサーさんも付かないじゃん!というのもまた事実なわけで、このことの正誤判断は難しい。

しかしどうだろう。長い目で見たときにこれは負の遺産でしかない。我々はそんな負債を自覚しなくてはいけない。


二つ目は若手について。

政一体制はいつも選手ありきなので、戦術を組み立てそこに見合った選手を割り当ててゲームを作ると言った芸当は出来ない。
都合のいい言葉で言えば「ファジー」になるが、言い換えれば(経験値的に)計算しにくい選手は使いづらいということになる。

つまり、若手よりベテランが重用される。圧倒的に。

このことは歴史的に証明されているし名波さんによって磐田の代名詞化されてしまった感もある。一刻も早く取り除きたいのだが・・・それに対して時が止まってしまった事実は否めない。

火中の栗を拾ってくれた政一さんを責めるつもりは全くないけれど、結果としてそのようなタイムロスが発生したことは痛恨の極みである。


かつて京都の曺貴裁監督が「昇格や残留など何かを賭したときに、若い選手は驚くほど成長する」と言っていた。
これについては本当にその通りだと思うし、このような環境を少しでもポジティブに捉えて未来の磐田に何かを残して欲しい、と願うばかり。

暴れるなら、今。



■伊藤彰監督へ

かつてこれほどワクワクしたシーズン開幕はあっただろうか。

下田さんが実況で「志」と何度も言っていた。客観的に見て確かにそこには確固たる信念が見え、それは僕たちがずっと見たかったものだった。

J1の強度と、ままならないスカッドのせいで方針がブレたように見えたけど、それを可視化して緻密に軌道修正して何度も立て直そうとする様はさすがの一言でした。
しかし、
それをフォローするだけのバックアップが無かったことが無念でなりません。

縁もゆかりもない磐田に来てのチャレンジはとても過酷だったと思います。それは単なる単身赴任ではなく、ジュビロ磐田のDNAとの戦いだったから。

どうせなら悪魔のような意地悪な敵がいて、それを一つ一つの乗り超えていく勧善懲悪アニメのような挑戦だったら良かったのに、とすら思ったりします。
しかし、今回の挑戦と結果に悪者はいない。それだけに僕たちは、辛いんだと思います。

最後に一つだけお伝えするとするならば、アキラさんの挑戦に異論を唱えるものは、(少なくとも私の周りには)いません。
それは本当です。


短い間でしたが本当にありがとうございました。
これからもジュビロ磐田のファミリーとして(たとえ異なる形でも)力を貸してください。

よろしくお願いいたします。

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