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EMotorad(印;電動自転車)がSeries-B調達に成功

インドの電動自転車スタートアップであるEMotoradが2,000万USDの調達に成功しました。中国メーカーに席巻される市場で、品質/顧客体験を切り口に製造/販売を行ってきた同社ですが、中国企業の失墜が続く中で独自にポジションを形成してきました。
今回の調達はインドでの製造拠点整備に使われますが、日本含む世界展開も拡大しそうです。

1;EMotradの調達成功

 電動自転車を製造/販売する印;EMotoradがSeries-Bラウンドで2,000万USDの調達を実施。シンガポールの投資ファンドであるPanthera Growth Partnersがリードし、AlteriaやGreenFrontier等のVC数社が参加
 今回の調達は中国による市場支配の打破と、世界市場でのプレゼンス拡大を企図したもの。世界銀行によると[交通渋滞緩和/激しい身体活動を必要としない移動手段への需要]といった観点で2023年時点で3億台の電動自転車が世界で流通すると推測。一方、需要の高まりに対応する供給は殆ど中国企業に依存しており、EMotoradはインドに製造拠点を設立して潮目を変えることを目指す
 創業者/CEOのGupta氏は品質向上/インド市場の深耕について強調し、以下のようにコメント
 [価格が競争の決め手ではなく、当社は品質に重きを置いて事業展開してきた]
 [当社はSWを磨き上げ、パートナー企業はバッテリー/モーターの品質向上に努めてくれた]
 [インドの電動自転車市場は急速に拡大しており、国内事業は前年比400%という大幅な増加を見せた]

2;事業概要と特徴

 EMotoradは2020年にプネーを拠点として設立、自社ブランド展開&ホワイトレーベル展開での販売を通じて18か国以上に輸出
 販売代理店&ホワイトレーベル展開は米国/豪州/日本/UAEで行っている。欧州では小規模ながら倉庫や組立施設を構え、独自の消費者向けビジネスを展開
 電動自転車は14モデルで、7-8モデルはインドで展開しており残りをGlobalで展開している。ラインナップの価格は、US;600-1,200USD/EU; 600-1,500EUR
 高度な顧客体験と安心を売りとしており、クレーム/苦情に対して48時間以内の解決をモットーとする。電動自転車には部品/部材のエラーコードを表示するディスプレイが備えられており、これを使うことで問題の迅速特定/解決が可能となっている

3;事業拡大戦略

 製造能力の拡大に資源投下しており、今後3か月以内に年間40万台の製造能力を持つ施設(全主要部材を開発/組立を行う[社内スマートドライブトレイン]を備える)を建設中。
 現在の年間生産台数は9万台で、プネの自社施設でバッテリー/モーター/他部材を組み立てている。加えて、ベンガルールに50人のメンバーからなる技術センターを構え、独自技術の開発を支援。製造に関してはインド全土の複数パートナーと協力して製造能力拡大に備えている
 販売規模は2022年で[全世界;40,000台/インド; 10,000台]となり、これまでの累積販売台数は80,000台。インド全土で200店舗を展開、今後1年半で800店舗に拡大することを目標とする
 世界展開では米国/欧州/豪州での拡大を企図、RadPower/Lectric/Cowboyといった先行事業者をベンチマーク、25年度までの販売目標台数を10万台に置く。廉価モデルを大量生産していた中国企業の撤退で先進国メーカーが支持を集める中でのポジション形成に自信を見せる
 Gupta氏は[複数のプレーヤーが戦う市場であるが、我々にとって有利なことは中国企業の多くが廃業/撤退し、欧州/米国の企業が活気づいている点だ]と述べる

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