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インド政府がEV輸入関税の引き下げ施策を公表、Teslaも参入へ

インド政府は個国での製造拠点開設/投資とのバーターで、EV輸入関税を引き下げる政策発表を行いました。
Teslaがここ数年躍起になって行ってきた政府との関税交渉ですが、ついに実現したことでTeslaのインド攻略戦略が一歩先に進みそうです。

https://www.business-standard.com/industry/auto/govt-approves-new-ev-policy-bolstering-tesla-s-market-entry-plans-124031500469_1.html

1;インド政府のEV輸入関税引下

 インド政府;重工業省は3/15にEVに関する関税方針をリリース、条件は下記で現地製造とのバーターでEV関税引き下げを実施するとのこと。現在の輸入車に対する関税は価格に応じて70~100%となっている。
(投資) インドへの最低5億ドルの投資を行い、部品の最低25%はインド国内で調達したEVを製造すること
(関税) 35,000ドル以上の自動車輸入関税を15%軽減し、年間8,000台のEV輸入が可能に
(猶予) 実施に向けての猶予は3年

 リリースで同省はEV普及促進/石油依存脱却というインド政府の目標(2030年までにEV販売比率を30%に)達成への施策とし、下記コメントを出している
 -[インドの消費者に最新技術へのアクセスを提供し、Make In Indiaを推進してEV事業者の健全な競争を促進。EVエコシステムを強化して、大量生産/規模の経済/生産コスト削減/輸入削減につながる]
 -[原油/貿易赤字/大気汚染の削減は健康と環境にプラスの影響を与える]

 同時にインド商工省は別途輸入許可について[インドに少なくとも8億ドル投資する企業は当面、年間8,000台を上限として最大40,000台のEV輸入を許可する]としている

2;Teslaとインド政府の交渉

 Teslaはインド政府とEV輸入関税引下げ協議をしてきたが、今回の政策変更でインド参入への道が開かれる可能性が高い。当面は上海の製造拠点からのEV輸入が想定され、一方で今後数年間でEV/LiB製造拠点を移転する予定があるともいわれる
 競合のTataやHyundaiに対抗すべく、中国での最安モデルよりも手頃な25,000ドル以下のモデルを発売する想定

 数年前からインドへの参入を検討してきたが政府方針/Musk氏の方針のズレで伸びてきた経緯がある…
 当初は2021年に現地拠点の確立を想定していたが、Musk氏の抵抗で棚上げ(輸入車販売/サービスの許可が無いと製造は無理と主張)
 22/09にはインドの商工大臣は[Teslaがインドからの自動車部品調達額を10億ドル(22)から17億-19億ドル(23)にほぼ倍増する目標]と発言

3;インドのEV市場

 インドの平均自動車価格は10,000ドル未満、国内販売される自動車の70%は15,000ドル未満。Teslaは最初の段階でTeslaはインドを販売市場でなく東南アジアへの輸出/製造拠点として活用する可能性が高い

 中国/東南アジア各国のEV企業がインドを製造/販売拠点として位置付けて参入を図っている。Vinfastは24/01にインドに20億ドル投資して製造拠点を整備する計画を発表。うち5億ドルは南部のタミル・ナドゥ州に1.6㎢の施設を設立するために使う。また、吉利/Lotus Carは23年にインド輸入業者と提携して電動SUVの発売を実施
 一方でまだまだ二輪がメインの同国、政府の施策はEVよりだが民間企業は二輪製造に注力しているのが現状

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