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Teslaの24-1Q決算は減収減益だが、EV以外は堅調

Teslaが24-1Qの決算発表を行い、結果は減収減益ながら報告資料での新しいプロダクト/研究開発の方向性を好感して株価は上昇しました。
EVの不調は喧伝される通りですが、Megapackを要するエネルギー部門や、NACSによる収益を得るサービス部門は成長しつつも利益率高く、良い具合の事業ポートフォリオとなっています。

https://digitalassets.tesla.com/tesla-contents/image/upload/IR/TSLA-Q1-2024-Update.pdf

1;財務成績;Tesla-24/1Q

 売上高は213億ドルでYoY比較で9%の減少、営業利益は12億ドル(0.45ドル/株)でYoY比較では54%の減少という減収減益の結果に。
 事前のアナリスト予想は[売上高;222.2億ドル][営業利益;0.49ドル/株]で予想を下回って着地。財務報告は期待を下回ったが、決算報告会でのMusk氏による新施策を好感して株価は最大9%近い上昇を見せた
 保有する現金ポジション(現金/現金同等物/有価証券)は久しぶりに減少したものの、現状ではまだ269億ドルを保有。FY23-4Qから22億ドル減少したが、[在庫増加(27億ドル)][AIインフラ設備投資(10億ドル)]が影響しているとみられる

 今回の決算の背景にある事象について、Pos/Negの両方について触れたが基本的にはNeg要因が多い…
 (Pos)他社HV優先によるEVでのクレジット獲得,ゼロエミッション税額控除の獲得(4.4億ドルを獲得)
 (Neg)フーシ派による紅海封鎖,Giga-Berlinでの放火事件,CA州拠点での新型モデル3の段階的な製造
 *何より大きなNag要因は[大手各社によるHV車優先によるEV販売の圧迫]があるとしている

2;事業成績

-EV関連-
 Teslaの出荷台数は23年度に180万台に達したが、22年末から継続する値下げで利益率は低下傾向。EV事業の粗利益率は16.35%で、23-1Qの18.96%から縮小している
 24-1Q納車台数は386,810台で、23-4Qの484,507台から20%近く減少、23-1Qと比較しても8.5%の減少へ
 利益は減少傾向だが、報告書では将来の可能性に言及。[自動運転の進歩][次世代車両PFを用いた新製品]に焦点を当てた。24-1Qの研究開発費は11億ドルを計上したが、23-1Qに比較すると51%減少となったが…
-他事業-
 エネルギー(発電/蓄電)事業は売上高は16.3億ドル(YoYで7%増加)、売上総利益ではYoYで140%増加。メガパックの導入増加を主因として24-1Qの蓄電総量は4.1GWhを記録し、全ての数値で過去最高値を達成
 本事業はTeslaの中でも高収益事業で、CA州工場では2本の組み立てラインをフル稼働すべく進めている。懸念はTeslaも指摘しているが[太陽光発電設置の減少]が記録されているとのこと

 スーパーチャージャーNWを主とするサービス事業も好調で、22.8億ドルの売上を立てた
 24/02以降、Tesla以外のEV保有者にもSCNWの開放を開始し、OEMによるNACS採用支援やSC拠点の整備に資本を割くとのこと。ほとんどのOEMがNACS互換性をリリースしており、今後収益の大きな柱となる想定

3;決算前の状況

(1月決算)
 2024年のEV販売の伸びは[著しく低下する可能性がある]と警告、本年は[2つの大きな成長の波]の間にあったことを指摘。小型EVプラットフォームを活用した低価格EVの開発(当時)及び、サイバートラックの本格製造&納車を成長ドライバとしていた
 当時はMusk氏も小型/安価のEVについて[25年後半にTX州工場で生産開始し、最終的にはメキシコ工場での生産に切り替える]としていた
(4月の一連の動き)
 24/04には小型EV-PFの計画を変更し、安価EVでなくロボタク(自動運転)にリソースを割いて8月公表に向けて動くと突然発表。8/8に何らかの形で公開するとのこと
 その2週間後、従業員10%を対象とするレイオフ/組織再編/役員退任を発表
。CFOによると今回のレイオフでは年間ベースで最小10億ドルの節約効果を生むとした

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