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【ネタバレあり】ワンダーエッグ・プライオリティ 第6話 感想

1 はじめに

 ネタバレありです。視聴予定の方は、先にアニメを観ることをお勧めします。この第6話は特に!

 また、この記事は、あくまで個人の「感想」であって、「正解」ではありません。こんな考え方や感じ方もあるのか、くらいに受け取って頂けると幸いです。

 皆さんのTwitterの感想において、これまでは、エッグに関する情報、登場人物の過去など、客観的な事実についての疑問が多いように感じました。ところが、第6話では、アイの心情に関する疑問が多い印象を受けました。そこで、今回の感想は、その点についての私なりの考えを中心にまとめました。



2 アンチ

 これまで、アイたちに意図して危害を加えなかったミテミヌフリですが、突然、「アンチ」へと変貌しました。

 嫉妬羨望により生まれたアンチは、顔を晒す勇気はないが、徒党を組むと強い(下手するとボス並み)とのこと。


 まず、アンチから批判を受ける側において、アカに言わせると、「どの時代、どの世界でも、出る杭は打たれる」そうです。

 この点、「打たれないためにはどうすればいいか」という問いに対して、元プロ野球選手のイチローさんは、「もっとでちゃえばいい」「突き抜けちゃえばいい」「突き抜ければ、もう手に負えなくなる」と仰っていました。半端ない説得力!


 つぎに、アンチとして批判をする側において、表現の自由(日本国憲法21条1項)は侵すことのできない基本的人権ですが、無制限に保障されているわけではありません(同法13条後段)。
 ネット上の表現であっても、リアルと同様です(最決 平成22年3月15日 刑集 第64巻2号1頁)。なお、人格攻撃は、そもそも批判ですらありません。

 アンチではなく、「ファン」として、互いに建設的な議論ができるといいですね。


 ちなみに、私は、顔を晒す勇気はないですが、ネット上での意見や立場を統一し、自分の発言には責任を持ちたいので、異なるSNSであっても、本名以外は全て「鈴木アルト」というアカウント名にしています(同名のアカウントを使っている方もいますが)。

 そのため、通販サイトのアカウントも「鈴木アルト」にしていたのですが、ある日、コンビニ受取をした際、店員から「鈴木アルト様ですか?」と聞かれてしまいました。羞恥心を押し殺し、「...はい」とだけ答え、荷物を受け取り、そそくさとその店を後にしました。その日を境に、そのコンビニには行っていません。めっちゃ恥ずかしかった...いつもは名前読み上げないのに!もちろん、その通販サイトのアカウント名をそっこーで本名に変更しました。



3 ワンダーエッグ・プライオリティ

 アンチの出現により、アカたちは、一時撤退します。これにより新たな事実が判明しました。

 なお、第5話までのエッグに関する情報を確認したい方は、こちらをご覧ください。

 今回の新たな情報として、
一定時間(おそらくチャイムが鳴るまで)、逃げ切れば、撤退できる
撤退すると、女の子はエッグに戻り、その子が受けた傷もすぐに治る
・ただし、撤退しても、ミッションクリアとはならない

 エッグの子を守るのが最優先、最大の目的は「ワンダーエッグ・プライオリティ」!!
 意外なタイミングでしたが、タイトル回収はテンション上がりました!



4 お助けアイテム

 アンチの出現を契機に、アカと裏アカから、アイたち4人へ、お助けアイテムが配られました。これでアカたちの真の目的が少し絞れましたね。

 リカと桃恵は、「くっそ可愛い!!」とテンション爆上げでした。2人は乙女ですからね。対照的に、ねいるは、「で、どうやって使うの?」と冷静。 アイに至っては、沢木先生のことが気になって、それどころじゃない様子。でも、このデザイン、本当に可愛いので、実際に見てみたいですね ♪

 リカが「ねいる、私のと変えてみるか?」と言うと、ねいるが「嫌」と即答し、「ふん!一番ブスなお助け行きやがれ」と言うシーン、個人的に大好きです!きっと、アイから提案されたら、ねいるは快諾したんでしょうねw

 桃恵は、通算7度目となる女の子からの告白を断りました。沢木家モテすぎ。ラブレターには「桃恵先輩」と書いてあったので、後輩からですね。
 社長室のデスクに座るねいるは、なんだかシュールでしたw
 それと、アイのベッドは、二段ベッドではなく、ロフトベッドでしたね。


 孵化すると、各ポマンダーから、ねいるは蛇、リカは亀、桃恵はワニ、アイはカメレオンが生まれました。
 カメレオンは両目が別々に動くので、オッドアイであるアイがレオンの親になったのでしょうか?鳥類や両生類も卵を産むのに、なぜ爬虫類に限定したんでしょうね?関係ないけど、レオンのまつ毛すごい!

 レオンたちは、夢のセカイだと体が大きくなり、アンチが大好物だそうです。「アンチが大好物」っていい性格してますねw
 「ベニ」と唱えると出現し、「メリ」と唱えるとポマンダーに戻ります。この呪文は、ラテン語らしいですが、どういう意味かまでは分かりませんでした。



5 見えないけれど、見えるもの-信用と不信-

 今回のエッグの女の子は、黒髪ツインテで、右目に眼帯を付け、クマのぬいぐるみを持ち、右手に数珠を身につける「吉田ヤエ」。

 アイが自殺した理由を聞くと、ヤエは、「見えるの...死んだ人とか強い怨念が」と告白します。生前、友達・親・先生、誰も信じてくれず、病院に入れられたそうです。そして、その病院でたくさんの人の怨念を目の当たりにしたことで、自ら命を絶ちます。

 きっと、ヤエには、本当に怨念が見えていたのでしょう。自分の発言を誰からも信じてもらえないことで、次第に発言だけでなく、自分自身が信用されていないと感じるようになったのかもしれません。また、たくさんの怨念と一人きりで対峙する孤独感を考えると、憐憫の情を覚えます。

 今回のワンダーキラーである「怪物少女」は、信じてもらえない!というヤエの心の叫びから生まれました。だから、倒し方はたった一つ。ヤエの言葉、ひいてはヤエのことを信じることです。アイがヤエのことを信じ、ヤエがアイのことを信じた瞬間、「怪物少女」は静かに消えていきました。

 戦うことだけがワンダーキラーを倒すことではなく、むしろ、自殺した女の子の話を聴くことこそ大切であると感じました。戦闘シーンは派手で見栄えがしますが、アイがヤエに寄り添う姿はとても素敵でした。



6 「パンチドランク・デー」

 それでは、ここから、皆さんお待ちかね(?)アイの心情に関する話です。ワンエグのストーリー上においても、重要になる転換です。ここで書くのは、大戸家の話です。


 第6話のサブタイトルは、「パンチドランク・デー」です。「パンチドランク」とは、ボクシングで頭部に打撃を受けることにより、平衡感覚や視覚に支障をきたし、直進歩行が困難になるスポーツ傷害をいいます。

 今回、パンチドランク状態になったのは、大戸アイ。受けたパンチは、「ママたち、お付き合いしようと思うんだけど」です。

 こちらまでクラクラしましたw 「多恵と沢木先生は、単なる保護者と教師の間柄ではない」と分かってはいました。それは、おそらくアイも同様です。ですが、実際に言葉にされると衝撃的でした。

 この話を聞いた瞬間、アイが思わず肉を溶き卵の中に落とすシーン、灯りのともらない隣の部屋ごしにアイだけが映し出されるシーン、微笑む沢木先生を見て声にならずに息を込むシーン、先ほどの肉と卵が溶けていくシーンどれも素晴らしかったです!それにしても、すき焼き美味しそうだったなぁ


 もちろん、多恵はすでに離婚し、沢木先生も独身のようなので、付き合うのは当人たちの自由です。ただ、アイのことを考えると、もう少し徐々に匂わせる方法を取ってあげて欲しかったです。結果論ですが、オムライスとすき焼きというアイの好物だけでは、不十分でしたね。

 なお、その後の朝食(あるいは昼食)がオムライスだったのは、やや安直な方法ですが、多恵の涙ぐましい努力を感じました。書置きに「メロン」とありましたが、きっとこれもアイの好物なんでしょうね。



7 にゃらめるこーんず

 アイの心情に関して、ねいるたちとの話です。

 第5話で取った「まっちょ」プリクラが、アイのスマホケースに貼ってありました。いいですね ♪
 アイたち4人のSNS(Line)のグループ名は、「にゃらめるこーんず」でした。第5話において、アカたちの庭で、今が最高に楽しいと話していたときに、「キャラメルコーン」のようなお菓子がありました。おそらく、この時、リカが命名したのでしょう。リカがねいると連絡が取れるようになって良かった!でも、きっと、ねいるは、アイには渡した名刺を、リカには渡していないんだろうなw


 さて、上記のパンチドランク状態になったアイは、エッグを買うため集まった ねいるたちより遅れて登場します。気持ちが混乱しすぎて、スキップしながら現れたかと思うと、カラーコーンを蹴り、それを振り回して、立て看板をぶっ飛ばします。その結果、ガラスを破壊してしまい、盛大に落ち込みます。かなりパニック状態ですね。

 このとき、桃恵が「こういう悪夢を見たことがある。酷い結末だったよ」と言っていました。この作品において「夢」とは、エッグのセカイを意味する大事な要素です。だから、このセリフは、凄く印象に残りました。


 それから、アイはねいるたちに荒れていた理由を説明しますが、桃恵だけは、おじ(伯父・叔父)である沢木先生が女性と付き合うこと、しかもその相手がアイの母親であること、うまくいけばアイと桃恵自身が親戚になること、に大喜びでした。喜び方が可愛かった。他方、リカは、落ち込むアイを気遣います。

 喜ぶ桃恵からすれば水を差す発言となりますが、仮に、多恵と沢木先生が結婚ともなれば、連れ子であるアイが沢木先生から性的虐待を受けるのでは?とリカは心配します。おじ(伯父・叔父)を信頼している桃恵と、大人を信じていないリカの対立は、今回もずっと平行線です。

 桃恵とリカの対立をよそに、当のアイは、まったくその心配をしていません。多恵が父親以外の男性と付き合うことも容認しています。ただ、「沢木先生と小糸が付き合っていて、小糸が自殺したことに沢木先生が関係している」という疑惑がある以上、アイとしては、沢木先生が他の女性と付き合うことに納得できないと主張します。


 ところが、この話に一石を投じる人物が表れます。ねいるです。アイが沢木先生のお付き合いに反対する理由は、単に「アイも先生が好き」だからではないか?と発言します。

 惚れた腫れたの話まで、「オッカムの剃刀」を持ち出す ねいるは、いかにも論理的な思考をする ねいるらしいですね。ちなみに、オッカムの剃刀とは、ある事柄を説明するために、必要以上に多くの仮定を用いるべきではないという思考指針をいいます。
 ここでは、「沢木先生が小糸と付き合っていたこと」「小糸の自殺に沢木先生が関わっていたこと」、どちらも仮定に過ぎないので、ねいるは、小糸に関するこの仮定をカットします。

 「アイも先生が好き」という話を聞いたリカの顔は、凄かったですねw
 沢木先生と多恵が付き合うかもという話のとき、リカは、桃恵に「なーに はしゃいでんの?」と言っていたのに、このときは「エモい♪それは複雑にエモイ♪」と大はしゃぎでした。これを観た視聴者は、「はしゃいでいるじゃん!」とツッコミを入れていたことでしょう。

 アイは、赤面しながら、「何言ってるのねいる!!違う!そんなこと!」「違うから!それこそありえないから!!」と全力で否定します。必死過ぎて、「え!?マジで好きなの!?」ってなりましたw



8 見えないけれど、見えるもの-初恋-

 では、いよいよアイの心情に関する本丸です。

 ここで、「怪物少女」との戦闘シーンに戻ります。ヤエは、「怪物少女」に襲われそうになった時、「私だって、好きで見えるんじゃない」と言います。このとき、アイの表情は一瞬だけ変化します。なぜなら、ヤエの放った「好き」というセリフに反応したからです。

 この戦闘の中で、アイは、「怪物少女」にボコボコにされます。倒れるアイの下に、ヤエが投げた数珠が届きます。この数珠が、アイに、これまで見えなかったものを2つ見せてくれました。1つが当然、「怪物少女」です。もう1つがアイ自身の本心です。

 この生死をかけた戦いの中でも、アイの脳裏をよぎっていたのは、沢木先生のことでした。小糸との関係、多恵と付き合おうとしていること、沢木先生がコンプレックスのオッドアイを「魅力的な瞳」だと言ってくれたこと、ねいるにアイ自身も気づかなかった気持ちを言い当てられたこと、全て沢木先生のことです。

 「アイも先生が好き」「単純な理論が最良である」。ねいるの言ったとおりです。

 これまでの14年間で出会うことがなかった特別な感情に戸惑うアイ。泣きながら「違うから」と連呼します。このときの「違うって言ってるのに!!」というセリフで思わず泣いてしまいました。アイを演じる相川奏多さんの演技がとても素敵でした。


 無事、ヤエを助けた後、アイは、カメレオンに「レオン」と名付けます。これは、カメ「レオン」が由来でしょうね。ちなみに、映画の『レオン』には、12歳の少女が成人男性に恋をする要素があります。


 その後、アイが入浴中に多恵が仕事から帰宅します。このとき、多恵はアイに「ポケットに入っていた物、ここ置いておくからね」と言います。ポケットに入っていた物とは、ヤエの数珠です。

 上記の通り、この数珠が「アイも先生が好き」というアイの本心を見せてくれました。その数珠を、これから沢木先生と付き合おうとしている多恵に触れられる気まずさ。その瞬間、夢のセカイで見たあの感情が、現実のものであったと実感します。

 数珠とは、煩悩を祓う仏具です。ここでいう煩悩とは、余計なものです。上記の「オッカムの剃刀」においては、仮定がこれに当たります。余計なものを全てそぎ落とし、残されたものが「アイも先生が好き」という感情です。

 お風呂で濡れた髪や体を拭くこと、雨が降る中で傘を差すこと、どちらも、アイの本心と比べれば他愛ないもの、余計なものです。


 自分の本心に気づいてしまったアイは、居ても立っても居られず、今すぐ先生に会いたい!その一心で走り出します。それ以外は、何も考えていなかったはずです。引きこもっていることも、小糸のことも、全てです。頭にあるのは、沢木先生のことだけです。

 夢中で沢木先生がいる学校に着き、頬を赤らめながら、息を切らすアイ。赤面していたのは、走って来たからかでしょうか。それとも、自分の気持ちに気づいた後、初めて沢木先生に会うからなのでしょうか。

 沢木先生を見つけ、全力で駆けて行き、先生の腕にしがみ付きます。アイ自身も、信じられないほど大胆な行動を取り、自分の気持ちと行動に驚きます。やっとの思いで先生の顔を見上げることができたアイは、「私!!」「私...」「学校行きます!!」と宣言します。これまでずっと左目を隠してきた前髪をかき上げて、先生に褒められた瞳を輝かせながら。

 このシーンのアイの可愛さは、忘れられません。それこそ、夢でも見そうです。


 第6話を視聴後、お風呂のシーンからこのラストまで、どういうことか分からなかったという人を見受けられましたが、もう一度、ねいるのセリフを残しておきます。「アイも先生が好き」「単純な理論が最良である」。



9 おわりに

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 皆さんは、アイのように、大好きな人に会いたくて、思わず走り出してしまったことはありますか?初恋は気恥ずかしいものですから、特に走り出してしまうかもですね。

 ちなみに、私は、コンビニ店員に「鈴木アルト様ですか?」と聞かれて、気恥ずかしさから思わず走り出したくなりました。リカが聞いたら「キモい♪それは単純にキモイ♪」と言いそうですw

 では、また次回お会いしましょう。

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