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「子どもたちに伝える」ということ K⑤

 1月1日(月)16時6分。石川県能登地方に震度5強の地震がきた。その後も、震度7や震度6などの大きな地震が来た。そこで思い出されるのは、2011年3月11に起こった東日本大震災。当時は、津波に対する認識や報道のごたつきなどさまざまな課題があったように思う。しかし、今回は津波の認識の高さから迅速に避難を行い、早い段階での報道があった。その甲斐あってか死亡者は少ない。ただ、5日経った今でも余震が続いている。
 また、2日には、支援物資を運ぼうとした海上保安局の飛行機と旅客機が衝突するという悲しい事故も起こった。
新学期に子どもたちに会うと何か話をしている。冬休み明けはだいたいM-1グランプリの話をしている。しかし、今年はこの地震の話を避けられないだろうと思う。この出来事に対して、自分は一体何が伝えられるのだろうか。

 今の勤務校では、地震が起こった際にどのような状況でも避難行動が取れるように、月に一回「シェイクアウト訓練」を行っている。勤務校の子どもたちはいたって真面目なため、避難訓練も真面目に行っているのでシェイクアウト訓練でもある程度の避難行動はできている。しかし、それは教室内での話で、教室から1歩でも外に出ると避難行動に困ってしまう。先述の「どのような状況でも」という目標には、まだ達してはいないが、少しずつだが行動することができつつある。
 それも踏まえて、まずは「大丈夫だった?」という声掛けからはじめ、「みんなは行動できた?」と聞いてみる。指導ではなく、雑談。いろいろ伝えたいことはある。地震の怖さ。正確な情報の精査。支援の仕方。生活の大変さ。挙げ出したらキリはない。しかし、それは後でも話せる。雑談は今しかできない。今しかできないことをしたい。

 このような内容は慎重に話さなければいけない。もしかすると、子どもたちの親戚に被災した方がいるかもしれない。間違っても「どう思ったか?」とは聞けない。もちろん、聞いては見たいけど。私たちにできることはこのような震災が起こったときに、子どもたちが正しいことを判断するための材料を渡すこと。一人でも自分や身近な人の命が守れるように。

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