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#170 面白半分日記36 グッドプラクティスの落とし穴

教育グッドプラクティスとか、働き方改革グッドプラクティスなどと横文字で表現されるとカッコよくて、なんとなくイケてるネーミングに感じてしまうんだけど、やろうとしていることの本質が見えなくなる言葉だなと思っているのは・・・・・・
そう、ボクだけです。

ナチュラルボーンの日本人ですから。
そこは日本語じゃないのか!

教育新聞の記事を読んで感じたことがあった。

文科省の研究発表会や教育書でさまざまなグッドプラクティス(優れた取組、好事例)が紹介されている。

しかし、それを真似ても同じ成果が得られるとは限らない。

それはどうしてなんだ!?・・・・という、そんな内容の記事だ。

もちろん、効果が明確に現れている成功事例だってある。
それは称賛に値するので拍手しよう。

その半面、学校全体が不安定になり、学力低下や不登校の増加につながってしまった事例も多いという。

それは悲惨なのでお悔やみ申し上げよう。

現場はなかなか失敗事例を成仏させられずいる・・・・・・

確かに、40年以上も教師をやってきたので、身近でイヤというほど失敗経験を積んできた。

「イヤよ、イヤイヤ!」「ダメよ、ダメダメ!」
ごねても、トップダウンで降りてきた話は「俺の責任じゃないからまあいいか」と、トップの片棒を担ぐこともあった。

成功したら私の手柄だと自慢する。

失敗して、文科省や教育委員会の証人喚問で弁明したという経験はない。
それが私の誇りでもある。

万が一、そういう場面に引きずり出されても
「記憶にございません」
「知りません」
「わかりません」

という台詞さえハッキリ言えれば、事態の幕引きをはかることができるのだと、つい最近も学習した。


失敗したときというのは、
何かが足りないのだろう。
何かが間違っているのだろう。

これまでのことを振り返ると、私の足りない頭で考えても間違った分析になるに決まっているから、協働によって課題解決にあたってきた。

組織の強みは知恵を寄せ合い協働できる場だということだ。

成功事例をそっくりそのまま真似るというのは、苦労せずに都合よく「勝ち馬」に乗るようなもので、手綱さばきを間違えると暴走したり落馬しかねない。

名馬を育て乗りこなすには、名調教師と名騎手が必要だ。

組織改革やプロジェクト推進はそう簡単に上手くいくものではない。

一度は失敗して、そこからどう立て直すか、どう這い上がるかが重要だろう。

学校に限らず、企業でも、家庭や個人の日常でも同じことがいえる。

スタートアップの時点で自己の立ち位置を正確に見極めたうえで計画し、自分の身の丈に合った形で取り組んでいくことが大切なのではないだろうか。

成功にはオリジナリティが隠されている。
成功者本人が気付いていること、意識していることもあれば、気付いていないこと、無意識にやっているよい習慣などがある。

何かをやるとき、投入される資源(ヒト、カネ、モノ、コト)の量と質は組織・個人によって異なる。

教育関連の雑誌や書籍に紹介されるグッドプラクティスは、国からの予算や人事加配のヒモ付きで実行されているもの(研究指定校)もあるので、つい「ああ、カネもヒトも十分あっていいよね~、そりゃ上手くいくよなぁ」と言いたくもなるが、本気のリーダーは、カネ無し、ヒト無しでもでもやり遂げるものだ。

できるだけ情報を集めて緻密に分析し自他の違いを切り分けることも必要だ。

失敗事例から、その原因失敗を避ける方法を考えなければならない。

教育改革を果たした学校や自治体は、失敗したことに関する話は省略し、時には不都合な真実を隠して情報発信していることもある。

「大きな夢物語」ばかりに気を取られて、小さな危険や不安要素を見過ごして痛い目に遭っている例は数知れずある。

そして、グッドプクティスであってもやがて劣化する運命にある。

私も劣化によって、うるさいくらいになびいていた黒髪を失った。
歳を重ねて失うものは多い。

代わりに手に入れたものがある。
そう、シワやシミが増えたのだ!

何事も劣化すると上手く回らなくなる。

新陳代謝の激しい組織だと、人が入れ替わることによって大切な理念が理解されないまま運用されていき、おかしな方向に行ってしまうことがある。

利潤追求型ではない公共の組織であったとしても、今は科学的に分析・思考しながら意思決定することが求められる時代だ。

どこぞの首長やリーダーみたいに、ひたすらトップダウンで強行突破しようとしたり、逆らう者や弱者に対してパワハラで潰しにかかっても、SNSで拡散される昨今である。

それがよいかどうかは別として、それを読んだネット民は一斉攻撃を始める。
何とも怖い時代だ。

『学びのグッドプラクティス ~ マーケティングとマネジメントの考え方の相違と落とし穴』

そんな内容を授業教材に落とし込むことにした。

私の落としどころは学生に対して「落とし穴」を仕掛けること。

イラストはいつものイラストAC