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カレーの神秘? 海外アーティストにも人気「インド」理解の手引き 涅槃(ねはん)思想とは

毎日続いたって飽きない。作り置きもへっちゃら。カレールウをとりあえず入れればいいのさっ!日本家庭料理においても、もはや料理上手とは言わせて貰えない程ポピュラーなDISHとしての地位を不動のものにしているカレー。

インドでは具材を意味する「Kari」が語源だそうで。その語源を元に、イギリス人が「Curry」と名付けたという。

日本では明治時代にイギリスから伝来し、栄養補助食品「カレーライス」としてまず軍隊で提供された。白米とのセットの食べ方が普及した。

その一方、本場インドでは、様々な種類の香辛料を入れて煮込んだ煮物料理(シチュー)というカテゴライズに該当する。(日本で例えるなら「味噌汁」的な位置付け?であるようだ。カレーはインドでは毎日食べる家庭料理なのである。)

という一般論前振りの後に・・。

今回の日刊かきあつめチームのテーマ!ズバリ!

カレー!!!

カレーには、必ずと言っていいほど、ガラムマサラターメリックペッパーなどの香辛料が入っている。

香辛料を求めてインドを目指すヨーロッパ

17世紀の大航海時代。香辛料は防腐剤や薬としての役割を果たしていた。ヨーロッパでは、いかにたくさんの香辛料を使用できるか?というのが、富を表すステイタスシンボルだったのだとか。

イギリスフランスオランダなどは軍隊を率いてインドを目指した。インド貿易の権利を手に入れるべく戦争が勃発。(最終的にはイギリスが勝利し東インド会社としてインド貿易の主権利を手に入れた。まさに世に言う植民地となる・・。)

インド地帯は13億人規模の大人口を誇る。カースト制度という厳しい身分制度や戒律の上に成り立っていて貧富の差が甚だしかった。教育の普及すらままならない時代が長く続いたが、近年はIT先進国として飛躍的発展を続けている。(人口の多さと歴史の長さから、中国に次ぐ経済成長大国に成り得るネクストカマー的存在だ。)

ボリウッド映画(インド版ハリウッド映画)の代表ミュージカル。出演者さん皆ノリノリで踊ってまーす〜! 衣装チェンジも頻繁で華やか〜!の「ムトゥ 踊るマハラジャ」

   インドへの旅 冒険にチャレンジする若者たち

世界航路が発達してから先進国の若者たちの中には、度胸試しや自分探しのため、インドへ赴く一派が現れた。

数々の旅行記や登山記、小説、ドキュメンタリーが残されている。

世界の屋根と呼ばれるヒマラヤ山脈をお膝元とした恵まれた大自然・・または人類文明発祥の地であるガンジス河をベースにした長大な歴史・・。インドを目指した旅人は、どのようなアイデンティティを見つけようとしたのだろうか?

→ここから若干残酷な描写が続きます。ユーザーの皆様が不快に思う不適切な箇所がございましたら大変申し訳ございません。(時代背景も多少関係しているかとは存じます。)どうぞご容赦下さいませ。念のため事前に注意喚起の表示文を挿入させて頂きます。


しかしその一方。卒倒したくなるくらい残酷でギョッとする光景もよく見かけられた・・。 母なる大河ガンジス河では最近まで死んだ生き物が平然と流されていたし・・疫病が蔓延する恐怖すら・・。(美しくそびえるタージマハール宮殿の裏側ではそんな恐ろしい一面も展開されていたのである。)

インドをテーマに作品を残している作家さんは日本にも多数いらっしゃるが、私は藤原新也さんを取り上げてみたいと思う。(沢木耕太郎さんなども有名ですね。)

日本人写真家がインドを旅した理由とは?

物質的に恵まれている筈の先進国、日本を脱出して藤原さんがインドを旅した理由とは何だったのだろう?

「ただひたすら負けたかったから」

芸大の油絵科を中退した藤原さんは、インドやアジアを放浪して、文章とともに沢山の写真を撮影して発表した。所謂日本のエリート層である。

→青春のバイブルってキャッチフレーズが付けられていますね。


インドの0(ゼロ)発想と向き合う

藤原さんの写真は、まるで写実絵画を見ているかのような華やかさを醸し出す一方で。貧富の差や死体が平然と流れてくるガンジス河をもきちんと捉えようと真摯に向きあう。(ひたすら負けたかった・・という気持ちはこのあたりに現れているのだろう。)

人が水浴びをし、顔を洗う。洗濯をする。その一方で。動物(ときには人間も)の死体が流れてくる・・。生と死が同時に営われるこの大河は、なんと残酷で圧倒的な描写なのだろうか?遺体が朽ちて果てていく姿・・やがて烏が飛んで来て公然と晒される・・聞いただけでもうブルブル震えて眠れなくなるような話である・・。(※衛生面の問題からも現在のインドでは上記のような行為は禁止されているようです。)

チャレンジ精神の歴史

若者がある意味命懸けで放浪の旅を続ける。無事、戻ってきてその知恵を伝来する。人間が脈々と続けてきた人類の歴史なのかもしれない。

現在はインターネットが普及してどこでも簡単に情報が入手できるようになった。旅をする理由が見つからないかもしれない。以前よりも海外旅行はあまり人気がなくなったと聞く・・。しかし本当は現実に体験していないと身に付かない知恵や知識・・たくさんあるのだと思う。

藤原さんは旅をした前と後・・おそらく全然違っていただろう。外見も話す内容も・・心身ともに成長し目標を成し遂げた自信が満ちていたに違いない。

ときにはシニカルでもあり日本人の知性を大切にした率直な体験談は瑞々しく感じる。(また芸術問題という問いに関しても思考を展開していた方なのだろうと推察されるのである。)若さ故の課題?を突き付けているかのように青春のバイブルのキャッチフレーズに相応しかった。強く印象に残る。

仏教はインドで生まれた! シッダールタと 涅槃(ねはん)悟りの境地

インドの神様は多数存在する。(まとめてヒンドゥー教と呼ぶ。)その中に派生する仏教中国へ伝わってから日本に伝来した。

日本人にも馴染深い釈迦(シッダールタ ※おシャカ様のこと!)をテーマに、ノーベル文学賞を受賞したドイツ生まれのスイス人作家ヘルマン・ヘッセが小説を残している。

シッダールタ悟り(涅槃)の境地を得る過程を描いた小説である。インド本国でも好評を博し世界各国で翻訳されベストセラーとなった。ヨーロッパ哲学にも通じていて涅槃思想西洋人にも分かり易かったのだと思う。インド仏教が世界に普及したいち例となった。未だによく引き合いに出される文学作品である。

王族出身の恵まれた王子シッダールタは、悟りを目指して修行の旅に出る。(イスラム教のマホメッドやキリスト教のキリストとよく比較されるだろうか? ※世界史を理解する上でも身につけておくと良い知識かもしれない。)

仏教思想で特徴的な教えに「輪廻転生(りんねてんしょう)」というものがある。人間は死ぬと別の生き物に生まれ変わると教えられる。(※この思想は西洋にない発想だそうだ。)

例えば。足元にいる虫が前世では自分のママだったかもっ?と心配すらしてしまうのだとか?それが故に生き物に対するむやみな殺生を忌み嫌う。暴力を忌み嫌う。(そういえばガンジーのインド独立運動もNO暴力で成り立っていた。)

人間は元々0(ゼロ)の存在。それ以上でもそれ以下でもない。執着心という感情は迷いや雑念とされる。(大変厳しい教えだが、愛する人や財産にも執着心を持たない。)ひたすら自らをフラットに据える思想なのだ。そしてひたすらストイック。洞察力が磨かれるのだろうか?


自分をフラットに・・0(ゼロ)発想へ解き放つ ヨガ瞑想の起源 

人間にはどうしても迷いやらストレスやら執着心やら・・雑念がつきまとう。

世界的に成功したセレブリティが神経症を克服するため、インド思想に傾倒する傾向は70年代くらいからよく見られていた。ビートルズ(THE BEATLES)などの有名ミュージシャンやアーティストが顕著な例だろうか?

その後にはニルヴァーナ(NIRVANA)という「涅槃」そのままズバリ!の名前を名乗ったロックバンドも90年代には世界的に流行したものだ・・。

人間気持ちが楽じゃないなあーと思うときは・・もしかして雑念に負けているのだろうか?

インドで誕生し世界のフィットネスクラブで最早欠かせなくなったヨガ瞑想は、自分をフラットに捉える努力をするよう悟される。冷静さを取り戻し気持ちが落ち着いていく。だからこそ!ビジネスの決断も上手くいく!のですってさ・・。


チベットが発展させた仏教を紹介 映画「セブンイヤーズインチベット」

インド仏教思想というと個人的についつい思い出してしまうのがハリウッド映画の「セブンイヤーズチベット

オーストリア人登山家がヒマラヤ山脈登山を目指した際、インドチベットに滞在した時のダライ・ラマとの実話エピソード

富を築くことや有名スターになることを目指すことが多い西洋人。仏教思想をベースに生きるチベットの人たちからは失笑されてしまう。「目立つ事は美徳ではないのです・・」「ゔゔ。浅はかですみません・・参りました・・」とかいうような会話が繰り広げられるのだとかなんとか。うーむむ。ナルホド〜!と唸る唸る・・。

お互いの文化を理解しようと努力し合うドラマがとても微笑ましい。

注:会話は多少デフォルメしています。実際はもうちょっと違う意味も含んでいましたね・・。


→ハリウッドスターブラッド・ピット主演の力作。ヒマラヤ山脈シーンなど迫力がある!

ジブンゴト化 ニホンゴト化 民族・国家という枠を超えて

2019年5月1日から「令和」が施行された。日本は中国文化の影響を受け、中国語の漢語からカナ文字を発展させてきた。今回の元号はカナ文字発展の基礎「万葉集」から名付けられたそうで。日本仮名文字のルーツを改めて思い出す。

世界の国々は周囲の国の影響を受けて切磋琢磨。お互いの文化から学んで発展してきたのだなあと。振り返る。

平和維持は国家間の話し合い相互理解ディベートの元に成り立っているわけである。お互いに寛容なおかつお互いの知恵のストックから学び合う姿勢や助け合いの精神が健康的に育まれていくといいのかなあ・・なんて真剣に考えてみたりもする。

戦後のバブル経済成長。テレビ発展社会、インターネット誕生を経て一巡の時代・・次の新しい潮流とは?価値観とは?何だろう? 世界を見据えてみる・・一応、鈴きのも思いを馳せてみる・・。

Ummm うーんん!海外旅行に行きたいなあー!!買い物したーい!観光行きたーいっ!

→ん?藤原さんの話の後で軽くない??

Ahaa あーあれ!カレー食べよっ!美味しいお土産レトルトをストックしているのさっ!

→カレーって?そこおお?もうちょっと壮大なテーマの真面目なお話だったのにいい!しかもキミは料理しないんかいっ?

さてさて・・アホアホな鈴きののひとり言はさておき・・そろそろ締めでございます・・。(完読有難うございます。お疲れ様でした!!)

これから新しい時代を迎えるにあたり、皆さんは何に思いを託すのでしょうか?

貴方に❤︎ 素敵な時代の幕開けとなりますように。

出典:

・「印度放浪」藤原新也 朝日文庫

・「シッダールタ」ヘルマン・ヘッセ 新潮文庫

・「寛容論」ヴォルテール 中央公論

・「コモン・ウェルス」ネグリ / ハート  NHK出版

・「インドの歴史」 近藤治   講談社

・「ムトウ 踊るマハラジャ」 1995年インド 監督:ラヴイクマール  出演:ラジ二カーントミーナ 製作:カヴイサラヤープロダクション

・「セブンイヤーズインチベット」 1997年米国 監督:ジャン・J・アノー   出演:ブラッド・ピット 製作:ヘラルド      

And so on・・

Text by:  SuzukinoAyako 鈴きの彩子

編集:円(えん)→

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