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地震 図書館と住

元旦の地震には驚きました。被災者の皆様には心よりお見舞い申し上げます。
新年のお客様のご挨拶の中で、中には石川に出先があるところもあり、金沢でも社員の住宅が壊れたとか言われたところもあり、能登半島だけでなく広い地域で大変だったことを知りました。

ちょうど年明けに図書館に行ったらこの本が目に入って借りました。

図書館そのものも、さすが金沢と思う出来で、多分この本は設計と施工が思いや記録として作られたようですので、デザインに力点が置かれていました。どちらかと言うとハコモノ、ハードで、図書館という空間というユースウェアは書かれていましたが、肝心なソフトウェアである本の記術がほとんどなかったのは物足りませんでした(開架書籍は30万冊というボリュームは何回も出てきますが)。

さて、開架30万冊、所蔵は110万冊だそうですから、今回の地震では、バックヤード含めて、素人考えで本が散乱したのではと思いましたが、図書館のサイトを見てもほとんどアップされていないのは誠に残念です。
実際大変だったのではと思いつつ読みましたが、この本はデザイン中心のためか、地震等について書いている箇所はわずかで、構造設計事務所の社長さんの

「先ほどお話ししたグリッドや段差についてですが、高さが限られている中で計画的に必要な空間を詰めるという意味で工夫が必要でした。施工中の写真を見るとよくわかるのですが、段差上に鉄骨の梁が放射状に配置されるという、特殊なかたちになりました。全体的にかなり複雑な架構なのですが、図書館としての機能性維持のために、免震を採用していることの効果が大きいですね。複雑な構造をそれほど無理なく成立させていると思います。
図書館で免震構造を採用している事例はあまりないと思うのですが、前に手がけた埼玉の図書館では東日本大震災の際、建物自体には全く損傷がなかったけれど、本が棚から落ちて、整理が大変だったという話を聞いたことがあります。図書館の免震というのは、安全性はもちろんなのですが、継続的に施設を使うことができるという意味でメリットが大きいと思うんです。
ただ、関覧室は無柱の空間なので、免麗化に際しては結構難しいことがありました。免震といえども、主体構造はある程度の剛性を持たなければならないので、ここでは1階の柱をダブルにして、途中に梁を繋いだり、中にコンクリートを詰めたり、考えられることは全て組み込みました。下のグリッドが異なって段差があるということを、どのように解決するのか、しかもそれを免震構造として全体をいかに成立させるかが、下部の構造のテーマでした。」

だけでした。文中の埼玉の図書館が大変だったとありますので、その経験が運営においても生かされたのかどうか知りたいところです。

さて、設計の仙田さんはマツダスタジアムの設計もされていたんですね。こういう箇所があり、知りました。

「広島球場でもここの1/15勾配に近い200mのスロープを提案したんですよ。広島駅の方から球場へ向かうアプローチが、スロープを設置するのにちょうどいい寸法だったんですね。実際に障がい者の方々の観戦が増えたということで、スロープの効果を実感したものです。」

へー、でした。

しかし地震発生からひと月超えましたが、どう考えても後手後手のお粗末な感じを受けます。もちろん現地で支援に携われている人は一所懸命に取り組んでおられると思いますが、与党がよく豪語する「結果責任」から見るとあまりにお粗末でしょう。
報道などを見ても1か月たっても衣食住の内、特に「住」についてどうなっているんだと思います。前述のように石川県は素晴らしい図書館を建てられましたが、県民に対しての「住」の提供はあまりに遅い。

こういうのを見ると地方は国からみて相当に優先順位が低い、あるいは切り離されているのだなと改めて思うのです。
何回も書きますがJRの廃線対象路線はすべて地方。あれが東名阪にあれば不採算であっても廃線の声は出ないでしょう。仮に首都圏で今回の能登地震のような大変な災害が発生したら、1か月も避難所生活のままで仮設であったとしても「住」の提供が出来ないなんてしないでしょう。
房総半島や三浦半島で起きたとしたら、能登半島と同じ時間感覚とは思えません。

こういう振る舞いでわかるのは、国民に対する支援は首都圏と地方では明確に違う、言葉では地方創生というようなきれいな言葉を使うのに、実際の行動面になると差別があるということです。

私も広島という地方に住んでいますので、JRの廃線検討路線がありますから、採算だけで地方が切り捨てられることは実感しています。
仮に同様な大地震、災害が広島で発生し、能登のように大規模に「住」を失ったら広島県民がどういう扱いを受けるのかというのは、今回の能登大地震での国の姿勢でよくわかりました。
広島でも1か月たっても仮設住宅の提供を受けられるのは数件ということでしょう。もちろん金沢が中心の被害であればもっと速やかだったかもしれません、それは石川県でも重みづけの差、能登半島という周辺部への差別もあるように思います。

先日の通常国会の開催日に、れいわ新選組の山本代表が言われていたことが実感としてわかります。1か月たつのにこの体たらく、やってる感、自己弁護の言葉を使う広島県選出の首相はやはり地方の人ではないのだなと改めて感じます。

こちらもうなずかされます。

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