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思い出「いけない水遊び」

【まちぼうけ】

三郷団地に住んでいた5歳の時。

俺は、幼稚園の年長だった。

俺が通っていたのは、天使幼稚園。

ここの幼稚園は、終わると校庭に園児が出て、迎えを待つ仕組みだった。

待っている時、手を2回叩き腕を前に1回出す事を続けないとならなかった。

親が迎えに来るまで、この動作を繰り返して待たなければならない。

これは園児を拷問にかけ、親に早く迎えに来いと煽っていたのだろうか?

そして、俺はいつもの様に、校庭で母親が迎えに来るのを待っていた。

いつも母親が来た時には、手が疲れて腕が痛かった。

母親は、時間にルーズだから間に合った事が無い。

いつも15分位過ぎて迎えに来ていた。

この時母親が載っていた自転車は、3輪の自転車。

後ろに大きなカゴの荷台が付いていて、そこに俺が載る。

次は、保育園に弟を迎えに行く。

そして、自転車の荷台に俺と弟が並んで乗っかって家に帰る。

この荷台に乗るのは、まだ体が小さいとはいえ、狭くて嫌だった。

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【橋の上の噴水】

ある時、幼稚園から家に向かう途中、何やらにぎやかな声が聞こえる。

家に向かう方向の遠くから、お祭り騒ぎが起きている声がした。

母親の自転車が近づいて行くと、プールがあり得ない所に出来ていた。

水道管が通っている橋の真ん中から、水が噴水の様に噴射していた。

水道管が、破裂していたのだ。

水道管が設置されている所は、橋の真ん中。

橋の真ん中は1段上にあり、水道管の上はセメントで地面が作られている。

そこに低い囲いがされていて、浴槽みたいになっていた。

しかも低い位置に設置されているので、誰でも中に入れる。

その水道管が破裂したプールの中では、子供たちが遊んでいた。

俺は、その光景を見て橋に水が溜まりプールが完成したんだ思った。

早く家に戻って、ここに遊びに行きたい。

そんなワクワク感が湧いて、凄く嬉しい気分だ。

俺は、いったん家に帰り、弟を連れてこのプールに即効遊びに行った。

洋服のまま、プールにドボ~ン!と入り、噴水の水を浴びて遊びまくる。

もう、最高に楽しい。

三郷団地水道管


【内緒の遊び】

この時、母親にはどこに行くか伝えてない。

言うとダメだと言われるだろうと直感で解った。

そして俺はこのプールで、キチガイの様にはしゃいで遊んでいた。

水道管が破裂した地点付近は、水流が強くて近づけない。

でも、それを逆手に取り手前からジャンプして強い水流の場所に飛び込む。

そして一気に、勢いよく逆方向に流されて行く。

もう、そうれが楽しくて仕方なかった。

俺は、日が暮れるまで何度も何度もその遊びを繰り返して、超ご満悦だ。

この場所には、大勢の子供達もいて同じ遊びを繰り返していた。

しばらくすると、母親が迎えに来た。

この時、行き先を言ってないのに、なんで解ったんだろうとビックリした。

俺は、その事を母親に聞いてみた。

返答は、あんな噴水が出てるのを見たら、あんたが行かない訳ないでしょ。

そう言っていた。

馬鹿の俺の行動など、簡単に見抜けると言う事だ。

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【子供の気持ち、親の気持ち】

この水道管の破裂は、3日くらい続いた。

それは、水道管の水を止めると蛇口から水が出なくなってしまうからだ。

三郷市は、その事態を避けるために、あえて水の噴射を止めなかった。

この時の被害総額は相当な物になったに違いない。

当然、噴水が止まらない3日間は、子供の格好の遊び場だった。

この水道管の破裂は、ニュースにもなってテレビで放送されていた。

そして、水道管の修理が終わり、楽しい遊び場がなくなってしまった。

俺は、猛烈にガッカリだった。

あの強い水流から流される気持ち良さが、たまらなく楽しかった。

もうあの楽しさが味わえない。

それとは逆に、母親は凄くホッとしていたようだ。

水が出なくなってしまったら、生活が出来ないからだろう。

俺はまた、あの水道管が破裂してくれる事を心から願った。

あの水遊びの楽しさは、今でも忘れられない。

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