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恋する中年たち

 数か月前に「中年の恋」というエッセーを書きました。
その中で「恋だのなんだのに興味ない!迷惑な感情だ!」と
「枯れ女」宣言をしていた私。

私には娘がいます。それはもう、若さでキラキラ、ピッチピチ、キトキトしております。そんな娘を前に、日日「参った参った」と心の中で
白旗を振っているのです。

ところが、こんな私にも、ときめきの感情が戻ってまいりました。
気になるおじさんが出現。勇気を出して「ライン、交換しませんか」と
切り出してみたのです。

親睦会が行われたときのこと。六名が参加しました。
*注 オミクロン流行前
そしてこのとき、記念撮影をしたのです。

「写真を送りたいので!」
ライン交換にも理由が必要です。これは大人の礼儀です。若さの勢いというものは通用しない世界なのです。

「はい、交換しましょう」

おじさんはニコリと笑顔を作ります。
すんなりと交換が成立しました。

「ではこれで」

中年の恋には、成り行きというものはありません。(たぶん)
この後、反対方向へと走る電車にそれぞれ乗り込み、立ち去ったのでした。

乗り込んだ車内でラインを無駄に何度も開き、おじさんのアイコンはもちろんピン止め。

やがて訪れたクリスマス。
親睦会写真送信後の、初めてのラインを思い切って送りました。
「メリークリスマス!」
少し経ってから既読になり、おじさんからも返信メッセージが到着。
それと、お洒落な写真も届きました。
横浜の観覧車とビル群。夜景です。
「クリスマスライブを楽しんできました」

おじさんはバツイチ独身です。
恐らく、素敵な彼女とデートだったのでしょう。

そんな想像をしながらも、私はおじさんからラインの返信があった!という
それだけで浮かれたのです。

この、浮き立つ感情というのはアレですね。
ファンが、アイドルからにこりとほほえみかけられるだけで舞い上がるっていう、アレ。

「あのね、例の彼からラインが届いたの~♡」
ビールを片手に、きゃあきゃあと報告する私を、
「良かったねえ」と優しく見つめる友人。
彼女も恋するおばさんですが、以前の相手と恋愛トラブルになり大失敗したため「今は懲り懲り」と自粛中です。

恋心なんて迷惑千万!美しくない!とほざいてた私でしたが、
恋する中年、老年の皆さんに、伏して謝罪申し上げます。
恋心ばんざいです。いくつになっても、トキメキは良きかな。
枯れ女は返上です。
心の枯れは精神の老いなのかもなあと、軽く反省したのでした。









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