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新年度そわそわしていたんだね-すずころ日和 まだ休む-

今朝。出勤する旦那さんとともに家を出発してのすず散歩。
駅に近づいて行くと、だんだんといろんな人を見かける。

猛ダッシュでリュックを背負って走る若い女の子。
その前を歩いている紙袋をふたつ持ったスーツの男性。
若草色のニットに穴あきジーンズのミセス。コートはもう着ていない。
ベージュの金ボタンのジャケットに黒いパンツのボブの女性が、なんだか素敵に見えた。

「紙袋の人は異動で、新しいところへ行くのかな」
「きっとそうじゃない?」

気をつけてね、といって途中彼と別れた。

ベージュのジャケットの女性は駅からでてきた人で、近くの職場に歩いて行くようだ。すずの歩くスピードが早く、私は彼女を抜かした。
手にはバッグとお弁当。髪はかなり明るめの色。

新人さんではないだろうな。
新年度のスタートだから、ジャケットなのかな。

そんなことを考えて横を足早に通った。

家に帰ると、しばらく外にいたいすず。
リードを木にくくって、玄関を掃くのが日課となっている。

この時期。春の暖かさと雨。先日抜いたはずななのに、庭にはもう草が目立つ。
ナイロンの手袋をして、草を引いて行く。
すずは引っこ抜いた草を横から奪ってクチャクチャと口をうごかす。
先日の草引きで私はやっと学んだことがある。スコップを使えば楽なのだということを。

ずっと、手袋をして根本からズボッと抜けることばかり狙っていた。
あまりにもたんぽぽとかは手強くて、ふとずっと使っていないスコップをおもいだいして(子どもがおままごとに使っていたもの)で周りを耕すと、スポンととれたのだ。
道具を考えた人はすごい。
なので、今日はスコップをもって草と黙々と向き合う。

頭の中の言葉を消すように。

途中、穴を掘り出したすず。穴を埋める私。
買ったばかりのスニーカーは、あっという間に土を被った。

違う穴を狙うすず
新品のスニーカーは土まみれ


ぱっと見きれいになった庭。
すずのおかげで土が飛んだ玄関をふたたび掃く。今度はホウキをねらうすず。
目の前の興味に瞬時に飛びつく瞬発力。若いからか、犬だからなのか。

これも欲しい!!

家に入ると、子どもたちはまだ起きていなかった。
今朝は静かにしばらく過ごしたい。ほうっておこう。

コーヒー豆をガリガリと挽く。
超熟とチーズをお皿に乗せて。コーヒープレスに豆を入れて、お湯を入れる。

待つ間。Amazonプライムを立ち上げて、朝の音楽を探す。
「カフェJAZZ」これにしてみよう。いつもと違うものがいい。

プレスしたコーヒーをカップに注ぐ。嫌な予感がした。色が薄い。
一口飲むと、味が薄く、今求めていた濃さがない。
そこで気づいた。
いつもは必ず計量器にコーヒーミルを乗せて豆を入れるのに、それをせずに豆をいれた。最後のコーヒー豆。残りを全部いれちゃえ、と。
慣れが生んだ油断。せっかくのコーヒーがアメリカンになってしまった。

超熟のパンの耳を齧り、うすいコーヒーを飲む。

時間は8時20分。
わかっている、わたしがソワソワしていることを。焦っていることを。落ち着かないことを。

草をひいてみたり。優雅なフリをしてコーヒーを入れて見たり。

気持ちを、行動で落ち着けようとしていることを、自分で気づいている。
薄いコーヒーで、「ああ」と誤魔化せなくなったね。

そう。

ジャケットを羽織らない4月1日は何年振りなのだろう。
ベージュのジャケットに黒いズボン姿の彼女が素敵だと思ったのは、好みの格好だったから。仕事をする時に好む、私自身の格好を想像したから。

4月1日。
新年度の初め。

職場は新しく異動した人、入社した人、昇進した人。
空気も一新されて、今の時間はまさに皆がソワソワしているころ。

実は年度末に、職場に用事があって数ヶ月ぶりに行った。異動に絡んだもので、私物(とはいえ仕事用品)を動かす必要があった。多くを持ち帰って、今も箱の中だ。

今時点で復帰していない私のロッカーだったところもきれいに空けて帰宅した。

4月1日。新年度。
去年をどうしても思い出してしまう。昇進してさらに仕事が忙しくなって、ちょっと楽しくもなってきたころ。
それに反して、もちろん忙しくもなって。子どもの不調をきっかけにバランスがガラガラと崩れてしまったこと。

立ち止まっていることに、後悔はしていない。
辞めることばかり考えていたけれど、今は、まだ職場に名前があることに感謝している。

私の一番は、家族で。仕事は最優先事項ではない。

それでも、今日は休んでいるのに落ち着かない。矛盾。

私はどうしても目の前のことにとらわれやすい。
さっきのすずと同じだね。最近続けて職場に行ったから「働かないと」とまた心が自分の思いではなくて、反射して反応してしまっていることに気づいてはいるけれど、性分なのだろう。どうしようもない。
家にいるのに、仕事に囚われている。

やれやれだ。この調子だと、復帰したらまた自分を見失いそうだから。

気をつけよう。
今日は4月1日というただの1日で。
私は休んでいて、犬と散歩に行き掃除をし、ちょっと失敗したコーヒーを飲みながらパンを齧っている。
仕事を考えて、ソワソワしてしまったんだね。
ただそれだけだ。

今日を生きる。今を生きる。

さて、そろそろねぼすけの子どもたちを起こそう。

今日も最後までありがとうございました。
良い加減で、1日お過ごしくださいませ。

皐月





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