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映画「透明人間」 感想

※ネタバレを含みます。

夏だしなんかホラー映画みるかーと思いまして、昨年日本公開の映画「透明人間」を鑑賞しましたので感想をつらつらと書いていこうかと思います。

気になっていた映画でしたが、なんとなく劇場公開を逃してしまいまして、ずるずるといつのまにか1年も経ってしまいました。

気になっていた理由としては、本作の監督リー・ワネルの前作の「アップグレード」が個人的に大傑作と呼べるクオリティーだったからというのがあります。

「アップグレード」はパッと見のB級SF感が凄い映画で、実際B級SFに分類される映画だとは思うのですが、かなり演出やカメラワークが上手く、加えて脚本が物凄く良いです。

B級SFとして楽しめるし、映画としても丁寧に整えられている素晴らしい作品でした。

「透明人間」もパッと見のB級ホラー感が凄いですが、意外に丁寧に整えられている「アップグレード」パターンかなという期待があっての鑑賞でした。

ちなみにリー・ワネルというと代表作として真っ先に挙げられる作品として「SAW」がありますが、個人的にはあまり好きではありません。脚本がガバガバな所と演出が好きではありませんでした。

前置きが長くなりましたが、「透明人間」の感想としては、”想像したものが想像通り出てきた”といった感じです。

B級SFホラーという枠の中で、しっかりとツボを押さえて作られている感じがしました。

良い点

ホラーの演出はかなり良いです。

冒頭の主人公の脱出パートでの車に外にピンボケで映るエイドリアンが奥から手前に走ってきて窓ガラスを割る一連の流れ、初めて透明人間が姿を現す屋根裏のパートの見せ方、透明人間によって妹を殺されるシーンの緩急のつけ方など、その他のシーンを見てもしっかりとホラー映画になっていると思いました。

主人公を演じる女優の顔がとても良いですね。

顔一発で明らかに精神的にやられているというのが伝ってきます。目の下のクマがくっきりと入っていて不気味な雰囲気すら漂ってます。その不気味な佇まいがラストに繋がっているのも良いですね。

異常事態に唯一気づいている主人公が、周りからは精神異常者の烙印を押されるというのは「ターミネーター2」のサラ・コナーを連想します。

病院のパートなどはかなりT2っぽいなと思いました。

そして本作の一番良かった点はステルス迷彩のデザインです。

B級SF感を出しつつも、フレッシュさもあって、本当に絶妙なデザインでした。

ステルス迷彩を主人公が手に取った時の、スーツ搭載にされたセンサーのようなものが一斉に動くのが、”メカっぽさの気持ち良さ”と”虫の大群っぽさの気持ち悪さ”が併存する圧巻のギミックでした。

映画全体の流れが、物語前半はホラー、後半は透明人間とのバトル物になっている構造も、映画「インビジブル」を彷彿とさせて良かったです。

悪い点

ここまで本作を良い点を挙げてきましたが、いまひとつな点も多く存在します。

まず脚本の粗が目立つ作品ではあると思います。ツッコみたい所が結構多かったです。

ただの光学迷彩であるのに序盤では白い液体を全身に食らって少し経つと完全に拭き取り切れて透明に戻ったり、明らかに距離が離れているのに主人公に殴られたと女児が勘違いしたり、弟が部屋の真ん中に飾ってある2着目のステルス迷彩を回収していなかったりと。

挙げればキリがない箇所のツッコみポイントがあって、さすがに気になってしまうレベルでした。

主人公以外のキャラに全く魅力がないということも問題です。

基本的に敵である透明人間は透明である以外に全く魅力がないです。

ステレオタイプな”変態な天才”は終盤雑に監禁されてたみたいな感じで登場し、雑に主人公に殺されます。

黒幕の弟は天才の兄を監禁して行動を起こすインテリという設定の割には、絶望的に頭が悪く、終盤の方は哀れすぎて見ていられなかったです。

その他のキャラはもう完全に物語を動かすための仕掛けにすぎないものばかりで本当に残念でした。

余計な部分を無くして90分くらいにまとめてコンパクトにしてくれたらもっと良い映画になっていた可能性はあります。

まとめ

色々書きましたが、B級ホラーを楽しもうと本作を鑑賞したらばとりあえずは満足できるクオリティーは最低限あるのは間違いないと思います。

夏だしなんかホラー映画みるかくらい軽い感じでそういう気分になったら、本作はちょうど良い作品なのではないかと思います。







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