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SNS-少女たちの10日間 感想。

※ネタバレを含みます。

シネマ映画.comで先行配信していた映画「SNS-少女たちの10日間」を鑑賞。たしか4月の末公開の映画でしたが、会社の研修で地元を離れていたため劇場での鑑賞は叶いませんでした。シネマ映画.comは劇場上映作品を公開後1か月ほどで有料配信してくれるサービスで、劇場料金でパソコン、スマートフォンから観ることができます。画質や再生速度調整も可能だが、鑑賞は支払いを行ってから2日間限定となっています。

さて、映画の内容としては童顔の女優に子供服を着せ、SNSでアカウントを作りどのような人間が現れるかを観測するドキュメンタリー映画となっています。

ドキュメンタリー映画といえば、個人的に好きな作品として、劇場アニメ映画「風立ちぬ」の制作する宮崎駿を追ったドキュメンタリー映画「夢と狂気の王国」、スキャンダル発覚後の佐村河内守を追ったドキュメンタリー映画「FAKE」が挙げられます。直近で観たドキュメンタリー映画にはunextで配信されたダイヤモンド・プリンス号の乗客たちの船内の生活とその後の証言などをまとめた映画「ラスト・クルーズ」があります。

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先に挙げた作品と比べると、本作はドキュメンタリーというジャンルというより、テレビ番組が制作するリアリティーショーに近いニュアンスの作品に思えました。「夢と狂気の王国」や「FAKE」のようなある特定の人間をカメラが追いかけるという感じではなく、「ラスト・クルーズ」のようにある現象において情報を整理して提供するというものでもなく、女優を用意し、それを制作サイドがコントロールして状況が進むので、ドキュメンタリーと言いつつも、創作の側面が一定量内包されているとは思います。

映画の感想としては、想像通りの狂気を体験できたといった具合でした。この作品の予告編を見たときにだいたいこんな感じかなと想像した内容をほぼその通り味わえるといった感じです。

映画として面白かった点は大まかに二つ

一つ目は、映画序盤で検証で起用する女優をオーディションしているシーン。オーディションにやってきた童顔の女優23人のうち19人が過去にネット上で性的虐待を受けていたということでした。検証を行う予定の人間がすでに被害者であったというのは、ネットを利用した性的虐待という問題により説得力を持たせているように感じます。このシーンが冒頭にあるのはこの映画にとって非常に重要な意味を持つと思います。

二つ目は映像的加工と着信音による恐怖感。スカイプの画面に映る男の顔のモザイクに目元だけモザイクが剥がされ、表情などがギリギリわかるかわからないかくらいに設定されています。プライバシーの観点からかけるモザイクでありながら、画面に映る人間の計り知れない不気味な恐怖感を作り出していて見事でした。男たちがイチモツをしごく映像にもなんとなく手の動きだけがわかるギリギリのモザイクのかけ方をしていて、見えないということがより不気味さをつくりだしているように感じました。この系統の”よく見えなくて怖い”という演出は、映画「サウルの息子」の演出に近いものを感じました。

スカイプの着信音も効果的に不気味さを作り出す編集をしていて非常に上手いと思いました。ただEDで流れたスカイプ着信音コーラス版みたいなのはなんか笑ってしまいました。

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不満点としてはやはり少し演出過剰な部分があるような気がします。通話相手の知り合いがいたり、その人間の家まで押しかけて問い詰めたり、女優が出会った男に飲み物をかけたり、どうしてもやらせを勘ぐってしまいたくなるシーンが散見されました。やはりドキュメンタリー映画というよりはテレビ局制作のリアリティショーという印象は最後まで拭い切れませんでした。

出てくる狂人たちも基本的には同じような変態しかおらず、序盤では刺激的ですが、時間が経つにつれて不快感だけを残してだんだん退屈に感じてしまいました。作品内では変化をつけようと色々やっていましたが、そのせいでやらせ感は増してしまった感じもあります。

映画としての総評は、”予告編から想像できるものがそのまま提供される映画”といった感じです。

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