私の大切な一冊(ミニコミ誌コラム掲載文章)

みなさんの周りに地域活性化に取り組んでいる人は少ないのではないでしょうか?
私は3年前から”まちいくとだ”という活動をしています。
戸田市はベッドタウンとして人が集まり、子育て世代が多く、公園が多い・水道代が安いなど、とても住みやすい街であることが伺えます。一方、街としての名産がなく、外から戸田市を知ることが難しい状況です。歴史をみると古くから荒川を利用しての水運で交通の要所でもあり、道満グリーンパークでBBQをする風景は戸田市の象徴だと私には思えました。また、埼玉は全国4位の日本酒処であり、飲食業に携わってきた自分ができることとして、BBQ×日本酒で戸田を多くの人に知ってほしい。そんな想いで始めたプロジェクトです。(http://www.machi-iku.com/toda)
私は、地域気活性化に「興味がない」という人はほとんどいないと思っています。「活動する」までいかないだけであって。自分の住んでいる土地が衰退していくことを願う人はいないでしょう。どちらかといえば、豊かであってほしいし、人口が減るよりは増えてほしい。なにかのランキングで上位になれば、うれしいし誇りに思う。
しかし活性化には興味があっても、積極的に取り組むかどうかは別の話。自分の生活に精一杯で、地域のことまで考えられないし、自分じゃなくて市や県や国がやるべきことだと思っている。だから、実際に地域活性にとりくんでいる人は少ないと思うのです。
斯くいう私も全く同じでした。今では楽しく熱量を持って取り組んでいますが、なぜやっているのか?と聞かれれば「たまたま」というのが正直なところです。啓示やきっかけがあって大きな決断をしたわけでありません。小さな選択を積み重ねていくうちに、気がついたら「地域活性化に取り組む人」になっていた感覚です。
もしなにか違いがあるとしたら、その小さな選択のひとつひとつに一貫性があったことだと思います。同じ方向を向いている小さな選択。それを積み重ねたから結果として、「地域活性化」という矢印になっていた、ということです。
選択の一貫性を生み出すものをビジネスでは「コンセプト」と言ったり「ビジョン」と呼んだりしますが、個人においては「人生観」や「仕事観」という言葉がしっくり来るように思います。私にとってそれは、「半農半X」という言葉です。一方で地に足をつけた生活(それこそ農業をやれば家族は自給できる)を確保しながら、残りの半分で自分のやりたいこと(ミッション)に時間を費やすという考え方です。収入が減ったとしても、自分が大切にしたいことに取り組んでいれば人生の幸福度は高まるというわけです。
私は戸田市で生まれ約40年過ごしてきました。自分の仕事も戸田市に根を張ることで発展させることができ、長くやっているとなんとなく気づくわけです。今までの自分があるのは、地元のおかげなんだろうなあ、と。まだまだ未熟ではあるけれど、できる範囲で恩返しをしたいなあ、と。社会人一年生が、自分を育ててくれた親にプレゼントをそえて感謝を伝える感覚に似ていると思います。ある調査によれば、初任給を受け取った半数がプレゼントや食事などの形で親に感謝を伝えているそうで、それと一緒ですね。
「地域」という視座で見れば、私もようやく社会人一年生になった気分。もっと親に(地元に)恩返しができるように「半X」の活動を続けていきます。

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