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半導体設計に必要なEDAとは

 今回はEDAというものに関して自分が理解している内容をまとめておきたいと思います。そもそもEDAとは何かから、今後考えられる進化の方向性に関してもある程度網羅していきたいと思います。

自己紹介

 日本の大学でPhDを取得し、日本の会社に就職するも会社の方針転換で一年も経たずに外部に出向し、先行きが見えないため別の日本企業に転職。なぜか転勤族になり西の方に移住。英語を勉強して外資系に転職しVISAをサポートしていただきUSに移住。その後GCを取得しBay Areaの大手テック企業に転職して今にいたります。専門は半導体のプロセス設計です。
 転職に関する自己経験なのどは別のnoteにまとめていますのでご興味がありましたらご参照ください


EDAとは?その歴史的背景

 EDAはElectrical Design Automationの頭文字からきています。従来Manualで実施していたことを電子的に扱い自動化するTool群やそれに関するSoftwareの総称となります。
 1970-80年代は、このようなツールがなかったので、集積回路の検証は人間が人海戦術で行っていました。具体的には配線がきちんと意図したところに接続されているかや、その接続がきちんとDesign Ruleに沿って行われているかを紙の上に印刷して赤ペンでたどりながら検査していました。これはあまりにも効率が悪すぎるので電子的に扱い自動化し効率化しようというのが最初のモチベーションです。
 この流れの一端としてトランジスタそのものや回路自体を抽象化して、その抽象化モデルを使用し電子回路自体をSimulationしようという動きも発生しました。これがSPICEというものにつながってきます。UC Barkeleyでこの研究が行われ電子回路設計へ大きな貢献がなされました。1990-2000年代になるとさらに抽象化度があがりプログラム言語でLogicを記載し人間はアルゴリズムに集中し、実際の電子回路のLayoutなどは電子的にかつ自動に実施しようというのが主流になりVerilogに代表されるHDL(Hardware Design Language)言語が出てきました。
 2000年の初期にはHDLの概念をさらに拡張し、Software設計で使用する抽象度が高い言語でもHardwareが設計できるようになってきます。これがSystemCで代表されるものです。
 このように時代とともに抽象度や手法が変わってきていますが、根底にあるものは常に同じで、めんどくさくて時間がかかる作業は自動化しようです。分かりやすいですよね。

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アメリカSilicon Valley在住のエンジニアです。日本企業から突然アメリカ企業に転職して気が付いた事や知って役に立った事を書いています。