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春を待つ散歩道

寒さの厳しいある日、カメは街へと続くサイクリングロードをゆっくりと散歩していた。風は冷たく、カメは防寒着を身に着けて歩いていた。彼の横を、色鮮やかなサイクルジャージを身にまとったロードバイクの乗り手たちが風のように駆け抜け、穏やかにジョギングする人が彼を追い越していった。

見渡す限り今はまだ枯れている草地も、春には多彩な花々で彩られるだろう。春車菊、カンパニュラ、ノビルなど、白、ピンク、薄紫、黄色、オレンジの花々が、それぞれの美しい姿で咲き誇る景色を、カメは想像しながらゆっくりと歩いていた。

そんなカメの横を、猛スピードで人影が駆け抜けた。一瞬後、カメのもとに戻ってきたその人影は、ウサギであった。「あら、カメくん。お散歩しているの?」と彼女は言った。「ウサギさんはトレーニング中?」とカメが尋ねると、彼女は足踏みをしながら、「もう少し海のそばまで走ってくるわ。図書館で待ち合わせしましょう」と息を弾ませた。

彼女はカメに手を振りながら、やがて全速力で走り去った。カメも振っていた手を下ろし、再びあたりの草地に目を向けた。「図書館の分類番号470の書架にある植物図鑑を、ウサギさんと一緒に見ようかな」とひとり呟くと、彼はまたゆっくりと歩き始めた。

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