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京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」@狂乱の京都駅・南口編

完全に失敗した。

その結果として、あまりにも多くの人たちに、あまりにも大きなご迷惑をかけてしまった。

人生に失敗はつきものだし、人は迷惑をかけ合いながら生きてゆくものだ。けれど今回の大失敗は、どう考えてもさすがに限度を超えていた。反省している。猛烈に反省している。だから本日実施予定だった京都人力交通案内(第63回)は活動を自粛することとした……。

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なぜか京都市バスの路線・系統を(ほぼ)丸暗記しているQ&XLのヘンタイ記憶を駆使し、観光客やお困りの方にベストな行き方、乗り継ぎをご案内する京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」。

去る11月27日(水)午後2時前、我々一行はこの活動史上初! 「京都駅・南口(=八条口)」へと足を踏み入れた……だけなら、さすがにあのような混乱は生じなかっただろう。

しかしながら僕は11月20日(水)にアップした前回レポート(→)の最後に、このように書いている。

次回、京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」は11月27日(水)、京都駅・南口を第一候補としつつ、京都のどこかに出没予定である(たいてい当日まで決まらないんだな!)。

そう、「行かないかもよ?」とうっすら匂わせつつも、「京都駅・南口を第一候補」と明言しているのである。

朝日新聞夕刊トップ掲載(2019年6月15日)をはじめ、この活動への注目が国内、いや世界的にも高まっていることはうっすらと感じていた。だからファンの皆さんに「彼らはひょっとして来ないかもしれない。でも、でも、かなり高い確率で現れそう!!」という当たり前の心理が働くことは、ちょっと考えてみれば想像できたはずなのだ。

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慢心。いや、油断と言うべきか。

Q氏もXL氏も意欲は十分だったものの、近年、急速に整備・開発が進んだ京都駅・南口の実態をよく知らなかった。だから今回、案内自体は実施せず「まずはリサーチをしよう」と決めたことは、冷静な判断だったと思う。

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実際、南口には想像をはるかに超えた15の「のりば」があり、これは数だけで言えば真反対、京都の表玄関「京都駅・北口」(=中央口、烏丸口)とほとんど変わらない。

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しかも京都市バスだけでなく、観光バス、高速バス、空港リムジンバスなど様々な種類のバスが混在している点も加味すると、そのややこしさは北口を優に上回っている。

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京都駅と京都大学附属病院とを繋ぐ「hoop」(KYOTO UNIVERCITY hospital loop bus)の存在もはじめて知った。

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京都女子大学と市内の要所を結ぶ「プリンセスラインバス」は十数分おきに発着していた。ちなみにQ氏はもちろんこのことをよく知っており、必要以上に興奮していた。エロいヤツだと思った。

でもその興奮は、実は僕の中にも激しく巻き起こっていたことをここに告白したい。

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プリンセスラインバスはなんというか、思い切って言えば「女子トイレ」のようなものだと思う。しかも誰でも、勇気を持ってお金さえ払えば入れてしまう女子トイレだ。そんな女子トイレが他にあるだろうか。

「女子トイレに入る」という、あの禁断の行為に伴う甘美な背徳感を知る人は、あまりそうとは口に出さないだけで、決して少なくないだろう。ああ、プリンセスライン最高。

ジェンダー的な観点から見れば最低野郎であることを自覚しつつ、それでも自身の内に今、間違いなく在るこの感情に、真摯に目を向けようと思う。

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とっても赤くって、「プリンセス」っていう名前がついてて、京女生ご用達なのに誰でも乗れちゃう女子トイレみたいなプリンセスライン最高! 最高、最高、最高!!!

……違う違う。「よく知らない南口のリサーチに専念する」という判断自体は間違っていなかったのだが、同時に「リサーチだけなら、まあだいじょうぶだろう」と、うっかり高をくくってしまったのが、やはり大きな油断だったのだと思う。

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でも、我々に会いに、あんなにも大勢の人たちが集まってくださったことは、本当に本当に嬉しかった。油断と言ってしまえばそれまでだけど、まさか我々の人気がビートルズ級(たとえが古い。ていうか彼らの来日当時、生まれてもいない)にまでなっているとは夢にも思わなかった……これが嘘偽りのない、正直な気持ちであることは分かってほしい。

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あの人波。

おびただしい数の警官。

そして幾多の人たちの足を止めてしまった交通規制。

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言い訳にしかならないけれど、天皇皇后両陛下が来られるタイミングと、まさに丸かぶりしてしまったことも、あの大混乱の、ひとつの要因だったのかもしれない。

あまり知られていないと思うが、通常この活動の実施日は、毎月第4月曜日と決まっている。それが今回11月25日……つまり第4月曜日にとある研修会に僕が参加したため、また、その次の日はQ氏の都合が悪かったため、やむなく2日ずらし、この27日水曜日実施となったのだ。

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もし「我々だけ」だったなら、3分の2、いや4分の3くらいの人出ですんだんじゃないか。

この世に「もしもボックス」が存在するならば、今すぐ言いたい。もしも前回レポートに出没地点を書かなかったら……もしも両陛下とタイミングがかぶらなかったら……。

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いや、ここへきてまだクヨクヨしている自分を情けなく思う。意図せずではあるけれど、既に大きな社会的影響力を持ってしまったこの京都人力交通案内の意義を今一度深く自覚し、新年1月、気を引き締め直して再出発を図ること。我々にできるのは唯一、それだけしかない。そして12月は何だかんだと気ぜわしいから、来年以降も実施しないでおこう。あ、8月も暑すぎるからナシね。

ファンの皆様、また関係各位に多大なるご迷惑をおかけしましたことを、ここに深く深くお詫び申し上げます。

そして厚かましいお願いとなりますが、この活動のこれからを、今後も温かく見守っていただければ幸いに存じます。

何卒、どうぞよろしくお願いいたします。

京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」一同

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……とまあ、長い冗談はこれくらいにして、この日のリサーチの最後、僕は期せずしてじ~んと胸に響く言葉と出会う。

京都駅・南口は想定外に相当ややこしく、果たしてここでの案内が上手くゆくのか、僕にはまるで自信が持てなかった。だから2人に尋ねてみたのだ。実際にここで案内をやるかやらぬか、どうする? と。

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「う〜ん」としばし考えた末、Q氏が「やってみないと分からん」と言う。すると、XLも同じように「うん、やってみんと分からへん」と。

そうだ。上手くゆくかどうかなんて、やってみないと分からないのだ。いや、たとえ思惑通りにゆかなくとも、そんときはそんときで「上手くいかなかったね」とさらりと言い合えばいいのだし、実際、そんな感じでやってきたのだ。

知らぬ間に守りに入り、失敗を恐れていたのは僕だけであった。

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それにしても、Q氏は(それがたとえ身近な存在であっても)人に対する警戒心が極度に強い人だったし、XL氏は「知らん」「できん」「無理や」の3ワードが挨拶代わりみたいな人だった。その2人が「やってみないと分からない」って。

こうして我々は互いに足りない「何か」を補い合いながら、京の街に「迷い人」ある限り、来る年も勝手におせっかいを続ける所存である。

次回、京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」は、(第4月曜日実施はまた無理なので!)2020年1月23日(木)、京都のどこかに出没予定である。

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